「手術室看護師」と聞いて、ドラマで見るような手術室で医師をサポートすることをイメージする方は多いと思います。

しかし実際、どんなことをしているのか、どんな待遇なのか、よくわからないことが多いというのが現状ではないでしょうか?

また、手術室に配属になった新人さんは特殊な部署なために、周りに相談できずに悩んでいませんか?

ここではあまり知られていない手術室に勤務する看護師さんのありのままの情報をお伝えします。

これを読めば手術室に勤務する看護師さんの実態を把握できるようになり、手術室の先輩看護師が新人時代に悩みをどう解決したかがわかります。

手術室看護師とは

手術室看護師とは、病院の手術室に所属して”手術する患者さんのケアやサポートをする看護師のこと”です。

看護師免許以外に特別に必要な資格はないので、看護師免許があれば誰にでもなるチャンスはあります。

ただ、手術室に勤務する看護師さんの仕事や勤務形態は他の病棟や外来に勤務する看護師さんとは異なる部分が多くあります。

手術室看護師になってからこんなはずじゃなかった…と後悔しないように手術室看護師について理解を深めましょう。

手術室看護師の役割

1つの手術は外科医(執刀医)、介助医(助手)、麻酔科医、臨床工学技士、看護師のスタッフからなるチームで行います。役割を簡単にまとめると下記のようになります。

  • 外科医(執刀医):手術の中心となる医師。必要に応じてスタッフに指示をだす。基本的には手術前に行われるカウンセリングや適性検査なども行う。
  • 介助医(助手):執刀医が作業しやすいように手助けをする
  • 麻酔科医:患者さんへの麻酔薬の導入と維持を担当し、手術中の患者さんの呼吸や循環機能などを管理する
  • 臨床工学技士:医師の指示で生命維持装置の操作をする
  • 看護師:器械出し(直接介助)と外回り(間接介助)の2つに大きく分けられる。また、手術室チームや他部署との連携をとる重要な役割もある。

器械出し(直接介助)

器械出しは、”直接介助”や”手洗い”とも呼ばれます。

手術の進行がスムーズに行くように必要な機器・機材を医師にタイミングよく手渡すことが役割です。術野を見ながら、医師から言われる前に器械を渡すことが理想です。

そうすることで手術時間の短縮につながり、患者さんへの負担も軽減できます。

器械を出すタイミングは医師によって異なり、使用する器材も手術によって大きく変わるので、一通りの手術をできるようになるには約2~3年かかると言われています。(全科担当するとき)

医師や先輩看護師の目が届きやすいことから、新人はこの器械出しからスタートする傾向にあります。

外回り(間接介助)

外回りの看護師さんは、器械出し以外のすべての業務を担当します。

その中で、非日常な環境におかれた患者さんの不安を軽減するよう努めることも大事な役割です。

そのほか、患者さんの安全の確保、急変時の対応、倫理的配慮、手術チームや他部署との連携など役割が多岐に渡るため、ある程度手術室での経験を積んだ看護師さんが担当することが多いです。

術前訪問(前日~当日朝まで)の業務

器械出し 
外回り◆顔合わせをしてアレルギー等の注意事項を確認し、情報収集する※患者さんとのコミュニケーションを図り、より安定した精神状態で手術が受けられるように援助することも、術前訪問の重要な役割です。

術前(当日)の業務

器械出し◆使用する手術器械・器材がすべてそろっているか、滅菌が完全であるかを確認する◆患者入室後、手術時手洗い法に基づいて手洗いをし、滅菌ガウンの着用、滅菌手袋の装着を行う
◆滅菌シーツをかけた器械台に滅菌された器械・器材をセッティングし、定数がそろっているか、破損・欠損がないかを確認する
外回り◆得ている情報から患者の状態を把握し、麻酔方法を確認して必要な薬品、医療機器などの準備を行う
◆患者の年齢や術式に応じて、室温などの環境を整える
◆患者入室時に、患者自らに指名を名のってもらうなど、本人確認を行う
◆病棟看護師からの引き継ぎを受ける
◆患者さんにモニター類を装着し、麻酔導入の介助を行う
◆体位を固定し、圧迫部位の保護、保温を行う

