産業保健師の役割/企業で働く看護師に求められるミッションとは?

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産業保健師 役割

「産業保健師って?」「産業保健師の役割って?」
耳にしたことはあるけれど、実際よくわからないという方、多いのではないでしょうか。

企業で働く産業保健師は、人数が少ない故に、なかなか情報を得ることができにくい職業です。そこで、本記事では具体的な仕事内容から、産業保健師の役割と企業においての重要性を明らかにしていきます。

企業で働く役割と重要性を知り、必要となるスキルを身につけ、産業保健師を目指しましょう。

目次

1.産業保健師って一体何者?
(1)産業保健師の役割とは
(2)一番の仕事は「病気にならないようにする」こと
(3)就職先の63%は従業員1000人以上の大企業

2.企業はこんな産業保健師を欲している
(1)企業においての産業保健師の重要性
(2)働く上で必要となる資格

3.産業保健師の働き方が知りたい!
(1)産業保健師になったら良いことだらけ?
(2)9時出社18時退社

4.産業保健師の求人は希少価値が高い!?
(1)一つの職場につき配置は一名!?
(2)産業保健師の求人に出会ったらチャンス!

5.おわりに

 

1.産業保健師って一体何者?

保健師は大きく分けると、行政保健師・学校保健師・産業保健師の3つがあり、それぞれ活動場所や活動内容、必要資格が違います。

行政保健師      ・・・全国の保健所や市区町村の保険センターなど、公の機関で公務員として働く
産業保健師     ・・・民間の企業で、産業医や衛生管理者とチームを組み社員の健康管理や相談を行う
学校保健師(養護教諭)・・・学校の教職員や生徒の健康管理を行う

産業保健師は、就業した企業の従業員と同じ福利厚生を受けることが出来るため、就職先として人気が高い反面、募集人数が少ないため保健師の中でも企業で働くのは、全体の約8%とごくわずかとなっています。

(1)産業保健師の役割とは

産業保健師の役割は、民間の企業において従業員の健康改善・維持・促進のための活動を行い、健康で安全な職場作りをすること。

従業員の健康管理といっても、身体的な健康管理はもちろん、メンタル面のケア、さらには仕事量や勤務時間、労働環境と従業員のバランスなどの改善を促します。

産業医や産業保健に関わる人たちと連携を取りながら、企業全体の「働きやすい環境」を作っていくことが大きな役割と言えるでしょう。

(2)一番の仕事は「病気にならないようにする」こと

<産業保健師の主な仕事内容>
健康診断結果のデータ整理・分析 ・症状から労働環境の問題点の把握
怪我・病気の治療 ・従業員の怪我と病気の処置
保健指導業務 ・社員の健康改善・医事・促進の為の健康相談
・健康に関する講話、社内研修などの実施
過重労働対策 ・労働時間80時間/月を超える従業員の労働環境の改善策を考える
メンタルヘルスケア対策
(心の健康)
・仕事に対して強い不安やストレスを感じている従業員との面接や対策の企画
休職者や長時間労働者との面接 ・健康やメンタルに問題や不安があり休職している従業員と(時には家族もふまえて)面接を行い、生活の様子や病院の受診状況の確認
・長時間労働者との面接
職場視察の同行 ・産業医や人事のメンバーと各職場の視察を行い、現場の情報収集をする
安全衛生委員会への出席 ・関係労働者の意見を聞くための機会を設けるもの
・毎月1回以上開催

産業保健師の仕事は幅広く、たくさんありますが第一の目的は、病気になる前段階の、疾病の発生そのものを予防することです。ひとことで言うと「病気にならないようにすること」です。(=一次予防)

一次予防 健康増進
疾病予防
特殊予防
ジョギングや体重管理、生活習慣の改善、生活環境の改善、健康教育による健康増進を図り、予防接種による疾病の発生予防、事故防止による傷害の発生を予防すること

(参考:看護師国家試験模擬試験・科目別強化トレーニング・保健師国家試験模擬試験 「医教」

(3)就職先の63%は従業員1000人以上の大企業

産業保健師の勤務先は、トヨタグループやホンダグループなどの自動車メーカー、パナソニックなどの電気メーカーの製造業が半数以上を占めています。
他にはJRなども勤務先としてありますが、主に従業員数が1000人以上の大手企業で活躍しています。

産業保健師 勤務先業種別割合

産業保健師 勤務先事業所従業員数規模別割合
(参考:平成23年度 日本産業衛生学会近畿地方会研究調査事業産業保健に関わる保健師・看護師の活動状況調査報告書 研究代表者 大脇多美代)

 

2.企業はこんな産業保健師を欲している

(1)企業における産業保健師の重要性

企業側が産業保健師に求めるものは何でしょうか?
「休職者や退職者を出さずに、心身ともに健康な状態で従業員が勤務すること」「仕事能率を上げてもらう環境を作ること」です。

