新しい転職先に「泌尿器科」で働くのはどうだろう、とお考えの看護師さんはいらっしゃいませんか?
求人で目にはしても、実はどんなことをするのかわからない、気になるけど「男性」の患者さんが多いのでは?
自分が泌尿器科を受診する場合でも少し躊躇してしまう「下半身」に関する悩みを診察する「泌尿器科」、一体どんな仕事をするところなのでしょう。
実際に働く看護師さんの体験談をもとに泌尿器科の実情をお伝えしますので、今後の転職先などの参考になさって下さいね。
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泌尿器科の特徴や看護師の仕事内容
泌尿器科とは
尿および性器に関する領域(泌尿生殖器)で、主に外科系を中心として診る診療科です。
男女問わず受診できますが、女性の場合は、尿路の疾患は泌尿器科、性器の疾患は婦人科で扱うため、生殖器関連では男性が患者さんの中心となります。
泌尿器・・・腎臓から尿道口にいたるまでの臓器、器官
(参考:内科・泌尿器科 野々村クリニック)
(参考:コトバンク)
泌尿器科の特徴
泌尿器科の特徴
- 泌尿器に関しての診察は男女問わず行われるが、男性生殖器(陰茎、前立腺、精巣)の病気も扱うため、患者さんは男性が多い場合がある
*「泌尿器科は男性が行く診療科」というイメージが世間にあり、男性の患者さんが多くなる理由に繋がっている
*病院によっては「女性泌尿器科」や尿漏れなどに悩む女性の患者さんを多く受け入れている病院もある。働く病院を選ぶ際はホームページなどで病院の特色を確認すると良い
- 尿が出にくい、尿の回数が多いといった症状による高齢の患者さんやおねしょに悩む小児まで、患者さんの年齢層は幅広い
- 前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん、精巣がん、などの検診(病院規模により手術治療まで)を行う
- 人に言いづらい症状(尿や下半身に関するトラブル)での相談・検査・治療を行う
*性病検査・治療、勃起不全(ED)治療、男性不妊検査・治療、男性型脱毛症(AGA)治療など
- 精液検査のための「採精室」への患者さんの誘導など、男性生殖器の悩みに関連する特殊な業務も出てくる
(参考:医療法人財団 荻窪病院)
私は現在泌尿器外来に勤務しています。当院ではコンタミ(汚濁、混入)などを防ぐために外来の目立たないところに採精室という男性が利用する部屋があります。
引用:看護roo!お悩み掲示板
原則は患者さんが自分で容器をもってそこでマスターベーションをして採液します。
泌尿器科看護師の仕事内容
看護師の仕事内容
- 採血・点滴・注射
- 医師の診療介助
- 問診の聴取・入力
- 膀胱留置カテーテルの交換
- 前立腺生検の介助
*前立腺生検・・・特殊な針を前立腺に刺し、組織を採取すること(前立腺がんの診断に不可欠) - 膀胱鏡検査介助
*膀胱鏡検査・・・膀胱鏡を尿道口から挿入し、膀胱、尿道を肉眼的に観察する。その他、尿管カテーテル挿入や異物除去、尿道拡張などの処置も行われる。
*膀胱鏡検査の前処置として、内視鏡の機械を尿道から挿入する - 自己導尿指導
*一定時間ごとに尿道からカテーテルを入れ,膀胱に溜まった尿を排出することを自分で行うための指導 - 診察ベッドのシーツ交換、物品補充など
(参考:湘南鎌倉総合病院)
(参考:きつかわクリニック)
(参考:看護roo!現場で使える看護知識)
(参考:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2323)
(参考:看護師お悩み相談室)
泌尿器科で働く看護師の体験談
【やりがいや良かったこと】
- 泌尿器や生殖器に関する専門的な医療知識・技術が深まる
- 関わる患者さんの層が広く学ぶことが多い(小児~高齢者、手術前後の患者さん・癌末期・終末期の患者さんなど)
