高齢社会の中で、ニーズ高まってきている“グループホーム”。最近では看護師が働く場としても、注目され始めています。
でも実際に看護師が働くうえで、「どんな職場なのだろう」「具体的にどんなことをするのかな」など疑問があがってきますよね。
今回は、皆さんがグループホームに関する疑問を、少しでも解消できるようなヒントを伝えさせていただきます!
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グループホームとは?
グループホームは認知症患者のための介護施設
一般的に、グループホームとは、認知症を持ち、病気や障害で生活が難しい高齢者が、専門スタッフの援助を受けながら1ユニット(5~9人)で共同生活する介護福祉施設のことを表します。
認知症の高齢者が入居を考える施設としては、最初に名前が上がってくるものでもあります。
高齢化が進み認知症高齢者の数も増えているいま、それに合わせるようにグループホームの数もゆるやかな増加傾向にあります。
(参考:みんなの介護)
グループホームの利用者はどんな方?
グループホームの入所では、「65歳以上の要支援2または要介護1以上の認知症患者」「施設のある市町村に住民票があること(グループホームは地域密着型サービスのため)」が基本条件となっています。
施設それぞれの条件としては、「身の回りの世話ができる」「感染症にかかっていない」「共同生活に適応できる」など、地域や施設によって違うので、詳しくは施設に問い合わせる必要があります。
基本条件をもとに、それぞれの施設の条件を満たす方がグループホームには入居しています。
看護師は、利用者の方々を、医療の知識を生かしながらお世話していきます。
(参考:みんなの介護)
グループホームの看護師配置基準は3:1
グループホームにおいて利用者とスタッフは、3:1の割合で配置されます。
つまり、利用者9人に対して、3人以上のスタッフが必要となります。
このスタッフとして、必ず看護師を採用する必要はありませんが、看護師を施設に採用すると、医療連携体制加算がされるため、国からの補助金が多くもらえます。
だから、グループホームでも積極的に看護師の採用を行っているのです。
ちなみに医療連携体制を取っていると判断される看護師についての基準は、日常的に利用者の健康管理をし、24時間体制で看護師がオンコール体制にあるということです。
オンコール体制の詳細は施設によって異なりますが、夜勤という形は義務付けられていないため、日勤の看護師が多いです。
グループホームは事業基準として、最大でも18人程度の利用者規模を設定しています。
まとめとしては、この最大利用者数である18人に対して、看護師は1人~3人程度、各施設に配置されていることが多いようです。
(参考:認知症対応型共同生活介護事業者の配置基準)
グループホームにおける看護師の役割
看護師に求められる役割とは?
グループホームにおいて、求められる役割は次のようなことです。
- 利用者の診察補助や服薬管理といった、日々の健康管理
- 利用者の異常の早期発見と、搬送の要請
- 介護職員の補助
グループホームは、治療を目的とするのでなく、あくまで利用者の生活を守ることを重視しています。
診察補助に関しては、施設の主治医診察に関してサポートしたり、日々利用者が通う病院への診察サポートなどを行います。
看護師の求められることは、利用者さんの生活を、医療的な面でサポートすることだといえます。
具体的な看護業務内容って?
業務全体をみれば、病院での看護業務に比べて、医療行為を行う場面は少ないです。
ほとんどが日中の健康管理や診察補助、服薬管理と介護職員の補助だと考えて良いでしょう。
以下は実際にグループホームでの仕事を経験した方の1日の流れです。
①朝、申し送り後、熱発者・BP↑再検→問題があると主治医へTEL報告・受診は必要であれば付き添い
②薬剤管理
③排便管理→G浣・摘便
④レク参加・支援、散歩介助
⑤ミキサー食の準備
⑥食事介助
⑦入浴前のVS測定・入浴可否の判断、入浴後の軟膏塗布、褥創処置
⑧歩行訓練
⑨主治医の診察が月に2回あり、その際には、利用者の状態報告
定期的な業務はこれぐらいでした。
派遣期間3カ月でしたが、意識消失やけいれんで救急搬送したのは3名でした。もちろん、Nsは一人なので、救急車要請から家族への報告や付き添いはしていました。
引用:看護師お悩み相談室
看護師に求められる役割とは?での大まかな役割の中で、具体的にはこういった業務が求められます。
業務内容を検討しながら、職場として考えていきましょう。
グループホームにおける看護師の役割に関しては、以下のようなサイトを参考にしました。
より詳しい情報を知りたい方は、参考にしてみてください。
(参考:グループホームとの連携を通じて看護師の役割の必要性について/http://read-more-a-group-home.net/)
給料は病院に比べると低い傾向
グループホームで働く看護師の給料は、その運営団体や地域で大きく変わっているようです。
