「夜勤専従看護師」は、その名の通り夜勤のシフトを専門として勤務する看護師のことです。

しかし、一口に夜勤専従看護師と言っても、夜勤のアルバイトで働くか常勤として働くか等の雇用形態の違いや、勤務先の医療施設によって、業務内容や待遇もそれぞれ違います。

また「夜勤は給料が高い」というイメージがありますが、実際にいくらもらえるのかを具体的に知らない方が多いのではないでしょうか?

この記事では、夜勤専従看護師についての働き方や給与、また夜に働くということについてのメリットやデメリットについて、実際に夜勤専従として働く看護師のありのままをご紹介します。

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夜勤専従看護師とは

夜勤専従看護師とは

夜勤専従看護師は、夜勤のシフトを専門に勤務する看護師のことを指します。

雇用形態は常勤・非常勤、パート・アルバイトの別を問いません。

アルバイトとして働く場合も、常勤として賞与を受け取りながら働く場合も、夜勤を専門に働いている看護師であれば、夜勤専従看護師となります。

看護師のひと月あたりの夜勤時間を制限する72時間ルールや、家庭の事情などで夜勤を敬遠する看護師の存在で、病院内で夜勤のできる看護師が不足するという問題が起こっています。

この状況に対応するために、72時間ルールの制限を受けずに、ひと月に何度でも夜勤をおこなうことができる夜勤専従という働き方が求められるようになりました。

夜勤専従看護師のメリットとデメリット

夜勤専従看護師のメリットとデメリットとして、以下のことが挙げられます。

夜勤専従看護師のメリット
  • 給料がいい
  • 日中の時間がフリーになる
  • 日勤と比べると業務が落ち着いている

夜勤の仕事は夜勤手当や割増料金がつくので、日中の仕事と比べると受け取る給料の額は高くなります。

また、勤務は夜勤のみなので、昼夜逆転の生活にはなりますが、交代制の勤務と比べると勤務時間のばらつきがないので、生活リズムを整えやすいとも言えます。

夜勤専従看護師のデメリット
  • 昼夜逆転した生活による健康面や人付き合いへの悪影響
  • 少ない人数で勤務するため、責任が重い

一般の人が寝ている夜間に働くことは、人間の自然な生活サイクルに逆らっているため、体への負担は大きくなります。

また、一般の人とは生活のサイクルが異なるため、同じ職場の人以外と関わる機会が減り、社会的なつながりが希薄になる心配もあります。

夜勤専従看護師の給料はいくら?

