ICU看護師というと、

「生命の危機にある患者さんと向き合い、精神的に辛そう。」
「ハードで常にストレスが多そう。」
「興味はあるけれど、高いスキルがないと務まらないのでは?」

といったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

実際、ICUは常にモニタ画面やアラーム音に囲まれた非日常的な空間です。ですが、そこで得られる経験は何物にも代え難いものでしょう。

この記事では、

  • ICU看護師の役割やネガティブな面・ポジティブな面
  • ICU看護師の向き不向き
  • ICU看護師に役立つスキル
  • ICU看護師の給料や求人を探すコツ

などを詳しく解説していきます。

ICU看護師に憧れている、あるいはICUに転職したい、などと考えている方にとってひとつの指針となるはずです。

 

ICU看護師とは

ICUとはこんな施設

  • ICU(Intensive Care Unit)とは…集中治療室のことで、重篤な患者さんに対し医師や看護師が24時間体制で高度な医療・看護を行うことを目的とした病院内の施設のこと。
  • 急性心不全や脳卒中、致死性不整脈といった急性症状を起こした患者さんのほか、高度な術後管理が必要な患者さんが収容される。
  • 病院によってICUと救命救急センターがそれぞれ独立している場合や、ICUは救命救急センター内にある場合、または救命救急センターがない場合など形態はさまざま。

近年では下記のような特定疾患の治療に特化した施設も設けられています。

  • NICU(新生児集中治療室)
  • SUC(脳卒中集中治療室)
  • CCU(冠疾患集中治療室)

また、集中治療室と一般病棟の中間のような位置付けである、

  • HCU(ハイケアユニット)

を置いている病院もあります。

(参考:看護roo! ナースpedia集中治療室(ICU)の現状と展望に関するアンケート調査
 

ICU看護師の役割

ICUには生命の危機に瀕した患者さんが入室している特殊な病室です。

短時間で状態が変化することもあり、生命維持や合併症予防のために、ICU看護師は以下のような役割を担っています。

  1. 高度なモニタリング機器を駆使した24時間絶え間ない観察。全身管理や今後予測されるリスク管理
  2. 直接患者さんに触れながら様子をうかがい状態を把握して回復を支援する
  3. 患者さんやそのご家族に対し安心して治療が受けられるための援助
  4. 他の医療スタッフとのカンファレンス
モニタリング機器の一例
  • 心電図モニタなどの生体情報監視装置
  • 人工呼吸器
  • 心臓や肺の補助循環装置
  • 輸液ポンプ
  • 除細動器

など

(参考:佐賀県医療センター好生館飯塚病院看護部宇治徳洲会病院熊本労災病院岡山大学病院
 

体験談から読み解くネガティブ面・ポジティブ面

ネガティブ面

閉鎖的な空間で常に緊張を強いられる
患者さんや家族の置かれた辛い状況に心が痛む
過酷な環境ゆえの人間関係の厳しさ
トラブルが多い

【ネガティブな体験談】

私も看護師経験3年目でICUに配属されました。閉鎖された環境、重症患者が多い、医療機器の音に常にさらされる…。すごくストレスを感じやすい環境だと思います。

引用:看護師お悩み相談室

ワンフロアで常に誰かの目があり、患者様の訴えに十分に耳をかたむけられないこと(長々とお話を聞いていると何をしてるのかということになります)、処置が優先され家族は面会をなん十分も待ち、さらには10分以内と制限されるなどの、この部署特有の環境にも苦しさを覚えます。

引用:看護roo!ナースカタリーナ

働いてるスタッフは体育会系で物事をよくも悪くもズバズバ言います。患者もコロコロ変わるし、受けもった患者でせっかく勉強して行っても、次出勤した時にはいないこと多々あり。状態もコロコロ変わるし、同時に急変もしょっちゅう。人工呼吸器の挿管チューブを不穏で自己抜管、一方では転倒、一方では心電図上重要不整脈…8年目でも「もうやだ、逃げたい」と思うこと沢山ありました。

引用:看護roo!ナースカタリーナ

当然ながら亡くなってしまうかたの率も高い部署です。急変や緊急入院がほとんどですから、家族の受け入れ準備が出来ていないことが多く辛い場面も沢山あるようです。

引用:http://www.nurse-community.jp/

ポジティブ面

看護師としての経験値・スキルが上がる
的確な判断力が身につく
達成感が得られる

【ポジティブな体験談】

私もICUで4年程働いた経験があります。当時は大変で、毎日とても不安な気持ちがありました。しかし、経験を積んで行くと、段々知識も増え自信に繋がって来ました。病棟で働くようになった時、その経験は大きい物となりましたよ。

