面接で聞かれたとき、退職を告げるとき、履歴書を書くとき、退職理由や転職理由って、本当に悩みの種です。
本音を言ってもいいの?
そのまま本当のことを言ったらまずいんじゃないの?
じゃあ一体どんな理由を言えばいいの?
もう誰かに教えてもらいたい!
でも大丈夫、退職理由を聞かれるのには、ちゃんと理由があります。
転職では採用担当者が、退職では上司が、退職理由から何を判断しようとしているのかを知れば、伝え方次第で、不利に思えることさえも、あなたの味方になってくれるでしょう。
ここでは、転職や退職の場面で、特に不安材料になりやすい、看護師の退職理由について、転職したい人・退職する人、それぞれの状況に応じた退職理由の伝え方や例文を紹介しながら、退職理由に関する不安や問題を解決できるアドバイスをしていきます。
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退職理由ランキングから見えてくる看護師の本音とは?
厚生労働省の統計に見る、看護師退職理由の本音ランキング
看護師は実際、どのような理由で辞めているのでしょうか?
厚生労働省のアンケート調査の統計から、看護師が辞めた時の本音をランキングにしてみました。
看護師という仕事にやりがいや魅力を感じてはいるものの、命を預かる責任の重い仕事であること、夜勤など体力的にも大変なこと、また女性ならではの、人間関係での悩みや、ライフステージの変化、家族の事情など、自分の思いに反して退職をしなければならない場合も多いのが、現実ではないでしょうか。
その一方で、資格があればいつでもどこでも働けるため、自分の理想に合わせた働き方を求めて、職場を選ぶこともできるのが、看護師の特徴でもあります。
ライフステージや家庭の状況に合わせて働き方を変える場合もあれば、今の職場では満足できない、条件が悪いなどの理由で転職する人もいるでしょう。
しかし、退職したいと思っていても、人手が不足しているなどの理由で、なかなか今の職場を辞めにくいと悩む声もあるのです。
ネガティブな退職理由を、そのまま伝えていいの?
退職の理由がポジティブでもネガティブでも、個人の都合で辞めることは、病院や施設の側にとって歓迎すべきことではありません。
ありのままを伝えるだけでは、退職でも転職でも、嫌な顔をされ、思うような結果を手に入れることができなくなる可能性もあります。
退職理由の伝え方には、その理由ごとに気をつけるべきポイントがあります。
それを知るには、病院や施設の側に視点に立ってみることも必要です。
ここからは、転職する人へ向けた≪転職編≫と、退職する人へ向けた≪退職編≫に分けて、それぞれの場合の、退職理由の考え方・伝え方について、説明していきたいと思います。
≪転職編Ⅰ≫前職の退職理由を聞かれるのはなぜ?
退職理由から見えてくる、あなたの人物像
スキルや経験は、経歴を見ればわかりますが、長く働いてくれる人かどうかまではわかりません。
採用担当者は、前職の退職理由を聞くことで、辞めた理由だけでなく、あなたの人物像を見ようとしています。
組織に適合できる人なのか?
退職した原因と同じような要因が新しい職場にもあれば、また辞めてしまうのではと、採用担当者は考えます。
どうして前職を辞めたのか、詳しい事情を知ることで、この職場に長くいてくれそうな人なのかを判断するのです。
自分が仕事に求める条件が整っているかどうかは、事前に調べたり面接で聞いたりして、確認する必要があるでしょう。
前向きで意欲のある人なのか?
どんな職場、どんな仕事でも、悩みは出てくるものです。
だからこそ採用担当者は、前職で起きた退職の原因に対して自分なりに努力をしたのかを、退職理由から読み取ろうとしています。
前向きで仕事にも意欲のある人なら、すぐに辞める選択をせずに努力できる人だろうと、期待してもらえるのです。
こんな人は注意―よくあるダメな退職理由
前の職場の不満を言う
採用担当者は、すぐに自分の職場に置き換えて考えます。
職場のせい、上司のせいと、不満があれば周りのせいにして辞めてしまうような人を、ほしいと思いません。
まして、履歴書や面接でそんなことを書いたり口にしたりする人に、良い印象はもたないでしょう。
不満をそのまま伝えるのではなく、自分の希望や志望にうまく結びつけて話すことが大事です。
嘘をついて作り話をする
面接で追求されて、もしついた嘘や書類のごまかしがばれてしまったら、信用問題になります。
勤め始めてからばれてしまったら、契約の条件によっては、裁判になる場合もないとは言えません。
どちらの場合も、何より自分自身に後悔が残ります。
ばれなかったとしても、後ろめたい思いを抱えたまま過ごすことに、耐えられるでしょうか?
退職理由に正解はあるの?
