「訪問看護師」に少しでも興味がある方、いらっしゃいませんか。

この記事は、そんな方にぜひ読んでもらいたい内容になっています。

訪問看護は、その需要がここ10年で1.5倍、今後さらに需要が増えること間違いなしの急成長分野です。

しかし、まだまだ情報不足な面も多く、「興味はあるけれど、どうしたらいいか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、訪問看護師の働き方、なるためにはどうしたらいいか、また、訪問看護師のスキルアップについて様々な角度から紹介しています。

将来の看護を担う訪問看護師への理解を深めていただけたら幸いです。

 
 

訪問看護師を取り巻く環境

訪問看護とは

訪問看護とは訪問看護ステーションから、病気や障害を持った人が住み慣れた地域やご家庭で、その人らしく療養生活を送れるように、看護師等が生活の場へ訪問し、看護ケアを提供し、自立への援助を促し、療養生活を支援するサービスです。

引用:全国訪問看護事業協会


訪問看護を行うのは、看護師や准看護師の他に、保健師/助産師/理学療法士/作業療法士/言語聴覚士です。

訪問看護を提供している機関は、

  • 病院に設置されている訪問看護部門
  • 民間などが経営している機関(訪問看護ステーション)

の主に2つです。

病院から独立した訪問看護ステーションでは、医師からの指示書に従ってサービスの提供が行われます。

訪問看護のニーズが高まっている理由

時代の変化とともに、多様なニーズや価値観が認められるようになり、「病気でも、自宅で療養したい」という選択肢もそのひとつでしょう。

また、高齢化に伴う要介護者の増加、入院するよりも訪問看護を選択することによる医療費の節約なども、主な理由としてあげられます。

約10年で、利用者は1.5倍になっています。
訪問看護利用者数
(参考:厚生労働省アフターサービス推進室「アフターサービス推進室活動報告書」

訪問看護師が少ない理由

訪問看護師の数はまだまだ足りていない状態で、実際に訪問看護師は、看護師全体の2~3%しかいません。

その理由として、

  • ひとりの判断で進めることが多く、ハードルの高さを感じる人が多いこと
  • まだまだ訪問看護、訪問看護師に関する情報が少ない

という点があります。

しかし、希望者は決して少ないわけではありません。

そういった人たちのために、訪問看護師養成セミナーや勉強会を、自治体や国が開いたりし、対策が行われています。
 

訪問看護師として働く

訪問看護師の仕事内容

混同されがちな訪問介護と訪問看護、また、病棟での看護と自宅での看護は異なります。

「訪問」においては、日常生活をサポートする点では訪問介護師と一緒ですが、訪問看護師の訪問には、看護師資格を持った看護師でなければできない医療行為が含まれます。

また、在宅においては、限られた機器だけで行わなければならない、患者さんの金銭的負担になる消耗品の使用を考慮しなければならないなど、より患者さん目線の工夫と臨機応変さ、慎重さが求められます。

訪問看護師が行う主なケアは以下のとおりです。

健康チェック
  • 血圧、体温、脈拍、呼吸の測定
  • 健康状態の観察、アドバイス
日常生活の看護
  • 入浴、排泄、食事の介助や指導
  • 療養環境の整備
  • 生活リズムの調整
  • 身だしなみを整えるお手伝い(髭剃り、着替えなど)
  • 車いすやベットへの移動のお手伝い

医療処置
  • かかりつけ医師の指示に基づいたケア(カテーテル交換、インシュリン注射、点滴など)
  • 医療機器(人工呼吸器など)の管理
  • 療養生活へのアドバイス
  • 服薬指導と管理
在宅でのリハビリ指導
  • 日常生活動作の訓練(入浴、トイレ、外出、食事など)
  • 拘縮予防や機能の回復
  • 転倒、転落などの危険防止
精神ケア
  • 不安やストレスの軽減(会話、お散歩、マッサージなど)
  • 治療やリハビリへの意欲換気
ターミナルケア(がん末期、終末期)
  • 痛みのコントロール
  • 看取り体制への相談・アドバイス
  • 本人・家族の精神的支援
認知症ケア
  • 生活リズムの調整
  • コミュニケーションの援助、事故防止のケア

訪問看護師の働き方

休み、勤務時間

基本的には、カレンダー通り、勤務時間は朝9時から夕方5時までの勤務体制をとっているステーションが多いですが、多くの訪問看護ステーションでは、オンコール体制と、休日対応を行っています。