管理職をするようになった時、アドバイスも的確に出来、経験は他のものと比べものにならない程大切だと思いましたよ。

引用:看護師お悩み相談

ICUの患者さんにとっては、優しい言葉かけより、生命を最優先させるために必要なことをテキパキと仕事をこなすのが看護なんだと。

今はのーんびり、老人病棟で看取りを待つ病棟で、働いていますが、ICUでの体に染み付いた仕事の経験は役にたつことが、あります。

引用:看護roo!ナースカタリーナ

みんな鎮静かかっててナースコールはならないし、ほとんど呼吸器つけてるから時間かかる食事介助もないし、汗だくになる入浴介助もないし。

何より重症で生命の危機にあった患者が安定して病棟に転床していくのを見届けると、達成感あります。それに医師とも対等にモノ言えて、医師が信頼して任せてくれてる感が強いのもICUナースならではかな?とも思います。

引用:看護roo!ナースカタリーナ

ICU看護師になるには

向き・不向き

【向いている人】

ストレス耐性がある・メンタルが強い人
高度な医療機器の扱いに抵抗のない人
コミュニケーション能力の高い人(患者さんやご家族の不安を和らげるため)

【向いていない人】

患者さんとじっくり関わって看護したい人
忙しい環境が苦手な人

(参考:看護roo!ナースカタリーナ

既卒と新卒、どちらが有利ということはない

ICUでは高度な知識や機器の扱いを要求されるため、新卒では務まらないのでは…などと考えている方が多いようです。

ですが、他の診療科で経験を積んだ看護師さんであっても、ICUの特殊な環境に戸惑いがちです。

機器の扱いが分からない、今どんな状態なのかアセスメント能力もない、スタッフ間の会話すらついていけない…という状況になるものの、周囲からは「経験者なのにそんなこともできないのか」などと厳しい評価を受け、辛い思いをする人もいるようです。

つまり、ICUは特殊な環境だからこそ、既卒・新卒ともに最初は苦労しながら知識と技術を身につけて行く場であり、どちらが有利であるということは一概には言えません。

(参考:看護roo!ナースカタリーナ看護師お悩み相談室

心臓・循環器の経験は強み。だが最も必要なのは向上心

看護師転職サイト「看護roo!」に掲載されているほとんどの「ICU系」看護師求人の応募資格欄には、「看護師資格をお持ちの方」「ブランク可、新卒・未経験可」とだけ書かれていることが多く、ほとんどの場合は特別な資格や経験は必要ないようです。


画像①心臓外科・循環器
(引用:看護roo!

ですが上で紹介したように、

「心臓外科、循環器科に経験のある方歓迎」
「急性期病院で循環器や救急の経験者」

などと書かれている求人もたまにあることから、心臓・循環器関連の経験があれば強みになるでしょう。

ですが、一番大切なのは熱意と向上心であることは言うまでもありません。

ICU看護師としてスキルを磨くには

こんな資格があれば役立つ

集中ケア認定看護師

必要な知識・技術
  • 生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
  • 廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施(体位調整、摂食嚥下訓練等)

急性・重症患者看護専門看護師

必要な知識・技術

緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。

認定看護師が、主に「臨床現場でのエキスパート」であるのに対し、専門看護師は患者の直接ケアと医療者の連携をはかる「看護ケアのスペシャリスト」という違いがあります。

※いずれも「日本看護協会」の資格認定制度。

専門看護師と認定看護師について詳しくはこちらの記事をご参考下さい。

専門看護師と認定看護師の違いがわかる!自分に合ったキャリアアップを知る方法

呼吸療法認定士

  • 臨床工学技士、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士などが対象
  • 呼吸療法の習得と、呼吸管理を行う医療チームのレベル向上を図ることなどを目的とした資格
  • 呼吸療法(吸入療法、酸素療法、呼吸理学療法及び人工呼吸など)の実施およびその遂行に用いる機器の管理などが役割
  • 受講資格は看護師経験2年以上。2日間の認定講習会を受講後、認定試験に合格することが条件

※「3学会合同呼吸療法認定士認定委員会」の認定制度

(参考:公益財団法人医療機器センター

救命処置のセミナー

ここでは、救命処置のためのセミナーを2件ご紹介します。

日本BLS協会という団体がAHA(アメリカ心臓協会)の公式BLS(一次救命処置:Basic Life Support)コースを開催しています。

日本救急医学会が開催する医療従事者のための蘇生トレーニングコースで、心臓血管系の緊急病態のうち、特に「突然の心停止に対する最初の10分間の対応と適切なチーム蘇生」を習得することを目標としています。

書籍紹介

ICU3年目ナースのノート

露木菜緒 (著), 道又元裕 (著)