夜勤専従看護師の給料の相場

一般的に「夜勤専従看護師は給料が高い」と言われているのは、夜間に勤務する分の手当てが給料に上乗せされているためです。

そのため、夜勤に入る回数が多ければ多いほど収入が増えます。

夜勤1回あたりに支給される給料の相場

2交代制30,500円
3交代制(準夜勤)18,000円
3交代制(深夜勤)23,000円

同じ夜勤専従看護師であっても、雇用形態によって、給料の計算方法が変わります。

常勤の場合は、日勤常勤と同様に基本給が支給されます。さらに夜勤専従看護師には、夜勤手当と夜間の割り増し手当等が上乗せされます。

その他の常勤看護師と同じように賞与も受け取ることができます。

一方、非常勤で採用された場合、ひと月に支給される給与額は、「夜勤回数×夜勤1回に支給される給与」となります。

夜勤専従看護師の年収相場(常勤) – 東京都・正看護師・経験年数5年以下のケース

夜勤専従 ※夜勤回数9回/月5,200,000円
日勤・夜勤あり ※夜勤回数4回/月4,800,000円
日勤のみ4,000,000円

夜勤専従看護師の時給相場(非常勤)- 東京都・正看護師・経験年数5年以下のケース

夜勤専従(時給換算した場合)2,500円
日勤・夜勤あり2,000円
日勤のみ1,900円

その他、職種や施設によっても給与の相場は変わってきます。

様々な条件から見た夜勤専従看護師の給料相場は、下記の記事が参考になります。

有給休暇取得時の賃金には要注意

夜勤専従者が有給休暇を利用した場合、週休取得時に支払われる給与の額には注意が必要です。

出勤時は、22時~5時までの深夜割り増し25%、夜勤の残業割り増し50%で給与計算されている上、夜勤手当が加算されています。

それに対し、有給休暇は通常勤務の給与の金額で計算されるため、通常勤務よりも支払われる賃金が低くなります。

夜勤専従看護師の業務内容と求められるスキル

夜勤専従看護師の仕事内容

以下は、急性期病棟の2交代制で働く看護師の夜勤時のタイムスケジュールです。

夜勤専従看護師は、交代制の看護師の夜勤時の業務内容と同じです。

主な業務としては、定時におこなうものが巡視や処置、与薬、配膳等です。

そして、必要時にバイタルチェック、おむつ交換、体位変換等をおこないます。

この他に、時間を定めず発生する業務がナースコールの対応です。

さらに、緊急入院がある場合は、患者さんやご家族の対応、また事務処理などの業務が発生します。

(参考:夜勤の仕事内容

夜勤専従看護師の主な業務

定時におこなう業務 申し送り
食事介助
内服の配薬
夜間の巡回
採血
人工呼吸器など医療機器の管理
必要時におこなう業務バイタルサインのチェック
体位交換
オムツ交換
翌日の入院や検査、薬剤の準備
看護記録の記載や整理
点滴の交換
トイレ介助
割り込みで発生する業務ナースコール対応
緊急入院の受け入れ対応

夜勤専従看護師に求められること

病院によって人数の差はありますが、夜勤時は、日勤時と比べて、看護師の数を少ない人数でまわしています。

中には夜勤時は看護師1人体制の施設もあります。

そのため、夜勤で働く看護師には、以下のような一定のスキルや経験が求められます。

夜勤専従看護師に必要なスキル
  • 採血やルートキープ、吸引等の必要最低限の技術
  • 患者の疾患と記録を見て、夜間は何を注意し観察・看護しなければいけないかの判断
  • 患者の状態悪化時や急変時の判断と対応

(参考:夜勤で働く看護師に求められるスキル

さらに、スキル以上に大事なものは「専従看護師としての責任感」です。

少ない人数の時間帯である夜勤時に急変があった場合、状態を把握し適切な対応をすることが夜勤時の看護師に委ねられます。

とりわけ夜勤専従看護師は、日中の患者さんの様子を見ていないため、判断と対応は交代制の看護師よりも難しいでしょう。

それでも、「夜勤時は自分が何とかしなくてはならない」という責任を持つ心構えが夜勤専従看護師には必要です。

夜勤専従看護師の勤務時間と夜勤回数

一般的な勤務時間と夜勤回数

夜勤専従看護師の勤務時間は、一般的に3交代制であれば、準夜勤は16:30~00:00、深夜勤は00:00~8:30で、それぞれ勤務時間は8時間程度となります。

2交代制の場合は、一般的に16:00~09:00くらいの間で、2時間の休憩時間を含めて、16時間程度の勤務時間となります。

一般的な夜勤の勤務回数は、3交代制の場合は、夜勤と準夜がそれぞれ4~5回で月に18回程度、2交代制の場合は、3交代制よりも1回の勤務時間が長いため月に9~12回程度となっています。

一方、パートやアルバイトで、月1~2回でスポット的な役割として勤務している方もいます。

夜勤専従看護師は何回まで夜勤ができる?

