- 「20代で3回転職しているけれど多い方かな?」
- 「転職回数が多いと次の採用で不利になるの?」
- 「転職は何回までが許容範囲?」
この記事を開いてくださった看護師さんのあなたはこんなことに悩んでいるのではありませんか?
看護師の世界に限らず、短期間で転職を繰り返す人は
「辛抱が足りない」
「また次もすぐ辞めるのでは?」
などといったネガティブなイメージを持たれがちです。
ですが同じ転職回数であっても、事情や状況によって評価は全く変わってきますし、やりようによっては、マイナスと捉えられがちな要因をプラスに転じることができるかもしれません。
この記事では、看護師の転職回数が多いと感じている方が、有利な転職を進める秘訣をお伝えしていきます。
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みんなどのくらい転職してるの?
看護師の転職平均回数は2回
【看護師の転職平均回数】
0回 | 23.9% |
1回 | 20.3% |
2回 | 23.1% |
3回 | 13.1% |
4回以上 | 19.4% |
平均 | 2回 |
- 首都圏・関西圏の現役看護師を対象に、看護師転職サイト「ナースフル」が行ったアンケート調査(上の表【看護師の転職平均回数】)では、これまでに経験した転職回数の平均は「2回」という結果に。
- 「0回」つまり就職した職場にそのまま勤めている人の占める割合が最も多く23.9%。
- 次いで「2回」が23.1%、「1回」が20.3%、と12回の転職を経験した人が約43%。
年代別で見る転職回数
【看護師の年代別転職回数】
年代別 | 20代 | 30代 | 40代 |
0回 | 45.8% | 23.0% | 11.7% |
1回 | 30.1% | 21.1% | 12.5% |
2回 | 16.9% | 24.1% | 25.0% |
3回 | ー | 14.6% | 18.8% |
4回以上 | 6.0% | 8.8% | 13.3% |
平均 | 0.9回 | 2回 | 2.8回 |
- 学校を卒業して社会人になったばかりの20代では、約半数(45.8%)の人が「0回」と回答している。
- 見逃せないのは20代で転職を経験した人が合わせて約53%いること。
経験年数の浅いうちから、すでに過半数が転職を経験していることになるが、「看護師」という国家資格があればこその結果かも? - 30代になると「0回」という回答は23%に半減。
- 「1回」「2回」がそれぞれ約2割を占め、そして残りの約3割の人が「3回」以上の転職を経験。
- 30代は結婚や妊娠・出産など、ライフスタイルの変化が大きい、あるいは中堅看護師としてより条件のよい職場に移る時期であるといえる。
- 40代になると、最も多い回答は30代と同じく「2回」(25.0%)だが、大きく異なってくるのは、同じ職場に勤め続けている人(0回)が11.7%とぐっと減ること。平均も2.8回と、転職経験が当たり前になってくる傾向が。
(参考:ナースフル)
転職する理由、しない理由
転職する理由
まず、看護師のみなさんはなぜ「転職」するのか、その理由をランキングから探っていきましょう。
【転職する理由ランキング(他の看護職へ)】
1位 他施設への興味
2位 給与に不満があるため
3位 休暇がとれない・とりづらいため
4位 超過勤務が多いため
5位 責任の重さ・医療事故への不安があるため
6位 夜勤の負担が大きいため
7位 人間関係がよくないから
8位 キャリアアップの機会がないため
9位 本人の健康問題のため
10位 出産・育児のため
(参考:厚生労働省報道発表資料)
- 1位は「他施設への興味」ということで、ポジティブな理由が首位に。
- 2位から8位は、全て勤務先の待遇や人間関係に対して不満があるという「ネガティブな理由」。
- 当然のことながら、転職には「ポジティブな転職」と「ネガティブな転職」がある。
次に「転職」ではなく「退職」する理由のランキングを見ていきます。
【退職する理由ランキング】
1位 人間関係(いじめ、パワハラ含む)
2位 労働環境の不満(休日、残業含む)
2位 上司・経営者への不満
4位 給与・待遇の不満
4位 仕事内容への不安・不満
6位 病院の方針・経営状況
8位 スキルUP
8位 昇進・評価の不満
10位 結婚・出産など家庭の事情
10位 その他
(参考:ナースの転職知恵袋byナース人材バンク)
- 「退職」は「とにかく今の職場から離れたい」という動機が多くなるのか、「転職」とはまた違って、実に16位までが「ネガティブな理由」で埋め尽くされている。
転職しない理由
さて、次に視点を変えて転職「しない」理由を探っていきます。
【転職しない理由】
1位 通勤が便利だから
2位 人間関係がよいから