ICU看護師の求人を探す前に知っておきたいこと

給料は少し高くなる傾向

【ICUと一般的な看護師の年収比較】
画像④給料
(参考:看護roo!看護roo!ナースなワタシのお給料

  • ICU看護師の年収は、上のグラフのように、一般的な看護師の年収より30万円ほど高くなる傾向にある。(施設や年齢・経験による)
  • これは、一般的な看護師より夜勤が多くなり、夜勤手当が多くつくためであると考えられる。
  • ほとんどの病院で1ヶ月間の夜勤時間を72時間までに制限する「72時間ルール」と呼ばれる条件が適用されるが、ICUなどはこのルールを免除されている。

(参考:医療労働537号【看護師の夜勤まるわかり】給与や不安・悩みもココを見ればすべて解決!

ICUの求人はごくわずか

【担当業務別の求人割合】
画像⑤担当業務別

上のグラフは看護師転職サイト「看護roo!」に掲載されている求人数を担当業務ごとにグラフにしたものです。

看護roo!」では「ICU」の求人はわずか全体の1%しか掲載されておらず、ICUの求人が非常に少ない傾向がうかがえます。

求人を見る時に押さえておくべき5つの点

ICU専属または兼任?

ICU専属の募集の場合と、下の例のように、救急外来やERとの兼務といった募集もあります。担当業務をよく確認しておくことがお薦めです。

2交代制または3交代制?

ICUのように集中力がより要求される職場では、2交代制か3交代制かは重要な問題です。実際のICU求人では、2交代・3交代・選択制など、様々な勤務条件が提示されています。


画像⑦兼務・3交替
(引用:看護のお仕事

看護師1人につき患者さんは何人?

ICUでは、看護師配置基準が7:1(患者さん7人につき看護師が1人)のところが多いようですが、ICU加算を取得している病院では、下の例のように配置基準が2:1となります。

また、併せて夜勤時の人員体制も確認しておいたほうが良いでしょう。

(参考:厚生労働省


画像⑥勤務体制
引用:看護roo!

主な症例は?

病院によっては心臓外科に特化している、脳外科が強み…などの特徴があるので、そちらも要チェック項目です。

教育制度は?

ICUでは、認定資格取得支援や、学費支援を行っている病院が多くあります。院内研修の有無などと併せてチェックしましょう。

効率的な求人探し

上でご説明したように、ICU看護師の求人は希少です。その少ない情報を集めるには、インターネットを活用することが最も効率的でしょう。

中でも、最もお薦めの方法はこの2つです。

求人検索エンジンを利用する

求人検索エンジンとは
  • インターネット上にある、転職サイトやハローワーク、病院のウェブサイト上などに掲載されているあらゆる公開求人を一括で探すことができる「求人情報専門の検索サイト」のこと。
  • ネット上の求人を一括で見つけることができる。

ここで、「ICU 看護師」などのキーワードに勤務地域を加えて検索してみてください。希少求人を探すには最も効率的な方法のひとつです。

主な求人検索エンジン

求人検索エンジンについて詳しくはこちらの記事をご参考下さい。

夜勤専従看護師はきつい?働く看護師のリアルな口コミと入職時の注意点_最も簡単にたくさんの求人を探す -求人検索エンジンを利用する

看護師転職サイトを利用する

求人検索エンジンとは
  • 看護師を就職させることで病院や施設から紹介手数料を受け取る人材紹介サービスのこと。
  • 看護師は無料で利用することができる。
  • ICU看護師は求人数が圧倒的に少ないうえ、応募が殺到することを避けるために非公開求人となることが多い。
  • 非公開求人とは、転職サイト上には掲載されず、一般に見ることのできない求人情報のこと。
  • 看護師転職サイトでは、非公開求人が多いことを売りにしているところが多い。

なお、転職サイトの中で、「ICU」や「ハイケア病棟」などのキーワードで絞り込んで公開求人を検索できる機能のあるところをご紹介します。(2022年11月時点)

順位転職サイト名求人数
1位看護roo!233件
2位マイナビ看護師
198件

看護師転職サイトについて詳しくはこちらの記事をご参考下さい。

看護師転職サイトランキング【20種の求人条件で比較してみた結果】

まとめ

さて、ICU看護師は医療機器を使ったり直接患者さんに触れたりしながら状況を把握し、患者さんとそのご家族を支援することが役割であることや、メンタルの強い方が向いていること、役立つ資格やセミナーなどについてご説明してきましたが、いかがだったでしょう。

そして、ICU看護師は夜勤が通常より多い分、少し給料が高めであること、求人数が圧倒的に少ないこと、求人を選ぶ際のコツなどもお分かりいただけたと思います。

過酷な現場である反面、確実なキャリアアップが見込めるICU看護師。

この記事があなたの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。