夜勤専従看護師に夜勤時間の上限はない

夜勤専従看護師には、1ヶ月に夜勤の勤務時間の上限を定める労働基準法上の制限はありません。

交代勤務者には1ヶ月間夜勤時間を制限する「72時間ルール」と呼ばれる条件があります。

(参考:夜勤の勤務形態と72時間ルール

しかし、夜勤専従者には72時間ルールが適用になりません。

したがって夜勤専従看護師はひと月に何回でも夜勤に入ることができます。

変則労働時間を導入した夜勤専従看護師のシフト

労働基準法の第32条で「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」と定められています。

しかし、看護師は24時間体制で変則的な勤務になりがちなため、多くの医療現場では月単位の総労働時間で判断する「変形労働時間制」という制度を導入しています。

以下では、変形労働時間制を導入している夜勤専従看護師の1ヶ月のシフト例を紹介します。

変形労働時間制での夜勤専従看護師の1ヶ月のシフト例(2交代制)

夜勤専従看護師のシフト例

2交代制の病院の場合で、夜勤専従看護師の平均的な夜勤回数である9回夜勤に入った場合のシフト例です。

2交代制は、夜勤1回の労働時間は長いですが、その分連休が取りやすくなります。

夜勤専従看護師は夜勤回数の上限がない為、夜勤の回数を増やすこともできます。

2012年に実施された調査では、3交替制で最多で23日にも及ぶ夜勤回数をこなした夜勤専従看護師もいました。

(参考:2012年度夜勤実態調査

しかしその分、体への負担は相当大きくなります。

もしあなたが多くの収入を得るために夜勤の回数を増やしたいと考えているのなら、あまりにも無理なシフトで健康を損ねてしまうというのでは本末転倒です。

非常勤やWワークをしている方のように、自分で夜勤に入れる回数を調整できる場合は、夜勤がもたらす体への負担を十分考慮して勤務日数を決めましょう。

夜勤専従看護師が抱える心と体の不安

夜勤専従者の19%が不眠 – 夜勤が体に及ぼす悪影響

夜間のシフトでのみ働く夜勤専従看護師にとって、夜勤の負担が引き起こす体への影響は最も注意しなければならないことです。

東京都内の大学病院に勤務する看護師にアンケートを実施したところ、夜勤専従者の19%が不眠を訴えているという調査結果がでました。

(参考:睡眠、運動習慣、食生活が交替制勤務に従事する看護師の肥満傾向と生活の質に与える影響

夜間に働く夜勤専従看護師は、夜勤で不規則な生活になることによる体内時計の乱れや長時間労働での疲労の蓄積により、ホルモン分泌の乱れや不眠等、体への不調を引き起こしやすくなります。