- 患者さんが回復し無事に帰っていく様子が力となる
専門性が高いため知識や技術を深め、よりよい看護を提供していけるようスタッフ一同頑張っています。
引用:市立東大阪医療センター看護局
手術前後の患者さん・癌末期・終末期の患者さんなど様々な疾患・治療の患者さんと関わる機会があります。日々患者さんの看護を行う中で、先輩看護師の患者さんの対応・観察の視点・処置の方法など学ぶことが沢山あります。
引用:社会医療法人財団 天心堂
泌尿器科は前立腺がん、膀胱がん、前立腺肥大等で男性患者さんが多く初めは戸惑いました。
泌尿器科外来での診療・処置はデリケートな部分もあります。その様な点に配慮しながら業務を行っています。
手術後で思うように排尿ができていない病棟の患者さんや、前立腺肥大の外来患者さんなど様々な患者さんの言葉や笑顔、無事に帰って行く姿が私の力になり、やりがいを感じて充実した毎日を過ごしています。
引用:湘南鎌倉総合病院
【悩みや大変なこと】
- 男性患者によるセクハラまがいな発言がある場合がある
- 泌尿器科で働く事に関して周囲のイメージが良くない場合がある
- 尿管カテーテルを清潔に保つための陰部洗浄、大量の尿破棄(尿管カテーテル使用中の患者さんのたまった尿をまとめて回収して回り破棄する)、検尿などの尿に関する業務が常にあり、苦痛に感じてくる場合もある
泌尿器なので、下半身の検査が毎日なんですが、ほとんど、下半身をさらさなくてはいけないので患者さんはもう嫌で嫌でしかたないんですよね。その気持ち・照れ隠しをするために「禁止用語」連発ですね。
私たち検査部にいるナースは全員40代・・・・ナースが若いと患者さんが恥ずかしい、と言うことで余計いじられるんです。私たちは「はいはい、そうだよ」軽くかわせちゃう!
決して下品にならいよう「禁止用語」は出しませんが、一緒にノッテ・冗談に変えて話しています。
若いナースさんには荷が重いかも・・。年の功、でしょうか。
引用:看護師お悩み相談室
来月より泌尿器科で働くことが決まりました。
始めは躊躇いましたが、治療を受けられる患者さんの事を考えると、病める人を救いたいという原点に返れば何も恥ずべき事は無いと思うようになりました。
ですが友達や親類に話すと「え~っ」という反応が返ってきます。夫も「それはちょっと…」と強く反対する訳ではないのですが、良い反応を示しませんでした。
引用:大手小町・発言小町
5年目の看護師です。嫁入り前です。私の勤務しているのは、泌尿器科病棟。最近、フォーレ管理(尿管カテーテルを清潔に保つための陰部洗浄など)と尿破棄の嵐の、泌尿器科の看護師にうんざりしてきました。仕事とは言え、夜勤明けの朝のこの大量の尿破棄と検尿…フォーレの管理に膀洗、陰洗、導尿…いいかげんもう嫌です。
引用:http://www.nurse-community.jp/
泌尿器科看護師に向いている人
体験談をふまえてどんな人が泌尿器科の看護師に向いているのかをまとめてみました。
- 人に言いづらい部分の悩みを抱える患者さんがほとんどなため、恥ずかしい気持ちを理解し、緊張や羞恥心を和らげることが出来る人
- 男性器を目にしたり触れたりする仕事に抵抗がない人
- 男性患者さんのセクハラめいた発言も毅然と対処(医師にすぐ報告するなど)したり、うまくかわすことが出来る人
- 高齢者やおねしょで悩む小児、男性、泌尿器トラブルでの受診の女性といった幅広い患者層とのコミュニケーションがとれる人
泌尿器科の求人の特徴
給料や募集施設
【給料】
- 20万前半~ + 手当 + 賞与(一般的な看護師と大差なし)
- 人工透析を行う施設では透析室での募集もある
*透析室で働く事に興味がある方は下記の記事も参考になさって下さい。
→【透析看護師まるわかり】透析看護師の役割とその実態に迫る!