術中の業務

器械出し◆視野を確保するために、術野全体・術者を見渡せる位置に立つ
◆手術の進行状況を常に把握し、先を読みながら正確で迅速な器械出しを行う。器械の受け渡し時は、術者の視野や操作を妨げないようにする
◆使用する手術器機・器械の特性や使用方法を理解して、安全に取り扱う
◆切除した組織は、名称と処理方法を執刀医に確認してから、外回り看護師に手渡す
◆術野での予想外の展開(予測不可能な出血、臓器損傷、術式の追加・変更など)には臨機応変に対応し、執刀医の指示や意向を確認して、必要な物品や人を手配・要請する
◆ドレーンを留置する場合は、その挿入部位や数量を執刀医に確認してから、外回り看護師に伝える
◆手術終了前に、外回り看護師と協力して、器械・針・ガーゼなどの数がすべてそろっていることを確認し(カウント)、体内異物遺残防止に努める。数の一致だけではなく、その形状に欠損がないかも入念にチェックする
外回り◆手術の進行状況と患者さんの状況を把握し、チームメンバー(執刀医、介助医、麻酔科医、器械出し看護師)への支援を行う
◆出血量・尿量の測定を行い、水分出納バランスを把握する
◆出血量を執刀医、麻酔科医へ適宜報告し、必要に応じて輸血部から輸血用血液製剤を取り寄せる
◆他部門(臨床工学技士・輸血部・薬剤部・病棟・病理など)と連携し、正確な情報の伝達・調整を行う
◆手術部位の視野を確保するため、無影灯の調整を行う
◆手術進行を継続的に監視して、優先度を考慮しながら、必要な器械や物品を補充する
◆器械出し看護師から手渡された切除した組織は、名誉と処理方法を確認して保存する
◆器械出し看護師と協力して、器械・針・ガーゼなどのカウントを行い、結果を記録する
◆手術中の看護記録を、正確・簡潔に記載する

術後の業務

器械出し◆患者さん退出後、標準予防策(スタンダードプリコーション)に基づいて、器械・器材の後片付けを行う。未使用のものは返却する
外回り◆手術体位を解除し、創部の被覆、ドレーンの固定を行う
◆気管内チューブ抜管操作の介助を行う
◆看護記録をもとに、病棟またはICUの看護師に申し送りを行う
◆患者さん退室後、標準予防策(スタンダードプリコーション)に基づいた後片付けを行う
◆患者の退室を、病棟あるいはICUへ連絡する。全身状態が落ち着くまで、リカバリー室(回復室)で15~30分観察を行う施設もある

術後訪問(病院によって)の業務

器械出し 
外回り◆患者さんの状態を観察したり、患者さんから手術を受けて気づいたことや傷の痛みなどについてヒアリング※術後訪問をしていない病院や、していたとしても”必要な場合のみ”と条件があるところが多い。必要性は感じているが、できていないというのが現状のようです。

(参考:ナツメ社「ナースのために やさしくわかる手術看護」

学べること・身につくスキル
  • 各器械や解剖の知識、手術ごとの術式の流れ
  • 予測する力と状況判断力
  • 言語的コミュニケーションに頼らず、患者さんの訴えを聞き分ける力

(参考:看護ネット「手術室看護から周麻酔期看護へ、私のフライト」
(参考:オペ・ナース養成講座「手術室看護の魅力、ここで学べること」

手術室看護師は人気がない4つの理由

第一希望部署ランキング
配属部署ランキング
16位 手術室    45名

(画像:看護roo!「緊急アンケート(2)「配属どうなった?」|新人看護師特集【Vol.8】」

このランキングを見ると、配属希望は少ないけれど実際に配属されることが多く、あまり人気がないことがわかります。

第一線で活躍する花形のはずが、なぜあまり人気がないのでしょうか?