そのため夜勤専従看護師は、日頃からの体調管理に十分注意する必要があります。

今すぐ実践できる!体内時計を整える最も効果的な方法

夜勤専従看護師人にとって、健康を損ねる最も大きな要因は「昼夜逆転した生活を送ることによる体内リズムの乱れ」です。

そこで、ここでは忙しい勤務で働く看護師の方でも、すぐに実践できる体内リズムを整える簡単な方法をご紹介します。

体内リズムを整えるために最も効果的なことは、「太陽の光を浴びる」ことです。

太陽の光には、自律神経を整える効果があり、乱れた体内リズムをリセットすることができます。

それにより眠りに入りやすくなり、疲れを溜め込まない体になります。

まずは、起きた時は必ず部屋のカーテンを開けて太陽の光をたっぷりと浴びるということを習慣づけるようにしましょう。

これだけでも、毎日続けることで夜勤による体への影響が実行前と格段に違いがでてくるはずです。

(参考:すぐできる!夜勤従事者の習慣にしたい健康対策

夜勤専従看護師が受ける精神的ストレス

夜勤の仕事では、精神的に受けるストレスも大きなものです。

夜勤で働いている看護師の精神的な悩みは、とりわけ以下のような声が多く挙げられます。

  • 少人数で受け持つ夜勤時の責任の重さが辛い
  • 友達とのプライベートな時間が取れなくなった
  • 夜勤時に苦手な人と一緒のシフトに入るのが憂鬱

夜勤時の忙しさや、責任の重さ、過重労働で、肉体的にも精神的にも負担がかかります。

また、夜勤のみのシフトなので、確かに勤務は夜間のみで日中はフリーな時間になりますが、その時間は体調を整えるための休息でほとんど終わってしまいます。

そのため友達ともなかなかスケジュールが合わず、プライベートで人と関わることが減ってしまい、そのことに大きなストレスを抱える場合もあります。

さらに、夜勤時は少人数で受け持たなければならないため、一緒にシフトに入る相手との相性によって気持ちが大きく左右されることもあります。

夜勤時のストレス対処法

  • 辛い時は自分だけで悩まない
  • 大切にしたい友人とはお互い時間を合わせる努力をする
  • 苦手な人がシフトにいる時はお互いを理解するチャンスだと思う

ストレスとの向き合い方や乗り越え方は人それぞれですが、信用できる人に相談したり、自分の気持ちを切り替えることで、たとえ問題の解決までには至らなくても踏ん張りがきくようになることもあります。

悩みを自分一人だけで抱えるのではなく、まずは同僚や上司など周囲の人に相談してみましょう。

もしかしたら同じ悩みを抱えている同僚もいるかもしれません。

不安に感じているのは自分だけじゃないことを知るだけでも気持ちは軽くなります。

さらに先輩や上司に相談すれば、一緒に解決に向けて協力してくれる可能性もあります。

以下の記事では、夜勤前後の過ごし方や、夜勤で働いている看護師が実践している肉体的・精神的な負担への様々な対処法を紹介しています。

自分に合った方法をとり入れて、夜勤を行う上で自身の健康管理役立ててください。

夜勤専従看護師を過重労働や不当な扱いから守るために

夜勤専従看護師にのしかかる過重労働

2012年の診療報酬改定により、それまでは夜勤専従者の労働時間の上限時間が月144時間と定められていた項目が削除され、夜勤専従者の夜勤時間の上限時間が緩和されました。

144時間ルール緩和後に夜勤専従看護師の1ヶ月の夜勤時間上限を変更した病院の割合

144時間ルールの緩和により、育児中で夜勤免除や日勤専従等、夜勤不可の看護師を多く抱え、夜勤をできる看護師が少ない病院では、その負担は、夜勤の時間や回数に制限のない夜勤専従者にのしかかるようになりました。

実際に、夜勤専従者が夜勤回数を増やすように病院から強要されるというケースも起きています。

夜勤専従看護師を過重労働から守る取り組み

日本看護協会が提唱する144時間ルール

夜勤専従看護師を過重労働によるリスクから守るために、日本看護協会では夜勤専従者にもひと月あたりの夜勤専従者の夜勤時間数の上限を月144時間(休憩時間を含める)とする144時間ルールを提唱しています。

(参考:夜勤専従者の「過重負担」を防ぎましょう!

例えば2交代制勤務で1回の夜勤の勤務時間が休憩を含めて16時間勤務の場合、16×9=144で月9回勤務がひと月の夜勤回数の上限となります。

夜勤専従者への健康管理に取り組む医療機関は約50%

また、夜勤専従看護師を過重労働から守るために、何らかの取り組みをしている医療施設もあります。

日本看護協会は2014年に「看護職の夜勤・交代制勤務ガイドライン」の普及等に関する実態調査の中で、夜勤専従看護師についての調査をおこないました。

それによると、全国の医療施設の37.8%で夜勤専従看護師を雇用していることがわかりました。

以下の表は、夜勤専従看護師を雇用している病院が、夜勤専従者の過重負担を軽減するためにおこなっている取り組みについての調査結果です。

全国の病院における夜勤専従者の過重な夜勤負担軽減のための対策の実施状況

夜勤専従看護師の負担軽減のために「夜勤専従者の所定労働時間の短縮」をおこなっている医療施設が39.4%、「夜勤専従者の健康管理体制」のルール化をしている施設が52.3%ありました。

夜勤専従看護師として長く働くためには、このように夜勤専従看護師にかかる重い負担を真摯に受け止め、負担軽減のために何らかの対策を実施している病院を選ぶことはとても大事なことです。

勤務先で過重労働を強いられたらどうすればいい?