そのために、1-(2)で挙げた一次予防をしっかりと行うことや、従業員の抱えている悩みの相談にのり、ストレスを軽くし、うつ病などを未然に防ぐことが求められます。

人材派遣業で保健師を導入したところ、メンタル不全者の改善により離職率が半年で2.7%下がったという事例も出ています。

従業員の健康管理が、結果的に企業の利益に結びつくというところが、企業において最も重要とされる産業保健師の役割なのです。

産業保健総合支援センターが実施した実態調査では、産業保健は企業に大きな成果をあげています。

・健康に対する意識が向上
・職場環境の改善を通して職場の快適感が向上
・健康診断受診率が向上
・身体的・精神的な疲労などのストレス感が減少
・喫煙率が低下

(参考:独立行政法人 労働者健康福祉機構 産業保健事業 改善事例

(2)働く上で必要となる資格

企業で働く保健師や看護師を総称して、産業看護職と呼ばれることがあります。

産業看護職のなかでも、保健師資格を持つ産業保健師は、全体の67.2%、看護師資格のみの産業看護師は32.8%と、保健師資格所持者で活躍している方が多くなっています。

看護師としての臨床経験も明確な規定をしている企業は少ないですが、従業員の怪我や体調不良の処置を、一人で判断できるくらいの知識が必要という点では、看護師としての臨床経験がある方が有利ともいえます。

しかし、特定保健指導やストレスチェックの義務化に伴い、臨床経験よりも産業保健の実務経験や保健師資格の有無を重視する企業が増え、産業カウンセラーを取得する産業保健師もいます。

また、大手企業だと海外に拠点を持っているところや、外国人従業員が在籍しているところもあります。そういった企業では、外国人従業員の相談を受けられるくらいの英語のスキルがあれば採用の際に有利になる可能性が出てくるかもしれません。

 

3.産業保健師の働き方が知りたい!

(1)産業保健師になったら良いことだらけ?

夜勤がないと手当がつかない分、給料が下がるという点はありますが、生活のリズムが整えやすくなるのが、病院勤務の看護師との大きな違いです。また、土日休みの企業であれば同じくお休みなので、子育て中の看護師には働きやすい環境なのかもしれません。企業の福利厚生、各種手当がそのまま受けられるのも魅力です。

しかし一方で、企業内での看護職は人数が少ないため、相談者、理解者がいない、従業員に真剣にアドバイスをしてもあれは違うこれは違うとなかなか聞き入れてくれないという場合もあり、楽なことばかりではありません。

従業員とコミュニケーションをとり、職場環境を整えていくことも大きな役割となっているので、看護師として高度な医療を目指す人には、病院勤務のほうが向いているかもしれません。

また、業務内容に関しては「繁忙期になると事務作業を課せられる」「普段から事務職と同じように電話対応や受付を行っている」という事例もあるので、どの企業も同じとは言えないようです。

(2)9時出社18時退社

実際、産業保健師は一日をどのように過ごしているのでしょう。

企業によって勤務時間は異なりますが、下表は、グループ会社を何社も抱える大手企業の健康管理部門で働く産業保健師の一日です。

<産業保健師の一日の流れ>

8時 8:45 出勤
9時 9:00 始業
メール処理、ミーティング
10時 10:00~11:30
【復職者面接】
11時 面接記録作成(医師とともに)
12時 昼休み
13時 13:30~16:30
【職場巡視】
14時 【長時間労働者への面接】(医師1人と保健師2人)
15時 1人あたり20分 ☓ 10人
16時 戻って、記録整理、書類作成
17時 不在中にあった連絡や相談予約などのメール処理
18時 18:00過ぎ 退勤

(参考:これから目指す人・働く人のための「看護の仕事がわかる本」菱沼典子編著)

 

4.産業保健師の求人は希少価値が高い!?

(1)一つの職場につき配置は一名!?

産業保健師は、一つの職場当たりの配置人数が少なく、全体の約3~4割の企業が保健師の配置が1名となっています。大手企業では、従業員約1000名を1人で担当するところも多いことから、求人数自体が少ないのです。

(2)産業保健師の求人に出会ったらチャンス!

産業保健師は人気のある職業で、さらに求人自体が少ない為、求人情報を目にすることはほとんどありません。

しかし、1―(3)で紹介したような大手企業のホームページ上で募集をしている場合もあります。ハローワークや求人サイトで、まれに掲載している場合もあります。
企業ホームページ、ハローワーク、求人サイトなどを幅広く活用し、こまめにチェックすることにより求人に出会う確率が上がります。

ただし、正社員雇用は少なく、契約社員での採用がほとんどです。
契約社員として働くなかで繋がりを作ることや、実務経験を積むことで、次の就職の際に「産業保健経験者」を優遇する企業には、有利に働く可能性もありますので、視野に入れて探しましょう。

また、産業保健師は医療機関への就職とは異なり、企業への就職になるので応募したい企業に合わせた採用対策が必要になります。企業がどんな人材を求めて産業保健師に何を期待しているかの対策もお忘れなく。

 

5.おわりに

産業保健師の役割が、どういった立場で企業に重要視されているか、お分かりいただけたでしょうか?

社会で働く大人が、心身ともに体調を崩さないように、前段階で適切な対処を求められるスキルは並大抵のことではありません。

しかし、いざ体調を崩し病院へ行ったら、すでに重い病にかかっていた、気づいた時にはすでに相当なストレスを抱え込んでいたなんてことを未然に防ぐことができるのが産業保健師の大きな役割であり、やりがいになるはずです。

病院勤務とは違い、仕事内容も対人関係も大きな変化の中に身を投じることになると思いますが、応募先の企業についてしっかり情報収集をし、やりがいを持った産業保健師を目指して下さい。

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この記事の作成者: y.abe

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