さまざまな理由があると思いますが、その中で下記の4つの理由が大きく影響していると考えられます。

手術室看護師の人手不足

近年、高齢化の進行などにより、手術件数が増加しています。それに対し、手術室看護師の増加はわずかです。

全国国立大学病院における平成 18 年までの 10年間の総手術件数は 1.5 倍に増加していますが、看護師は総員 1,251 名から 1,493 名に増加しただけで、1.2 倍にとどまっています。

看護師一人あたりの手術件数は年間 123 件から 151 件に増加しており、過重労働が懸念される状況です。

また、平成18年より一般病棟の看護師配置が7対1(患者さん7人に対して看護師1人の配置)基準をクリアしている医療機関は最も高い診療報酬を請求できるようになりました。

そのため、医療機関は病棟看護師の確保を優先するあまり、手術室看護師数を抑えたり、手術室から病棟に移動させる病院もあり、余計に手術室看護師への負担が大きくなっています。

(参考:手術部看護師の適正数に対する新たな算定式の提案

手術室特有の勤務体制(オンコール)

病棟は2交替または3交替で夜勤があるのに対し、手術室看護師の多くは、平日の決まった時間に勤務し(日勤)、それにプラスして当直や自宅待機(オンコール)当番があります。(夜勤があるシフト制の病院もあります)

自宅待機(オンコール)というのは、勤務時間外であっても緊急手術などで呼ばれればいつでもすぐに対応できるように待機していることです。

いつ呼ばれるかわからないため、遠方への外出や飲酒ができなかったり、入浴・睡眠中も気にかけていなくてはならず、負担に感じる看護師も多いようです。

手当も病院によってばらつきがあり、満足のいく手当がもらえていない傾向にあります。

患者さんと接する時間が短い

手術室で患者さんとコミュニケーションをとれる時間は術前・術後訪問時と術中とごく限られており、病棟に比べるととても短いです。

そのため、患者さんとのコミュニケーションをとることにやりがいを感じる看護師さんには敬遠されがちです。

手術室看護師について知る機会がない

看護学校の多くでは手術看護について学ぶ機会が少なく、約7割の学校が見学のみで終わっています。

現役の看護師さんでさえ詳しく知らない人がほとんどです。

実態が知られていないということも、人気がない要因になっていると考えられます。

そんなわからないことだらけの手術室看護師の実態についてこれから詳しくお伝えしていきます。

給与・手当・勤務体制の配属先ごとの違い

“手術室看護師は人気がない4つの理由 - 手術室特有の勤務体制(オンコール)”で述べたとおり、手術は通常、平日の日勤の時間帯に行われるため、基本は日勤勤務となります。

ただし、緊急手術に備えて当直(宿直)や自宅待機(オンコール)当番があります。

よく手術室看護師は病棟看護師よりも給料が低いといわれますが、それは病棟看護師は夜勤があるのが基本であるのに対し、手術室看護師で夜勤があるのは一部の病院で、多くの病院が当直や自宅待機当番であるためそう言われます。(当直や自宅待機は、基本は待機で業務を行わないため、夜勤に比べて手当が低い傾向にあります)

また、当直や自宅待機の手当、勤務体制(自宅待機の回数や緊急時の呼出し後の勤務について等)は病院によって大きく異なるので、事前によく確認することが必要です。

夜勤…夜間に業務を行う
当直…基本は病院で待機。緊急手術等の時に対応する。
自宅待機(オンコール)…自宅(周辺)で待機し、連絡があれば出勤する

勤務体制・休みの違い

 勤務体制休み
病棟2交代・3交代のシフト制シフト制のため、休みが不規則
手術室日勤+当直or待機当番基本は土日休み。
順番で当直や自宅待機などがある。(夜勤があるところもある)
外来日勤のみ病院の休診日(救急外来があるところは夜勤がある)

メリット・デメリットの違い

 メリットデメリット
病棟平日に休みが取れる
夜勤手当でお給料がいい
夜勤があると体力的にきつい
手術室土日に休みが取れる自宅待機の日は呼び出しがあるとすぐに駆けつけなくてはいけないため、遠出できない
外来休日が決まっている夜勤がないため、給料が安い

給料平均・手当の違い

 給料平均
常勤(夜勤あり)
給料平均
日勤常勤
手当
病棟4,814,401円(3055件)3,963,915円(326件)夜勤手当
手術室4,830,707円(40件)4,478,175円(154件)手術手当
危険手当
当直手当
待機手当
外来4,712,922円(80件)3,945,122円(422件) 