まずは相談 - 夜勤専従看護師の相談先一覧

もし、勤務先から無理な勤務シフトを組まれたことによる過重労働で、あなたが働き続けることに心身ともに限界を感じている場合、このまま無理を続けることは絶対にしないでください。

身も心もボロボロになってからでは、取り返しがつかなくなってしまいます。

そうなる前に、一刻も早く上司に相談し、シフトでの配慮や体制について見直しをお願いすることが大事です。

もし、同じ悩みを抱えている同僚スタッフがいるなら、一緒に相談して直属の看護師長に現状を伝えましょう。

それでも解決しない場合は、しかるべきところへ相談をすることができます。

日本看護協会では、労働時間や超過勤務、夜勤など、看護師の働く時間に関する相談窓口として「ナースのはたらく時間・相談窓口」を設置しています。メールやファックスでも相談することができるので、気軽に相談することができます。

他にも以下の窓口で相談を受け付けています。

話し合いで解決できない場合の対処法

話し合いでも解決に向かわない場合や、既に健康被害を受けて一刻も争うような場合には、夜勤専従看護師という働き方を見直したり、転職をすることも一つの方法です。

通常勤務に変更したケース

最初は、よかったです。お金も多くて。
でも、次第にめまいや不整脈が出現するようになりました。
夜間だと一緒に働く人数も少ないし、同僚と話す機会も減って、結果、次第にうつ傾向になっていきました。身体は寝ても寝てもとにかくだるくて仕方なかったです。

その後夜勤専従から通常勤務にもどしてもらったところ不整脈は消えました。
気持ちも明るくなりました。

引用:きむちさん

転職したケース

もともと夜更かしで、朝弱かったし、お金も今考えても人生最大くらいもらっていました。

そのうち顔の吹き出物がひどくなり、高い化粧品を次々購入しても良くならず、また、もともと持っていた片頭痛が頭痛薬を手放せないくらいまで悪化したため、受診したところ、肝機能がひどく落ちている事が判明。
退職し、一年療養しました。仕事自体はほんとにやりがいもあり、好きな職場だったので泣く泣くの退職でした。

今はわりにまったりした施設で日勤のみ勤務しています。

引用:匿名さん

ただし、転職先を探す際には、上で紹介しているような夜勤専従看護師の負担軽減に取り組んでいる病院であるかどうかは必ず確認するようにしましょう。

夜勤専従看護師は自分に向いている?向いていない?

現役夜勤専従看護師のインタビュー

ここでは、実際に夜勤専従看護師として働いている方のインタビューを紹介します。

現場で働く夜勤専従看護師の生の声から、実際に自分が夜勤専従看護師になった場合を想像してみてください。

ヨッシーさん(30代女性)

夜勤専従看護師を選んだ理由

収入の面を重視して夜勤専従という勤務形態を選びました。
拘束時間が長い分、1度の勤務で高額の収入を得られるのは確かです。
私は交通の便があまり良くない場所に住んでいるので、できるだけ通勤の回数を減らしたいという思いもあり夜勤専従を選びました。

夜勤専従看護師で困ったこと

看護師2名での勤務でしたので、ペアの方が休憩に入ってしまうと1人なので、ナースコールが重なった時やケアに2名以上必要な患者さんなどの場合は対応に困ることもありました。

また、もともとその病院で働いていた方ならいざ知らず、私のように突然入職して夜勤をやるとなると、基本的な患者さんの対応はできてもシステム的なことが分からず戸惑うことが多いのは難点です。
ペアの方がいる時は指示を仰げば良いですが、一人の時に急変があったり、外部からの電話や警報ブザーが鳴ったりなど、予想もしなかった事態が起こって困ったことがありました。

患者さんに関しても、夜勤の間の様子しかわからないので、日中の様子はカルテからの情報に頼らざるを得ません。

夜勤専従看護師で働いての体調の変化

交代勤務の時は本当に時間の動きがバラバラで、体が休まらないという感覚が常にあったような気がしますが、その時の比べると夜勤専従は夜勤だけなので比較的楽な印象でした。