ただ、いずれも病院に比べると低い設定になっているように感じます。
実際に求人されている給与額を見てみましょう。
(例)社会福祉法人 日の出福祉会 グループホームしのべの求人情報詳細
雇用形態 | 正社員(正職員)、非常勤・バイト・パート |
給与 | 【月収】22.2万円~26.0万円程度(諸手当含) 【年収】345万円~410万円程度(諸手当込) |
手当 | 通勤手当(公共交通機関:30,000円、車通勤:上限20,000円)、 住宅手当(※詳細はお問い合わせ下さい)、 家族手当(※詳細はお問い合わせ下さい)、 資格手当(正看護師:25,000円、准看護師:20,000円)、その他手当(業務手当15,000円)、保育補助について(お子様一人につき10,000円) 補足:■オンコールは、現在常勤職員が交替制で担当【給与】<非常勤>■正看護師:時給1,365円~■准看護師:時給1,165円~ |
勤務時間 | 08時45分~17時45分 ※勤務時間は、事業所により30分程度前後する場合あり |
休暇 | 年間休日:105日 |
例えば、求人募集の一例ですが、こちらの給料は調整手当、資格手当、技能手当を含めて22.2~26万円の月収、年収は345万~410万程度となっています。
完全週休2日制の場合の年間休日数は約125日に対し、年間休日が105日と若干少なめですが、さまざまな手当もあり給与は平均的でしょう。
こういった求人情報の平均を考えると、平均給与としては、おおよそ年収で350から400万円前後が多いようです。
日勤看護師として、介護系施設で働く方の給与明細500件の平均が、約420万円であることから、平均的か、少し少なめかもしれません。
(ナースな私のお給料 2016年3月時 給与明細検索より)
施設によっても手当内容や休日、また給与額が違うので、平均額を参考に自分で納得できる施設を探してみましょう。
経験談から読み取る、グループホームでのやりがいと悩み
グループホームでのやりがい
個人個人の個性に合わせた介護ができる点がやりがいでしょうか。特養ではなかなかできないと思います。
引用:YAHOO知恵袋
大変なのは、重度の認知症の対応はもちろんですが、それ以外でも、入居されている方のADLが下がると、身体介護ばかりに時間をとられてしまうことでしょうか。
管理者は業務外の仕事に追われることになりますが、介護員は介護に専念できると思います。
特養では、施設のスケジュール優先せざるを得ず、個人の希望などはなかなか聞き入れられないと思います。グループホームではできる限り個人の要望やご家族の要望に応じられるよう工夫できると思います。
ただ、特養と違い、看護師がいない施設が多いと思います。夜勤も9名に対し一人です。
寄り添った介護をしたいと希望されるなら、グループホーム一度見学されてはどうでしょうか?
グループホームの特徴として、「アットホーム」「寄り添った介護」などが良い点として、挙げられています。
患者さんと身近な距離で接したい方は、仕事をやりがいと感じられるでしょう。
グループホームでの悩み
看護と介護の連携が難しい
グループホームでの看護業務ってなんですか
引用:看護師お悩み相談室
発熱や転倒などなど見極めても 最終的には施設長の指示で 救急搬送するか 様子みるか になります
看護師が 救急搬送したほうがいいと申し出ても 施設長が様子みようとゆうとそこでストップになります
必ずいわれるのが「ここは病院じゃないし 治療するとこじゃないのよ」といわれます。
このように、介護施設で働くとき、「介護と医療の立場」での連携が難しい場合もあるようです。
中でもグループホームは「治療」よりも「生活」を重んじるため、これまでの医療的な面が薄れ、歯がゆい場面も悩みとして経験するかもしれません。
認知症患者の暴力行為への悩み
整形外科病棟で働く一年目・新人看護師です。認知症の患者さんへの対応で困ってます。
引用:看護師お悩み相談室
施設で転倒され骨折。緊急入院して手術に至ったのですが、興奮される事が多く、殴る蹴る物を投げる、暴言の数々。ひどい時にはバイタルを取る事もできません。上手く避ける事が出来ず、青あざを作ってしまいました。
これから、この患者さまはリハビリが始まって、お風呂にも入れて、色々やって行かなければいかないのですが、どうすれば良いのか、頭を抱える日々です。(車椅子用三角ベルトを付ける時にも大暴れ)
この質問に対し、グループホーム経験者の方からはこんな声が寄せられました。
私はグループホームで働いていますが、同じ様な利用者さんがいらっしゃいます。
引用:看護師お悩み相談室
その人一人だけに関わる訳にもいかず…それでもが離せない状況で、食事しないときなど点滴してもらうにも
暴れるため二人体制で、夜勤など最近は憂鬱になります。
すごくムカつく時も多々ありますが、表情はニコニコで柔らかい言葉使いで牽制しないと、
自分のストレスが溜まったりもします。
このように、認知症患者の方とかかわる中で、「暴力、暴言」の問題に直面することもあるようです。
こういった問題も起こりうることを念頭に置いておくとよいでしょう。