(参考:看護roo!「ナースなワタシのお給料【看護師の年収を比較】」

手術室看護師の大変なこと・やりがい

大変なこと

手術室看護師の大変なことは主に下記のようなことがあげられます。

  • 覚えることが多い

診療科の数だけ、術者の数だけ、手術の種類だけいろいろな手術のパターンがあり、器械出しの場合、それぞれに必要な器械や手順を覚えなくてはなりません。

器械出しを覚えたら麻酔や薬剤の知識も必要になります。

  • 医師に怒鳴られることもある

手術中は生命に関わることもあり、スムーズに器械出しできなかったり、ミスをすると怒鳴る医師もいます。

  • ミスが患者さんの生命につながりかねない

手術室でのミスは患者さんの生命につながりかねないので、常に細心の注意が必要です。

  • 緊迫する場面がある

緊急性のある緊迫した場面では、最大限の集中力が必要となります。

  • 手術によっては長時間立ちっぱなしになることがある

長時間手術の場合、通常途中で交替するのですが、緊急手術などが入って交替する看護師がいない場合等、そのまま続けることもあります。

  • 患者さんとゆっくり触れ合えない

患者さんと触れ合える時間はごく限られています。

術前・術後訪問がない病院ではなおさら短くなります。

やりがい

上記のグラフを見ると、患者さんや家族の不安解消や術中の患者さんの観察等、患者さんと関わるところにやりがいが重要だと感じる傾向にあります。

その他、器械出しの器械・器材を迅速・安全に渡すことや、体内に残存しないように観察すること等、手術室ならではのことにもやりがいが重要だと感じています。

一方、手術器械・ME器械の点検・保管などの業務に関して、重要な業務と認識しているが、やりがいを感じない傾向にあります。

ここから現役の先輩看護師さんのやりがいについてのインタビューをご紹介します。

亀田メディカルセンター 中央手術室 主任 松山砂織さん

看護師として、主任として仕事の「やりがい」はどんなところに感じていますか?


手術室看護師として、チームワークを発揮して無事に手術が終わり患者さまを病棟へ見送る時です。


主任としては、スタッフが相談に来てくれた時、そして、一緒に悩みながら問題解決していくこともやりがいを感じます。


スタッフが独り立ちして、非常にリスクの高い手術を受け持ったり、後輩に指導する姿を見ると、一年目を思い出して、こんなに成長したんだなと感慨深いものがあります。

引用:亀田メディカルセンター 看護師リクルートサイト「主任インタビュー」
日本私立学校振興・共済事業団 東京臨海病院  看護部 看護管理室

当院の手術室へ異動して1ヶ月の看護師暦10年以上の看護師にインタビューしてみました。


「人間の身体の神秘性を目の当たりにする感動がある。身体は疲れているけど、感動や発見、何より達成感を感じる。


昨日できなかったことが、きょう経験してできた時の達成感は何ともいえない喜び。それから、医師の技術を間近で見られる。


長年看護師をやっているけど、こんな経験はしたことなかった。好奇心を刺激され毎日勉強するのが楽しい。」と語ってました。

引用:マイナビ看護学生 「オペ室での看護のやりがい」
医療法人社団東光会 戸田中央総合病院  総務部 未 麻美さん

患者さまは眠ってしまっているので、入退室のときしか会話することはありませんから「やりがいって…」と思うかもしれませんね。


当院では、手術室看護師が、術前術後に患者訪問をしています。


大きな手術後の患者さまが歩いていたり、退院するのがわかるとうれしいですし、緊急手術に早い対応ができて救命できたら「よかったー」と心から思うそうですよ。

引用:マイナビ看護学生 「オペ室での看護のやりがい」
済生会新潟第二病院 先輩看護師インタビュー 山本 伸さん

大変なことや、やりがいを感じることはなんですか?