引用:看護師夜勤専従体験談

宮本真美さん

夜勤専従看護師を選んだ理由

子供も大きくなって少し遠方からでも通えるようになったことや、希望していた外科病棟での看護ができるということ。
病院では夜勤専従として働く場合、準夜勤務9回深夜勤務9回という条件になります。まとめて入る方が1回で二勤分になり時間的にもロスが少なく自分に合っているので、私は準夜勤務と深夜勤務をあわせた16時間の勤務にしていただくことが多いです。
もちろん準夜勤務と深夜勤務が別々になるように働くこともできますので、自分のライフスタイルに合わせてシフトを組んでいただけたらいいと思います。

夜勤専従看護師になって良かったこと

日勤で働いていた時よりも家にいる時間が長くなったため、家事により多くの時間を使えるようになったのが大きな変化です。
朝は子供に弁当を作ったりしますが、子供が出かけてしまった後は家のことをしたり仮眠を取ったりと自分で自由に時間を使っています。

夜勤専従看護師に興味のある方へのメッセージ

忙しくて大変な時もありますが、分からない事が出てきた時は聞けますし、結婚して子供がいる方でも家庭と仕事のバランスを上手く取りながら働くことができる環境が整っていると思います。
看護師としてまた働きたいけれど悩んでいる・迷っているという方などに「夜勤専従看護師」という看護師としての働き方もあるのだと興味を持っていただけたら嬉しいですね。

引用:ツカザキ病院スタッフ紹介

Bettyさん

1日の過ごし方

私の勤めている病院は2交代勤務なので、16:30~9:30が夜勤の勤務時間になります。
朝は大体8時か9時くらいに起床します。
好きなことをしてぐだぐだして、お昼ごはんと夜勤に持って行くお弁当を作って過ごします。

夜勤前は体力を温存したいので、ほとんど家から出かけません(^ ^)
15時くらいに家を出て、次の日の10時~12時くらいに帰ってきます。食べて寝て、16時か17時くらいに起きて活動します。
寝ずに出かけることもあれば、家でゴロゴロする日もありますが、また夜は12時までに寝るように心がけています。そんなに寝て夜も寝られるのって言われるんですが、これが寝られるんですよね\(^o^)/
で、また朝起きて同じ感じで繰り返しです。

私の周りでも夜勤専従をしている人が何人かいますが、夜勤だからって明け方まで起きて昼過ぎまで寝てる、とリズムが崩れている人は早く体調を崩して辞めていき、夜勤でもリズムを崩さずに保っている人は、体調も崩さずに長く続けられている気がします。

夜勤専従のメリット・デメリット

何と言っても休みが増える♪♪
自分の時間が増えるし、連休取って旅行にも行きやすいです♪( ´▽`)
私の先輩は子供さんがいて、昼間子供と関われる時間をたくさん作りたくて夜勤専従を始めたという方もいます。

あとは、少し病棟から距離を置いて関われるようになったので、人間関係でのストレスがものすごく減りました!元々私は人間関係が得意な方ではないので(^^;
逆に社交的でみんなと話したいっていう人は、夜勤専従すると病棟の人と喋る機会が減って寂しいっていう人もいますね。

引用:http://www.hyper-nurse.com/blogs/

夜勤専従看護師に向いている人・向かない人

ここでは夜勤専従看護師の適正について紹介します。

夜勤専従看護師に向いている人
  • 少ない勤務日数で効率よく収入を得たい人
  • 日中にフリーな時間を作りたい人
  • 病床経験と一定の看護スキルがあり、何かあった時に冷静に対処ができる人
  • 体力がある人

夜勤専従看護師は、日勤のみの給与と比較すると高収入ですが、それだけ体力的にも精神的にも大変な業務です。

そのため看護師としての経験とスキルは必要です。

また、夜に働いて日中に寝るという、人間の生活リズムに反する生活をするので、どうしても体調を崩しやすくなります。

そのため、体力は夜勤専従看護師の必須条件になります。

夜勤専従看護師に向かない人
  • 看護の基礎に不安のある新人看護師
  • 体力に自信がない人
  • 看護師として現場でのスキルアップを希望している人

夜間は患者さんのほとんどは寝ているので、緊急入院や急変がある場合を除いて、夜勤の仕事は日勤に比べてルーチンワークが多く、業務内容自体が軽いものになります。

夜勤時は働くスタッフも少ないので、教育をするというところまでは手が回らないのが現状です。

そのため、出産や育児で看護師の業務を離れていた看護師の方等にとっては、夜勤専従は自分のライフスタイルに合った理想的な働き方にもなりますが、一方、これから病床経験をどんどん積んでさらに看護師としてのキャリアを積んでいきたいという方にはあまり向いていないとも言えます。