【募集施設】
- 総合病院内全体の求人に泌尿器科も含まれる場合
- 泌尿器科単体のクリニックでの募集
- 皮膚科などとの混合クリニックでの募集
など
(参考:ナースエージェント)
【泌尿器科の透析室での求人例】
(参考:看護のお仕事 かわい泌尿器科クリニック)
求人数について
看護師転職サイトを利用し「正看護師 全体」の求人数と「泌尿器科 正看護師」の求人数を比較してみると、
- 求人数割合の平均は「正看護師 全体」の求人数に対して3.1%と、非常に少ない
という事がわかりました。
正看護師 全体 | 泌尿器科 正看護師 | 求人数割合 | |
ナースフル | 8,389件 | 1,153件 | 13.7% |
ナースではたらこ | 8,974件 | 1,517件 | 16.9% |
看護師求人EX | 107,773件 | 1,154件 | 1.1% |
平均数 | 41,712件 | 1,275件 | 3.1% |
理由としては下記の表からもわかるように内科や外科に比べて特殊な診療科であるため、泌尿器科を扱う施設数自体が少ないという事があげられます。
診療科目別に見た一般病院数 平成25年度
施設数 | 総数に対する割合 | |
一般病院 総数 | 7,474施設 | |
その内 内科を有する施設数 | 6,879施設 | 92.0% |
外科を有する施設数 | 4,745施設 | 63.1% |
泌尿器科を有する施設数 | 2,791施設 | 37.7% |
(参考:厚生労働省統計表)
泌尿器科看護師のおすすめの求人検索方法
先に述べたように、泌尿器科の看護師求人数は施設数自体が少ないのと、「2交代制がいい」、「夜勤はない方がいい」、「通勤が便利な方がいい」などの自分の希望に合った勤務先を見つけるには大変な労力がかかることが予想されます。
そんな時におすすめなのが看護師の求人に特化した「看護師転職サイト」の利用です。
会員登録をすればプロのキャリアコンサルトによる看護師の転職に関する様々なサポートを無料で受けることが出来る、看護師の求人に特化した人材紹介のサービスです。
求人検索の利用だけでなく、相談する事で病院の情報を得ることが出来ます。
- 「女性泌尿器科」で働きたい、「日勤のみがいい」など、自分の希望を相談することができ、自分に合った施設を紹介してくれる
- 検索条件を細かく絞り込むことが簡単に出来、自分の希望する施設を見つけやすくなる
- 気になる病院があった場合、忙しい自分に変わりプロの転職カウンセラーが職場の雰囲気、忙しさ、希望の給料額の交渉などの「気になるけど聞きづらい事」を確認し、転職のサポートをしてくれる
- 応募が殺到するためにあえて非公開にしている非公開求人情報も知ることが出来る
- 面接対策や履歴書の添削、入職後の悩みをサポートしてくれる
- 病院見学に同行してくれる場合がある
泌尿器科は
- がんの治療に強い病院
- 男性の下半身の悩みを得意とする病院
- 女性の患者さんが多い泌尿器科
- 小児泌尿器科
- 女性専門泌尿器科
など、それぞれ得意とする分野や特色が病院によって違います。
事前に自分でもホームページで確認したり、看護師転職サイトのカウンセラーを利用するなどして、その病院の特色を知った上で後悔のない転職先を見つけて下さいね。
参考までに主な転職サイトでの公開されている泌尿器科の求人数ランキングです。(2024年11月時点)
まとめ
泌尿器科は下半身の尿トラブルや生殖器に関する悩みなど、人に言いづらい部分を診療する科のため、受診する患者さんも訪れるまでに勇気がいります。
働く看護師さんにはぜひ、そんな患者さんの気持ちを理解して温かく迎えて頂けたらと思います。
専門的な知識も得られる分野ですので、働いてみたいと思った方は、まずはその病院がどんなことが強みで、どんな患者層が多いのかなど、特徴をよく調べてからチャレンジしてみて下さいね。