看護において大切なことは、患者さん一人一人に寄り添い、話を傾聴し、患者さんの心情や苦痛を少しでも理解してあげることだと思います。


また、療養生活を安心して安楽に過ごしていただけるように様々な視点から看護を提供していくことだと思います。看護師の当然の仕事なのかもしれませんが、常に心に留めて仕事をしようと心がけています。


また、患者さんから「ありがとう」「楽になった」の一言で看護師になって本当に良かったとやりがいを感じます。

引用:済生会新潟第二病院 「先輩看護師インタビュー」
川崎医療福祉大学/卒業後のキャリア(看護師) 石本 美絵さん

◆この仕事の魅力・やりがい◆


不安で泣き出す患者さんもいますよ。「明日、手術のお世話をさせて頂きます」と私が病棟を訪ねた時に。


体にメスが入ると思えば、誰でも平常心ではいられません。泣き叫ぶ子供をなだめながら「よろしくお願いします」と頭を深々と下げる母親もいます。


我が子を安心させようと気丈に振る舞う親御さんの顔を見ると、胸が締め付けられそうになります。手術室担当の看護師は病棟の看護師と異なり、患者さんとの日常の付き合いはありません。接するのは手術時だけ。


でも、患者さんの一番不安な瞬間に立ち会う仕事だと思うと、全力を尽くさないと!と感じるんです。手術が無事終了し「楽になったよ、ありがとう」と言って頂ける瞬間が、一番の喜びです。

引用:スタディサプリ進路「卒業後のキャリア」

手術室看護師に求められること

手術室看護師に求められることは、下記のようなことになります。

手術室だけでなくどこでも求められることでもありますね。

手術室は特殊だから、病棟経験が必要なのでは?新卒で手術室勤務はできないのでは?と思われる方も多いのですが、実際には新卒で手術室に配属される病院も多くあります。

  • コミュニケーション能力
    手術室看護師は執刀医と麻酔科医のサポートをしたり、他部署との連携が必要なため、コミュニケーション能力が求められます。
  • 体力
    手術によっては10時間立ちっぱなしということもあります。
  • 集中力があること
    手術中のミスは患者さんの生命につながりかねないので、集中力が必要となります。
  • チームワーク
    手術は一人ではできません。執刀医や麻酔科医、看護師などの手術室スタッフ全員のチームで成り立ちます。

(参考:マイナビ看護学生 「オペ室での看護のやりがい」)

こんな人におすすめ
  • 解剖生理について勉強したい
  • チームワークを重視し、チームで目的を達成することにやりがいを感じる
  • 術前・術後の看護をもっと充実させたい

※患者さんとじっくりと時間をかけてコミュニケーションを取りたい方は、病棟で勤務された方が活躍できるかもしれません。

手術室看護師で得られる資格『手術看護認定看護師』

手術看護認定看護師とは、日本看護協会が認定する看護師(全21領域)の一つに該当し、平成26年度現在、全国に314名います。

認定看護師には下記の3つの役割があります。認定看護師の詳細についてはこちらをご覧ください。

役割

  • 個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
  • 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
  • 看護職に対しコンサルテーションを行う。(相談)

求められる知識・技術(一部)

  • 手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
  • 周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践

(参考:日本看護協会「認定看護師」

手術看護認定看護師インタビュー

北里大学病院 廣野 恵子さん

在学中は、他の病院の手術室の看護師の方たちと触れ合って、客観的に自分の職場を考え、今まで自分のしてきた看護を再確認する、良い機会になったと思います。









引用:北里大学病院 看護部「認定看護師(CN)からのメッセージ 」
みつわ台総合病院 林さん

良かったことは、同じ目的・目標をもった人たちに出会えたことです。すごく支えになりました。


また「指導」という授業がとても興味深かったです。教育に関わる人たちに是非受けてほしい授業でした。


引用:みつわ台総合病院「看護部スタッフインタビュー 」

手術室看護師としてのキャリアについて

手術室で経験を積んでスペシャリストになる

手術室の仕事は、専門性を発揮しながら動けるようになるには4~5年かかると言われています。

しかし、手術室に配属されて3~4年経つと、次は病棟等の経験をしたいと異動してしまうので中堅より上の指導的立場の看護師さんがなかなか定着しないという現状があります。

そんな中で、手術室で経験を積んだスペシャリストはまさに今、必要とされています。

大阪赤十字病院 手術看護認定看護師 山口 円さんのインタビュー

認定看護師になって取り組まれていること、変化したことなどはありますか


取得後に感じるのは、発言力や情報の発信力が大きなものになってきたという部分です。

もちろん、それだけ責任も伴うのですが、スペシャリストとしていっそうの信頼をいただくようになった分、発言の機会も増えてきたように思います。


そして、いま主に取り組んでいることは院内の研修会の充実です。手術室はどちらかというと閉鎖的な職場ですが、その中で様々取り組みをしているということを、よりオープンにしていきたいと考えています。