夜勤専従看護師求人の探し方と間違いのない選び方

夜勤専従看護師を募集している施設とその特徴

夜勤専従看護師の求人が多い施設

夜勤専従看護師の求人が多い施設ベスト3
  • 一般病棟
  • 療養型病院
  • 介護施設

夜勤専従看護師で募集が多い施設は、主に一般病棟や療養型病院、介護施設です。

現在は、その中でも特に療養型病棟での求人数が多くなっています。

(参考:求人数から見る夜勤専従看護師を募集している施設

夜勤専従看護師が働く施設の特徴

同じ夜勤専従看護師でも、勤務先の施設や科によって、仕事内容や職場の雰囲気も違いがあります。

例えば老人保健施設では、夜勤時は看護師1人とヘルパーでの勤務というところも多く、すべての記録や医療行為やとっさの判断などを看護師1人で行う必要があります。

一方、NO CPRの緩和ケア病棟では、不眠を訴える患者さんと会話をして安心させる等、昼間はあまりできない出来ない患者さんとの触れ合いがしやすいところもあります。

夜勤専従看護師の求人の探し方

夜勤専従看護師の募集状況

以下では、看護協会(eナースセンター)と転職サイトで取り扱っている求人数を集計しています。

東京都の夜勤専従看護師の求人数(2015年7月時点)

 2交代制3交代制日勤のみ夜勤専従看護師
eナースセンター2081597654
看護師転職サイト(看護roo)2,6262,5372,521347

(参考:夜勤専従看護師求人は探し方と選び方を間違えると大変!

この表から、夜勤専従看護師の求人数が、看護師求人全体の5%以下と圧倒的に少ないことがわかります。

そのため、希望通りの夜勤専従看護師求人を見つけることが難しいのが現状です。

また、一口に夜勤専従看護師の求人と言っても、正社員として働くのか、非常勤で働くのかによっても求人の数は全く違ってきます。

夜勤専従看護師の常勤/非常勤の求人数内訳(2015年7月東京全域)

 常勤非常勤
eナースセンター52
看護師転職サイト(看護roo)180167

希望の求人を見つけるための5つの方法

このように、公開されている求人数が少ないのが夜勤専従看護師の仕事探しの難しい点です。

その中で、希望通りの求人を見つめるためには、たくさんの求人を探す技術が必要になってきます。

ここでは、たくさんの夜勤専従看護師の求人を探す5つの方法をご紹介します。

①求人検索エンジンを利用する

病院の採用ページや、転職サイトなどにそれぞれに掲載されている求人情報等、インターネット上にある、あらゆる求人を一括で探すことができるのが求人検索エンジンです。

最も代表的な求人検索エンジンはindeedです。

indeed

②ハローワークを上手に活用する

ハローワークインターネットサービスでは、ハローワークが扱っている求人情報をPCやスマホで見ることができます。

ハローワークインターネットサービス

毎日午前6時頃に求人情報を更新しています。

また、求人を出す医療機関は月初めが多いので、月初めの早朝に求人を探すのが狙い目です。

③e-ナースセンター(看護協会)を活用する

看護協会が運営しているe-ナースセンターは看護協会の求人情報をインターネットで見ることができるサービスです。

e-ナースセンター(看護協会)