グループホームの現状と看護師に求められること
グループホームの今と未来
高齢社会が進む中で、大きく「利用者の重度化」と「医療処置対応の範囲」が問題になっています。
2013年6月時点で、読売新聞によると、“日本認知症グループホーム協会が昨年行った調査では、入居時には、7割の人が「要介護2」以下だったが、調査時点では約5割に減少。
「要介護1」の人が大きく減り、その分、「要介護3」以上の人が増えた。
10、11年度にグループホームから退去した状況をみると、40%が医療機関への入院で、死亡退去は24%。死亡者の約半数はホーム内で看取っていた。”と書かれています。
高齢者や認知症患者の増加に伴い、どうしても利用者レベルの重度化を避けられないのが現状であるようです。
同様に読売新聞によると、全国のグループホームを対象に行った「グループホームのあり方に関する調査」では、回答した事業所の76%が「医療連携体制」を取っていて、看護師の採用や、近隣の訪問看護ステーションなどと契約し、24時間、看護師と連絡が取れる体制にしていると書かれていました。
また、比較的多くの事業所が、幅広い医療処置に対応していて、看取りを行っている事業所も31%あり、医療処置や看取りへの対応を急ぐホームが少なくないことが浮き彫りになっているようです。
現在のグループホームにおいては、利用者に家庭的な生活空間の提供を重視する一方、医療処置はどこまで行われるべきなのか、その試行錯誤が続いています。
(参考:読売新聞の医療サイト ヨミドクター記事①/ 読売新聞の医療サイト ヨミドクター 記事②)
これから看護師に求められること
まずは、グループホームの置かれている現状を認識したうえで、仕事に臨むことが前提として挙げられるでしょう。
また同時に、医療的な知識がより求められる環境になりつつある責任を自覚し、それをやりがいと発展させられるとなおよいのではないかと思います。
グループホームにおける看護師の求人状況
現在グループホームの求人枠は少なめ
1章や4章で取り上げた通り、現在グループホームのニーズは高まっており、また中でも医療の力は重要視されている状況です。施設自体も増加傾向にありますし、グループホームの業界で、看護師の手が求められています。
とはいえ、実際に転職サイト「マイナビ看護師」で求人を探すと、同じ介護系の職場である特別養護老人ホームの全国求人数が「367件」であるのに対し、グループホームは「26件」とかなり少数の求人枠であることが分かります。(2016年3月時点)
施設名 | 求人数 |
特別養護老人ホーム | 367件 |
グループホーム | 26件 |
(参考:マイナビ看護師)
これは、先ほどの述べた通り、グループホームにおいて、各施設での看護師採用人数は1~3.4人と少人数です。
そのため、施設が増加しているとはいえ、グループホームの求人数自体は少ないといえます。
そういった中でも、やはり介護と医療のパイプ役として、求めている施設もありますので、自分の地域で求人している施設があるかリサーチが必要となります。
時間がなくて自分で探す時間が無い方は、無料登録するだけでキャリアコンサルタントが求人を探してくれる転職サイトを利用するといいかもしれません。
求人を探すうえでの3つの注意点
グループホームの求人を探すうえで、特に気を付けるべき点として以下の2つの点があげられます。
- 未経験に対する教育体制
- 育児休暇などの福利厚生面
- 職場の雰囲気
- 認知症以外の病気は持っているのか
- 排泄面など、利用者の生活自立レベル
- 日勤のみ可能なのか
- 看護師の同僚はいるのか
- オンコール体制の有無
- 休日のとり方
①に関しては、どんな職場にも当てはまりますが、よりよい職場を探すうえで重要になります。
子育てとの両立を考えている方などは、特にポイントとして押さえておきましょう。
②に関しては、求人サイトの情報のみではなかなか判断しにくいポイントです。
興味を持った職場を訪れたり、直接電話などでコミュニケーションをとって確認しておくと安心でしょう。
③に関しては、特に、施設によってオンコール体制をとっているのか、複数の看護師で夜勤体制をとっているのか異なってきます。
「あくまで日勤勤務ではあるものの、オンコール体制のため深夜まで安心することができない」「働く前まで、オンコールがあることを知らなかった」などという経験者も中にはいます。
特に、日勤勤務としての看護師像が念頭にある方は、こういったギャップをなくすためにも、しっかりと施設に確認したうえで職場として検討するとよいでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか?今回の記事が、少しでもより良い職場選びとしてあなたに役立てば幸いです。
グループホームへの関心が高まった方は、看護師として、グループホームでさらなる活躍を目指していきましょう。
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