近年は病棟とオペ室が一体となった周手術期という考え方が一般的になってきており、もっと手術看護のクオリティの底上げをしていかなければいけません。新しい事をどんどん導入して活性化していくためには、知識や情報の質の底上げが大事だといえます。


その意味でも、雑誌社からの講演依頼や執筆などのお話をたくさん頂いていることも自己研鑽につながりますし、活動が院外へと広がっていくことで、成長できる機会が増えているようにも感じています。

引用:ナースの星Q&Aオンライン「ナースマガジン」

手術室の経験を他の部署で活かす

手術室の経験は他に異動すると役立たない、潰しがきかないとよく言われます。

確かに病棟に異動すると、業務内容が全く異なるので最初は新人と同じ扱いをされることも多いのは事実です。

勤務体制も異なるため、夜勤がなかった方は勤務体制に慣れるのも大変です。

ですが、そんな中で手術室から異動した看護師は、手術室での経験・知識が術前・術後のケアに生きていると言っています。

手術する患者さんからしても、手術に詳しい看護師が身近にいることはとても心強いことでしょう。

下記に麻酔科医や先輩看護師が手術室の経験について書いた内容をご紹介します。

『手術室の中へー麻酔科医からのレポート』の著者 弓削孟文さん

手術室看護は看護の基本であり出発点である”“手術室での経験は病棟に配属差されても、あるいは外来や検査室に配属されても、大いに役立つ知識であり、経験である。


私は、手術室専属看護婦の経験を持つ看護婦は、どの部署に配属されてもその経験を生かし、優れた看護婦として活躍できると確信している

引用:集英社新書「手術室の中へー麻酔科医からのレポート」

順天堂大学医学部付属静岡病院 手術室 師長の矢田みどりさん 先輩インタビュー

看護師として手術室を経験することは、今後の看護人生に大きくプラスになり、特に外科系看護師を目指すスタッフは術前・術中・術後と一連の流れを知り看護ができるようになる






引用:順天堂大学医学部付属静岡病院「先輩インタビュー」
東京衛生病院 手術室 看護歴11年目の看護師さん インタビュー

実習生や新人などによく手術室はいいところですか?と相談されることがあります。


話を聞いてみると、手術室は特殊な場所で自分には務まらない、潰しが効かない、まず基本になるのは内科や外科の病棟ではないか?と思っていることがよくわかりました。


私の答えはこうです。手術室ほど基本的な学びが出来る科はなく、つぶしが効かないと思っているのは実は逆なんだ。これは私が10年以上の働きの中で常々思ってきたことです。


私は新人の頃、病棟にいたことがありますが、患者さんの病態を把握しようといくら本を読んで勉強しても曖昧な理解しか得られなかったのです。ところが手術室に移動して、百聞は一見に如かずとはこのことだと思わされました。


手術室では、一番大事な解剖を、実際にその目で見ることが出来ます。解剖を知ることで病態が分かり、病態が分かることで看護が分かります。手術室勤務はあなたの理解を確実に助けます。“とおっしゃっています。

引用:東京衛生アドベンチスト病院「先輩看護師の声」

新人手術室看護師さんにおすすめの本

手術室に配属が決まった方や、手術室に配属されたばかりの新人さんにとっては、何から勉強したらいいのか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

不安を解消するために少しでも本で勉強したいという方に、先輩看護師さんがおすすめしている本をご紹介します。

オペ・ナース養成講座 管理人さんのおすすめ

【イラストでわかる外科手術基本テクニック】

おそらく研修医など医師向けに書かれた参考書だと思いますが、外科手術に使う器具の由来から使い方、

縫合糸や結紮の基礎、各種ドレインやバルーンカテーテル、尿道ステントなど外科手術に関わる器具・医療材料、

テクニックなどの基礎知識が幅広く解説されています。



【カラーイラストでみる外科手術の基本】

外科手術の基礎ともいうべき手縫いによる腸管吻合(端端吻合、側端吻合とかね)の詳しい図入り解説からはじまり、現在主流の自動吻合器(CDHとか)の仕組み、バイクリル等の現在のオペで実際に使われている縫合糸のこと、スキンステイプラーの仕組み、電気メス、各手術器械の取り扱いなど、写真と図入りでわかりやすく説明されています。