3位 勤務時間が希望にあっているから
4位 休暇がとりやすいから
5位 福利厚生が充実しているから
6位 給与が希望にあっているから
7位 キャリアアップの機会があるから
8位 教育体制が充実しているから
9位 育児支援策が充実しているから
9位 定年後も働ける仕組みがあるから
(参考:厚生労働省報道発表資料)
- 「通勤が便利だから」が1位。夜勤シフトのある看護師や、家庭持ちの看護師にとっては、「通勤時間」は切実な問題であることがうかがえる。
- 2位は「人間関係がよいから」という結果に。
「看護師の転職」に関してさらに詳しくはこちらをご覧ください
【保存版】看護師転職パーフェクトガイド<ブレない自分軸でハッピーに転職する3ステップ>
ネガティブな転職を繰り返す看護師の特徴
ネガティブな理由で退職・転職を繰り返す人は、下記の体験談にもあるように、
- 「人間関係や業務内容でつまずきやすい」
- 「ストレスを抱えやすい」
といった特徴があるようです。
そして、また相性の合わない職場へ転職をしてしまい、悪循環へ陥ってしまうといった傾向がうかがえます。
私は今回3回目の転職となりますが、私の経験として長く続かなかった理由としては、最初の職場は人間関係(特に上司)、次の職場は私自身が業務についていけなかったこと(知識不足もありますが、性格的にも合わなかった)です。(頑張り人間さん)
引用:看護師お悩み相談室
私は数えきれないくらい転職しました。(中略)
引用:看護師お悩み相談室
経験あるから採用されるけれど1日で辞め1週間で辞めたりしてると行くところなくなりました。
後悔しますよ、特に休日数も給料も優良な病院はね。でも、その時は「辞めたい」気持ちが勝ってるんです。
落ち込みます、また履歴書かいて職場探しかと。(匿名さん)
転職回数が多い看護師の評価
転職回数が多いと採用に不利?
転職回数が多いことで、採用に不利になることはあります。
採用する立場からすれば、転職を繰り返しがちな人を採用してもまたすぐに辞められるのではないか、という不安があるからです。
短期間で辞められてしまうと、
- 書類選考・面接・採用手続き
- 採用後の指導にかけた人件費や時間
- 戦力として貢献する前に支払った給料
などの「投資」がすべて無駄になってしまうわけですから、転職回数の多い人を警戒してしまうのは致し方ないところでしょう。
年代別・不利になる転職回数とは
それでは、何回ぐらい転職をすると「転職が多い」と思われるのでしょうか?
- 一口に転職回数と言っても、「20年目で4回の転職」と、「3年目で4回の転職」では、印象がかなり異なる。
- 転職回数が多いと感じるかどうかは、この看護師歴に左右される。
- 目安としては、20代であれば3回、30代であれば4回ぐらいまでなら、転職回数を理由として採用に不利にならないとされる。
(参考:ナースときどき女子by看護のお仕事・【保存版】看護師転職パーフェクトガイド<ブレない自分軸でハッピーに転職する3ステップ>)
本当に問題なのは「回数」よりも「期間」と「理由」
そして、さらに重要なのが1か所での勤務期間です。
- 「5年で4回の転職をしたが、1つの職場で3年以上勤務していた経歴がある」と、「4回とも1年前後」では、印象が大きく変わる。
- また、5年で4回の転職であっても、その理由が「結婚・出産・夫の転勤・親の介護など、やむを得ない理由」と、「特に生活に変化がないのに転職を繰り返している看護師」とは、採用側の捉え方は違ってくる。
(参考:ナースときどき女子by看護のお仕事)
もうネガティブな転職を繰り返さないために
もっとも重要なのは「情報ギャップ」をなくすこと
- すでに述べたようにネガティブな転職の原因は「人間関係」や「職場と相性が合わなかった」「ストレスを抱えやすい」というケースが多い。
- ある調査によると看護師の転職に際して、8割近くの看護師が就職前と就職後の情報のギャップを感じており、もっともギャップを感じたのは「職場の雰囲気・人間関係」という結果が出ている。
Q.現職または前職の病院についてお尋ねします。職場の実態は、就職前に想像していたとおりでしたか。(n=200)
- 日本看護協会の調査では、就職先を探す際、施設が提供するパンフレットやホームページだけではわからない、実際に働いている人たちからの「生きた」情報を参考にしたいという意見が多く見られた。
- ただし、施設に友人や知人がいない場合、お互い見知らぬ相手とやり取りをすることは望んでおらず、信頼できる第三者を介したほうがより実情に近い情報が得られるのではないか、という意見も。
なお、ストレスの抱えやすさに関しては、自身の気の持ちようや場数を踏むことである程度改善していくしかないでしょう。
その改善方法に関しては、下の記事を参考にしてください。
看護師の辛い人間関係を良好に乗り切るには?