オンコールとは、業務時間外の深夜や早朝に、患者さんからの緊急の呼び出しのことで、訪問看護師が持ち回りで担当します。

休日対応も同様、訪問看護を行っていない週末や祝日に患者さんからの要請があった場合に、いつでも駆け付けられるよう、担当の看護師は待機していなければなりません。

給料

訪問看護師の月給の相場は25~35万円、年収は400~500万円です。

これに、オンコール手当て、休日対応手当てが加わります。

パートの時給の相場は、1500円から2000円です。

訪問看護師の給与の特徴として、働く施設と地域によってかなり差があります。

ですので、これはあくまで平均・相場なので、参考値として考えてみて下さい。

訪問看護師の給料については、こちらで詳しくまとめているので、そちらを参考にしてみてください。

訪問看護師の大変さとは

  • 一人で行動することが多く、責任が大きい
  • 総合的な看護師としてのスキルが必要(判断力、対応力、コミュニケーション能力など)
  • 患者や家族との相性が合わないこともある
  • 移動による苦労がある

訪問看護師という職業の難しさについて、よく言われるのが、責任の重さ、看護師個人の判断力や対応力が求められるということです。

医者による指示書を元にプランを立て、看護を行いますが、患者さんの希望や様子によって臨機応変に対応しなければなりません。

また、介護、看護疲れに陥りやすい家族のケアも同時に行います。

他には、移動の面での苦労もあるようです。

徒歩、自転車、自動車、電車など、訪問看護ステーションが対応する範囲により、移動方法は異なりますが、日々の天候にかなり左右されます。

夏は日焼け対策、雨の日はカッパを着て、雪の日も寒い日も、患者さんの自宅から自宅へ、訪問看護師さんに「移動の悩み」は付き物です。

訪問看護師の役割-訪問看護師だからできること-

訪問看護師の役割の中心は、医療行為そのものよりも、それ以外にあると言っても過言ではありません。

訪問看護師がいない間にも、患者さんが快適に、安心して過ごせるよう、医師と連携し、家族が協力できる体制づくりを行うことが、訪問看護師の役割です。

主な役割をまとめると以下のようになります。

  • 訪問看護を行う準備を整える
  • 在宅医療を維持するためにケアを提供する
  • 患者を観測して、危険を予測する
  • 家族を支援する
  • 看護管理の視点を持つ
  • チームとして連携する
  • 看護経過を記録する

詳しい内容については、別記事でまとめているので、そちらを参考にしてみてください。

訪問看護師の適正

訪問看護の仕事は、同じ看護師でも、病棟とは異なる点が多くあります。

どんな看護師さんが、訪問看護師に向いているのでしょうか。

現役の訪問看護師さんの意見をまとめました。

訪問看護師に向いている人
  • 好奇心旺盛な人
  • 人と話すことが好きな人
  • スケジュール管理能力があり、計画性がある人
  • コミュニケーション能力に優れている人
訪問看護師に向いていない人
  • 最先端の医療技術に興味がある人
  • 他の家の人に入るのが苦手な人
  • だれかに指示をしてもらい、その中で動くことが得意な人
  • 一対一でのコミュニケーションが苦手な人