さらに嬉しいことに、載石位、側臥位などの特殊なオペ体位時の神経麻痺などの注意点や、「ハンドシグナル」 ― 医者がこういう手つきをしたら何をほしいと言っているのか、なんてことまで書かれています。

  • 手術室を知るために~オススメの本

【手術室の中へ―麻酔科医からのレポート】

手術の流れ、全身麻酔・脊椎麻酔・硬膜外麻酔のこと、麻酔にまつわる合併症など、手術室勤務であれば最低限知っていなければならない事柄が一般人向けの言葉で平易に書かれています。

【ナースのための図解手術の話】

新人手術室看護師向けに基本的なことがQ&Aで書いてある入門書。


この手の本はたいていの場合、業界で権威のある麻酔科医や外科医が監修していることが多いのですが、この本は「さいたま市立病院手術室/監修」というところがおもしろいなと思いました。




【オペナーシングの毎年4月号】

毎年、オペナーシングの4月号にはこんな新人向けの特集が組まれているのですが、オペ室ナースが最初に押さえておきたい基礎知識がギュッと凝縮されて詰まっています。


オペ室業務の概要を知るという意味でもとっても有意義ですので、オペ室関連で読むべき最初の1冊として毎年お薦めしています。

引用:オペ・ナース養成講座

大分岡病院 看護部ブログ 【 手術室のつぶやき 】 ぶぅさんおすすめ

【手術看護に見る 匠の技】:土藏愛子著

これはですね~、いわば「手術看護のなんたるか」「手術室看護師のあるべき姿・持つべき誇り」、

そんな「手術看護総論」のような本です。

ぜひとも!ぜひとも読んでほしい!これは本当に良い本です。





【周術期管理チームテキスト】

これは日本麻酔科学会が出しているもので、とても分かりやすいし医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士など多職種向けになっています。

引用:大分岡病院 看護部ブログ「手術室のつぶやき」

手術室看護師になるための病院選びの時に確認する7つのこと

“給与・手当・勤務体制”で述べたように、手術室の環境(勤務体制や手当)は、病院によって大きく異なります。

手術室に勤務になってから、こんなはずじゃなかった…と後悔しないためにも、確認しておくべきことを押さえておきましょう。

年間手術件数・手術室数・看護師数

手術室看護師の配置は、手術室数が多いほど、件数が増えるほど、手術室1室あたりの看護師数は増加する傾向にあります。

“手術部看護師の適正数に対する新たな算定式の提案”によると、大学病院の平均が1部屋あたり3.31人の配置であるのに対し、一般病院では2.94人と3人にみたない配置となっています。

これは大学病院の手術室数の平均が12.3室であるのに対し、一般病院の手術室数平均は7.5室と約5室少ないためだと考えられます。

1室あたりの看護師数は病院の規模に左右されることがわかります。

手術件数が少ないと看護師数も少ないため、業務が多岐に渡ったり、勤務がハードだったりする病院もあるので、よく確認しましょう。

実施している手術の種類

手術の種類(外科・消化器科・婦人科・整形外科・脳神経外科・皮膚科・眼科など)が多い病院では、手術件数も多くなります。

そのため器械や術式など、覚えることがたくさんあり大変ですが、より幅広い知識や経験が得られます。

一方単科病院などの手術の種類が限られている病院では、一つの科の多くの症例を経験できるため、より専門的な知識を深められます。

手術室専属か、病棟や外来との兼任か

手術件数の多い大規模な病院では、手術室専属で勤務することになります。

手術件数が少ない病院になると、病棟や外来と兼務するところもあります。

夜勤or当直当番or自宅待機(オンコール)当番か 月の回数や手当について

夜勤なのか当直なのか自宅待機なのか、それとも夜勤&自宅待機の両方なのか?月の夜勤や当番の回数は何回あるのか?手当はあるか?金額は?