看護師がドロドロの人間関係を改善するコツ・職場を見極めるコツ
つまり、ネガティブな転職を繰り返さない秘訣は
- 自分に合った職場を選ぶために「職場の雰囲気・人間関係」の「生きた」情報を得ること
- ストレスや悩みをなるべく溜め込まないないようにすること
と、まとめることができます。
(参考:看護師の就職活動に関する意識調査分析・看護職の職業紹介等の実態に関する報告書)
「生きた」情報を得るには?
さて、では生きた情報を得る有効な手段は何でしょうか。
「◎=有効」「○まあまあ有効」「△=あまり有効でない」という三段階の尺度でさまざまな方法を比較してみます。
◎知人・友人の口コミ
自分と価値観の近い知人や友人の口コミや評判は、もっとも信頼できる情報のひとつです。
ある調査会社の調査でも、68.5%の看護師が、就職先を選ぶ際には、家族・知人・友人から得た情報を重視すると回答しています。
(参考:看護師の就職活動に関する意識調査分析)
◎看護師転職サイト
看護師転職サイトとは、看護師の転職サポートをキャリアコンサルタントが無料で行ってくれる人材紹介サービスのことです。
転職サイトでは、職場の詳細な雰囲気・残業の実態・看護師の年齢構成・看護部長の性格・離職率や看護師の主な退職理由など、多くの「生きた情報」をコンサルタントが調べて教えてくれます。
つまり、『もっとも重要なのは「情報ギャップ」をなくすこと』で述べた「第三者を介した」生きた情報を得ることができるのがこの方法です。
ただし、
- 「信頼できる」転職サイトはきちんと見極める必要がある
- お住まいの地域に強い転職サイトを選ぶこと
などの注意は必要です。
(参考:看護roo!)
◎病院見学
転職先の候補の病院を病院見学すれば、自分の目で院内の雰囲気を確かめることができます。
- 看護師が笑顔であいさつを返してくれるか
- 殺伐としていないか
- ナースステーションが整頓されているか
など、快適な職場であるかどうか、チェックしてみてください。
病院見学は面接時に見学したい旨を前もって伝えておく、応募前に直接電話をかける、などして依頼することもできますが、「ちょっと自分では言いづらい…」と感じる方は、看護師転職サイトを通じて病院見学をすることをおすすめします。
(参考:ナースフル・看護roo!お悩み掲示板)
○eナースセンター
eナースセンターとは、日本看護協会が行う無料の職業紹介をインターネット上で受けることができるシステムです。
求人情報だけでなく、「看護職員の働きやすさについてどのような努力をしているか」という職場環境の改善への取り組みについて情報を持っているのが強みです。
ただ、持っている施設の情報が少ないというデメリットもあります。
(参考:【eナースセンター】※利用前に知っておくべき6つのこと<口コミ評判・向き不向き>)
○個人ブログやネットの掲示板
こちらは見知らぬ人の主観が書き込まれている場ですので、情報の真偽のほどは定かではありません。
ですが、あながち間違ってはいないことが書かれている、と感じる看護師が多くいることも事実です。
書かれている内容を鵜呑みにすることは危険ですが、ある程度の参考にできるのではないでしょうか。
○病院口コミサイト
実際に勤務した経験がある看護師が書いた「どんな看護ができるか」「人間関係や残業」「お休みの実際」などの口コミを、病院ごとに掲載してあるサイト(ナスコミなど)があります。
こちらも個人の主観ではありますが、判断材料の1つとして使えそうです。
△ハローワーク
ハローワークでは、職業相談の担当者であっても求人を掲載している病院についての情報は求人票に掲載されている情報以上のことについて詳しく把握していません。
そのため、応募先の病院の働きやすさや人間関係などの情報は自分で調べる必要があります。
(参考:【准看護師の求人】理想の職場をみつけるための5つの求人の探し方)
△病院のウェブサイト
病院のウェブサイトなどに、そこで勤務している看護師のインタビュー記事などが掲載されていることがよくあります。