訪問看護師になるには

必要な資格、経験

訪問看護師になるために必要な資格は、看護師免許または准看護師免許です。

ですので、新卒であっても、看護学校を卒業後すぐに訪問看護師として働くことも可能です。

しかし、実際には3~5年以上の臨床経験を応募条件としているところが多くみられます。

看護師ひとりによる判断や技術によるところが多いので、ある程度の臨床経験をあらかじめ求めざるを得ないからです。

しかし、新卒やブランクがある看護師に対し、研修を行うなど、受け入れ体制が整っているステーションも増えています。

  • 訪問看護師として働くためには、看護師免許か准看護師免許が必要
  • 3~5年の臨床経験を求める求人が多い

訪問看護ステーション選び

訪問看護ステーションの数は年々増えています。
訪問看護利用者数
(参考:全国訪問看護事業協会

一方で、経営がうまくいかず、数年で閉鎖に追い込まれるステーションも少なくありません。

訪問看護の分野では、訪問看護ステーションの経営や運営面での課題が多いのが現状です。

働く訪問看護ステーションを決めるときには、訪問看護ステーションの経営状態や給与体制、福利厚生などもきちんとチェックするようにしましょう。

また、少人数経営が多い訪問看護ステーションにおいて、雇用者との相性や、ステーションの体質などが合わない場合、働きづらいという状況が出てきてしまいます。

ステーション内での協力やコミュニケーションが大切な訪問看護の現場においては、致命的にもなり得るため、訪問看護ステーションの特徴、個性を事前に知ることが大切です。

自分に合った事業所なのかをしっかり見極めましょう。

勤務に関してチェックすべきこと
  • 仕事のローテーション(担当制/交代制)
  • 訪問時の交通手段(特に運転に不安がある人)
  • 1日の訪問件数
  • 研修の有無
  • 教育体制
給与面でチェックすべきこと
  • 給料形態
  • 昇給、ボーナス
  • 福利厚生
  • 自宅待機オンコール制の手当て

訪問看護ステーションの選び方について、より詳しく知りたい方は、こちらを参考にして下さい。

求人を探す方法

求人を探すときには、いくつかの方法があります。

  • 検索エンジン
  • 転職サイト
  • ハローワーク

検索の仕方、おすすめのサイトなどの詳しい内容は、こちらを参考にしてみてください。

夜勤専従看護師はきつい?働く看護師のリアルな口コミと入職時の注意点_夜勤専従看護師の求人の探し方-自分で探す方法

また、近くに訪問看護ステーションがあれば、実際に足を運んでみるという方法もあります。

住んでいる地域にある訪問看護ステーションであれば、土地勘もあると思うので、訪問がラクに始められるというメリットがあります。

参考までに下記は主な転職サイトの訪問看護求人数ランキングになります。(2022年11月時点)

転職サイトは自分で調べにくい職場の環境や人間関係などの内部事情を教えてもらえるメリットもあります。

順位転職サイト名求人数
1位医療ワーカー10,652件
2位マイナビ看護師5,640件
3位看護のお仕事4,194件

訪問看護師スキルアップ

訪問看護ステーション内で研修を行う

訪問看護ステーションによりますが、ステーション内で勉強会や研修を行っているところもあります。

訪問看護師として働きながら、スキルアップを目指す場合には、研修制度が整っていることも条件のひとつとして求人を探してもいいと思います。

訪問看護師養成講座を受講する

訪問看護従事者向けの研修があります。

開いているのは、各都道府県の日本看護協会や、全国訪問看護事業協会、公益財団法人日本訪問看護財団です。対象やテーマは様々なので、自分に合ったものを選んで受講することができます。

から、お住まいの都道府県にアクセスして探すこともできます。

資格を取る

訪問看護師のスキルアップのための資格として、認定看護師があります。
訪問看護認定看護師になるには

  • 実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は訪問看護師の実務研修)
  • 医療処置及び管理を要する患者の訪問看護を5例以上担当した実績を有すること
  • 認定看護師教育機関を修了すること(6ヶ月・615時間以上)

以上の条件を満たした上で、認定試験に合格するという、多くの時間と、楽ではない道のりが待っています。

しかし、訪問看護師としてさらに知識を深めたい人、指導者になるなど活躍を広げたい人にとって、価値がある資格となるでしょう。
(参考:日本訪問看護財団

独立する

最後に、独立して訪問看護ステーションの管理者になるという道もあります。

ふつう、病院に勤務していたら、看護師が開業ということはあまりないと思いますが、訪問看護においては、看護師がステーションを立ち上げることは、珍しくありません。

管理者向けの研修も、日本看護協会や、全国訪問看護事業協会、公益財団法人日本訪問看護財団などで行われています。
 

おわりに


「あなたが始める訪問看護ステーション~在宅ケアに看護師の力が求められている~」
菅原由美・著/雲舟書房・刊

訪問看護師について、知りたいことが知れたでしょうか。

最後に、一冊本を紹介したいと思います。

様々な状況下で働く訪問看護師さんたちのストーリーを通して、訪問看護師の役割や仕事などについて理解を深めることができるだけでなく、看護師さんの訪問看護への想いを感じることができます。

もしかしたら、訪問看護師という仕事のイメージが変わる方もいらっしゃるかもしれません。

経営や開設に関することも、分かりやすく丁寧に書かれているので、いつかは管理者になってみたいという方の導入書として参考にしてみてもいいかもしれません。

とても読みやすい本になっているので、ぜひ参考にしてみてください。