上記のことはライフスタイルに大きく影響するところであり、病院によって大きく差があるところでもあります。

教育制度について

大規模な病院になると教育制度が充実している傾向があります。

新卒の方や未経験で手術室看護師を目指している方は要チェックです。

術前訪問・術後訪問があるか

術前訪問・術後訪問では患者さんと触れ合える機会になります。

専任の麻酔科医がいるか

病院選び比較表

手術件数が少ない病院では、専任の麻酔科医がいない場合があります。

その場合、執刀医と麻酔科医のコミュニケーションをスムーズにするためのサポートが必要となります。

そのほか、実際に見学することをお勧めします。

見学することで見えてくることも多くあります。

以上が確認しておきたいことになります。

これらを下記の表のようにまとめると比較しやすいのでオススメです。

比較表のダウンロードはこちらから

手術室看護師 求人数比較

10.(1)~(7)を自力で調べるのは時間がかかって、大変だと感じる方も多いと思います。

忙しくて時間が取れない方は、転職サイトの無料転職サポートを利用するのも一つの方法です。

メリット
  • 自力で調べられない職場の人間関係や離職率等の内部情報を教えてもらえる
  • 時間短縮になる(求人を探す手間や病院との交渉や病院見学・面接等の日程調整など)
  • 非公開の求人を紹介してもらえる

参考までに下記は主な転職サイトの手術室の求人数ランキングになります。(2022年11月時点)

順位転職サイト名求人数
1位看護のお仕事1,530件
2位マイナビ看護師888件
3位医療ワーカー789件

手術室看護師の悩み

毎日覚えることが沢山あり、自分の成長が実感できなくてつらい

手術室に配属されて数か月経つと、想像以上の忙しさと覚えることの多さに精神的にも体力的にも辛いと思います。

また、せっかく術式を覚えても同じ術式が出てくるのはいつになるのかわからない、同じミスを繰り返さないように覚えても新しいことをしてまたミスをしてしまう…等、努力がなかなか成果につながりにくく、成長が実感できないために辞めたくなる方が多いと思います。

手術室で一通り仕事をできるようになるのに3年、専門性を発揮しながら動けるようになるには4~5年かかると言われています。(もちろん病院によって異なりますが)

ですから、1年目は覚えても覚えても新しく覚えなくてはいけないことが出てきて、成長できたと実感ができず一番苦しい時期です。

覚えることが多すぎて、焦っていませんか?

自分だけができない、自分は手術室に向いていないのかもと悩んでいませんか?

今周りで活躍している先輩看護師も、新人時代は同じように悩み、辛い経験をしています。最初から100を目指す必要はないのです。

毎日達成できそうな小さな目標を立てて、少しずつ成長している自分を実感し、自信を持つことも大事なことだと思います。

ですが、本当にどうしようもなくなったときは無理はせず、異動や職場を考えましょう。

外に出てから見えてくることもあります。

病棟で学んだ知識・技術を生かせなくてつらい

異動になると覚えることが沢山あり、必要な技術も異なるため、今までの病棟の経験が生かせずつらいと感じると思います。

しかし、手術室の経験が病棟で生きるのと同じように、病棟での経験は間違いなく手術室で生きます。

六甲病院では手術室看護師全員が病棟経験者で、“手術看護が継続看護の一部であることを実感している”とおっしゃっています。

また、病棟看護師とのコミュニケーションがとりやすくなり、患者さんにとってよりよい看護を提供できるのではないでしょうか。

(参考:六甲病院「看護部案内」
(参考:看護師お悩み相談室

患者さんと接する機会が少なく、やりがいが見出せない

手術室にくると、患者さんと接する機会が少なくなり、やりがいを見失ってしまう方が多くいます。

手術室ではごく限られた短い時間の為、どんなに患者さんが感謝していてもそれが伝わりにくいのもやりがいを見失ってしまう要因の一つかと思います。

ただ一つ言えるのは、手術を受けることに不安な患者さんが頼りにしているのは看護師さんだけです。

患者さんが不安を軽減して手術に望めるかは看護師さんにかかっています。

不安が取り除けないまま極度の緊張状態が続けば手術にも悪影響がでてくることもあるのです。

いい意味でも悪い意味でも短い間のやりとりで患者さんには伝わります。

おわりに

手術室看護師は辛くて大変なことが多いですが、ここでの経験やスキルは、今後の看護師人生に生きてくることでしょう。

興味がある方は見学だけでもしてみはいかがでしょうか?