求人の応募には会員登録が必要ですが、求人閲覧のみの場合は、求人検索(体験版)を利用することで、個人情報を入力せずに求人情報が閲覧可能になります。

④知り合いからの紹介

知人から紹介してもらうことで、その病院の情報や夜勤時の雰囲気も事前に聞くことができるので、間違いのない職場探しにはとても有効な方法です。

他の病院で働いている知り合いが夜勤専従看護師ではない場合でも、勤務先の病院が夜勤専従の求人募集をしている場合もあります。

周囲に自分が夜勤専従の仕事を探していることを積極的にアピールしてみましょう。

⑤看護師転職サイトを利用する

扱う求人数が最も多いのが看護師転職サイトです。

利用するには無料の会員登録が必要ですが、キャリアコンサルタントとの面談を経てあなたの希望の求人探しや面倒な手続きを代行してくれるので、時間がない方にはお勧めの方法です。

【転職サイト】夜勤専従看護師の求人数ランキング(2024年11月時点)

順位転職サイト名求人数
1位医療ワーカー10,661件
2位マイナビ看護師285件
3位看護のお仕事279件

Wワークをする時の注意点

Wワークで夜勤専従看護師の仕事をする場合は、現在の勤務先と応募先で、従業員のWワークを認めているかどうかを就業規則等で必ず確認をしましょう。

もし、就業規則で副業禁止と定められているのにもかかわらず、秘密でWワークをしていることが発覚した場合、懲戒解雇などの重い処分を受ける恐れもあります。

「バレないから大丈夫」と思っていても、同じ医療業界の中で病院は違ってもつながっている人はたくさんいます。

思いもよらないところでバレて最悪のケースになってしまうこともあるのです。

(参考:ダブルワークで働く場合は事前の確認が不可欠

夜勤専従看護師の求人を選ぶときに必ず注意するべきこと

夜勤専従看護師は、日勤業務と比べると、少ない勤務日数での高収入を得やすいですが、その分自分にかかる責任やリスクが大きい仕事です。

特に、人間の自然な生活サイクルに反する働き方をするために、睡眠障害などの体への負担は大きくなります。

さらに、夜勤時間の上限がない夜勤専従看護師は、病院の夜勤時の人員不足の穴を埋めるために無理なシフトを組まされて過重労働を強いられる恐れもあります。

夜勤専従看護師として長く働くことを希望するのであれば、応募先の病院が夜勤専従看護師の健康を守るために十分な配慮をしているかどうかは、必ず入職前に確認をしておきましょう。

確認の際は以下のチェックポイントを参考にしてみてください。

病院による夜勤専従者の軽減負担への取り組みチェックポイント
  • 夜勤専従勤務者の所定労働時間が設定されている
  • 新人、准看護師、補助者のみとの組み合わせにならないよう夜勤メンバーの配慮がされている
  • 休憩時間がしっかり確保されている
  • 勤務に就く前の健診の実施がある
  • 労働安全衛生法の特定業務従事者健診がある

(参考:夜勤専従看護師の求人を選ぶ時に必ずチェックするべき3つのポイント

夜勤専従看護師の仕事探しは、求人を探すのが難しいですが、それ以上に大事なことは見つけた求人の選び方です。

選び方の基準を間違えると、入職後に無理な勤務シフトを組まれて「こんなはずじゃなかった」と後悔することもよくある話です。

以下の記事では、求人の探し方だけではなく、どういった基準で夜勤専従看護師の求人を選ぶべきかについても詳しく紹介しているので、是非参考にしてみてください。

おわりに

これまで夜勤専従看護師の仕事内容や給与、抱えている問題などを見てきて、あなたが抱いていた夜勤専従看護師のイメージはどのように変化したでしょうか?

確かに夜勤専従看護師は少ない勤務回数で高給与を得られる仕事ですが、それだけ大変な仕事であるということも理解していただけたと思います。

それでも仕事と家庭の両立や、プライベートの充実等、夜勤専従看護師だからこそ実現できることもたくさんあります。

高収入という点ばかりに目を奪われず、求められるものや大変さをしっかり理解した上で、覚悟をもって仕事に臨めば、夜勤専従看護師として長く看護師としてのキャリアを積んでいけることでしょう。

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