もちろんそれ自体は貴重な情報源ですが、「残業が多い」「実は暗黙のルールがある」といったようなあまり良くない情報は掲載されませんので、本当に知りたい内部事情という点では期待できません。
(参考:看護職の職業紹介等の実態に関する報告書)
転職回数の多さをプラス要因に変える秘訣
採用担当者に好印象を与える2つのコツ
ご自身で転職回数が多いと感じている方は、それが次の転職のマイナス要因になるのではないか、と不安な気持ちを持たれているかもしれません。
ですが、『看護師の転職平均回数』で示したとおり、看護師の平均転職回数は2回、すなわち3か所の職場を経験している人はそう珍しくなく、そこまで引け目を感じることもないでしょう。
では、どうすれば採用担当者にプラスの印象を与えることができるか考えていきます。
①「場数」を踏んでいることを強みにする
- 即戦力になる
- 複数の職場での経験が豊富
②「問題のある人」という印象を感じさせない
- 職場に適応できるような「素直さ」を見せる
- 仕事に対する前向きな意欲をアピール
一見マイナス要因である転職回数の多さを、①のような観点でプラスに変えられるように、履歴書・面接の志望動機を工夫してみて下さい。
ここはぜひ自信をもって臨んでいただきたいところです。
また、転職を繰り返す人は性格や忍耐力に問題があると捉えられがちです。
そのような印象を持たれないように②のような振る舞いを心がけましょう。
採用担当者に悪印象を与える2つの要因
さて、採用担当者に「好印象を与える」ことと同時に、「悪印象を与えない」ことも重要です。
もっとも注意したいのが、担当者から前の職場の退職理由を訪ねられた時。ここでは2つのNG要因を紹介します。
①前の職場の不満を言う
- 辞めたことを周りのせいのように伝えてしまうと、採用担当者は、こちらに来ても同じことが起こるのではないかと警戒するおそれが
- 不満をそのまま、ではなくその経験から学んだことや反省点なども交えながら、うまく志望動機と結びつけて伝えると良い
②嘘をついて作り話をする
- 面接で追求されて、もしついた嘘や書類のごまかしがばれてしまったら、信用問題になるかも
- 勤め始めてからばれてしまったら、契約の条件によっては、裁判になる可能性も
少々難しく思えるかもしれませんが、マイナス要素を感じさせず、かつ正直に退職理由を伝えられるように工夫をしましょう。
「退職理由」についてさらに詳しくはこちらをご覧ください
看護師退職・転職理由の書き方&伝え方【場面別の例文集/履歴書・面接】
「志望動機」についてさらに詳しくはこちらをご覧ください
転職における志望動機-中途採用に求めるもの
「職務経歴書」を使おう
- 職務経歴書は、履歴書とは別に、看護師としての自分の経験やスキルを、詳しくアピールできる書類
- 転職回数が多い場合は、履歴書の職歴欄が足りなくなることもあり得るので、それを補足するツールとしても役立つ
『採用担当者に好印象を与える2つのコツ』で述べた「場数を踏んでいる」ことを具体的にアピールできると同時に、退職理由についても手短に触れておくことでいらぬ憶測を防ぎ、マイナス要素をプラスの印象に持って行くことができるかもしれません。
応募の際の必要書類に入っていなくても、履歴書に添えて提出することをおすすめします。
なお、職務経歴書は、履歴書同様市販されていますし、看護師転職サイトのウェブサイトから様式をダウンロードすることもできます。(例:スマイルナース)
また、「ナースフル」などの転職サイトでは、キャリアコンサルタントが一緒に応募書類を作成してくれます。
【職務経歴書の一例】
おわりに
さて、ネガティブな転職を繰り返さないための「生きた情報」の集め方、そして転職回数が多いことをむしろプラス要因に変える秘訣などを中心にご説明してきましたがいかがだったでしょう。
さまざまな事情で転職回数が多くなってしまった看護師さんに向けて、堂々とそれを武器にして転職活動やこれからの看護師人生を歩んでいただきたい、という思いでこの記事をまとめました。
末筆ながら、あなたの経験や知識が活かせるお仕事が見つかるようお祈りいたします。