採用担当者は、人柄や職場との相性を見るためにも、あなたに本音で話してほしいと思っています。
「少しでもひっかかるところがあれば採らない」という声もあります。
本音で自分の気持ちを言ってこそ、新しい職場で希望がかなうのかがわかり、自分に合った職場を見つけることができます。
選考では自信を持って挑むことも大切です。
嘘をついたりするのではなく、事実の中から伝えるべきことを上手に選び、プラスに言い換えることが、正解に近い、成功のカギと言えるのではないでしょうか。
≪転職編Ⅱ≫転職先への退職理由の伝え方と例文集
転職するときの退職理由の伝え方
転職する場合の退職理由は、採用担当者が受ける印象によって、伝え方や注意すべきポイントが違ってきます。
ここでは、まず退職理由を3つのタイプに分けて説明したあと、詳しい例文を具体的に紹介していきます。
ポジティブな理由◎→そのまま伝える
ポジティブな転職理由 | スキルアップ 勉強、進学、資格取得 |
ポジティブな理由は、前向きで向上心のある積極的な動機なので、そのまま伝えて構いません。
自分の目指すものを具体的に示すことが大事です。
また、目指す理由も自分の中で明確にしておくことで、より現実的に伝えることができます。
◆マイナスに取られないためのポイント
以前の職場では、希望通りの分野や勉強できる環境がなく、自分の目標を叶えるためには、辞める選択しかなかった点を伝えると、より納得してもらえるでしょう。
◆前提条件
目標が、辞めなければ実現できないものでないといけません。
また、一つの分野で少なくとも1~2年は経験を積んでからでないと、スキルアップとはいえません。
やむを得ない理由○→正直に伝える
やむを得ない転職理由 | 定年引っ越し、家族の転勤 結婚、妊娠、出産、育児 自分の病気、ケガ 家族の体調不良、介護経営悪化、リストラ |
やむを得ない理由の場合、余計な言い訳をせずに、まずは正直に伝えることが好印象につながります。
しょうがないと納得はしてもらいやすい半面、同じことがまた起こらないか、今後のことについて不安を持たれる可能性があるので、現在の状態も一緒に説明しておくことが必要です。
◆マイナスに取られないためのポイント
現在は同じ理由による心配がないことをはっきり伝えることが大事になってきます。
転勤がないこと、子どもを預かってもらえる環境が整っていること、症状が完治していること、介護を頼める人が見つかったことなど、今は状況が変わり問題がなくなっていることを伝えると、採用担当者も不安材料がなくなります。
ただし、病状が完治しきっていない場合やすぐにまた転勤の可能性があるなど、問題が解決していないのに、隠したり嘘をついたりするのは、後々問題になりますので、そういう場合は正直に相談する方がよいでしょう。
◆前提条件
以前の原因がなくなり、働ける状況に変わっていることを説明できるようにしておきましょう。
ネガティブな理由×→そのまま伝えてはいけない
職場や仕事内容に関する理由 | 経営方針についていけない 看護観が合わない 継続教育がない 研修が多い 夜勤が多い、残業が多い 忙しい、休みが取りづらい 通勤困難 福利厚生がない 給料が低い、昇進に不満がある 契約期間満了 看護内容への不満 成長できない 他科への興味、他施設への興味 |
人間関係の理由 | 上司と合わない人間関係が悪い、いじめを受けた 患者との人間関係 女性ばかりでなじめない(男性) |
心身の問題での理由 | 体調不良 責任の重さ、医療事故への不安 看護師に向かない 患者や死に対する気持ちの変化 |
納得されにくい理由 | 短期で辞めた場合 転職を繰り返している場合 ブランクがある場合 試用期間中に辞めた場合 |
ネガティブな退職理由は、自分の評価を下げることになりかねないので、できるだけ言わない方がいいでしょう。
他にも自分に当てはまる理由がないか、もしくは、現在の状況や不満が、やむを得ない理由やポジティブな理由につながらないか、よく探してみてください。
どうしてもない場合は、プラスなイメージに受け取ってもらえるよう、慎重に言い換えて伝える必要があります。
◆マイナスに取られないためのポイント
自己都合の理由は、病院側や周りの人に原因があったとしても、本人にも落ち度があるとか、不満を言っているだけだとか、どうしても悪く取られてしまいがちです。
また、本当に不満があっても、それを口に出す人はよく思われません。
ネガティブな理由ではなく、自分はもっと今の場所ではできない何かに挑戦したいという気持ちで、プラスイメージの退職理由をもう一度探してみることをおすすめします。
◆前提条件
あまりにもすぐ辞めた経歴がある場合は、続かない人だと判断され、採用担当者の見る目が厳しくなると言われています。
ブランクがある場合も、どうしてまた仕事をしようと思ったのか、今は問題なく仕事ができる状況になっているのかを、きちんと説明することが大事になってきます。
ネガティブな理由をどうしても出すしかない場合は、前の職場や周りのせいにせず、昔の自分を具体的に反省し、正直にその気持ちを伝えてください。
その上で、失敗した経験から学び改善したこと、同じことは繰り返さずにここでがんばりたいという強い意志を伝えることができれば、採用担当者を納得させることができるかもしれません。
納得されやすい退職理由の例文≪転職編≫
ポジティブな理由・・・◎
■スキルアップ
・○○科に行って看護の幅を広げたい
・○○の分野に挑戦してみたい
・○○病棟で○○の技術を磨きたい
・学生の頃から、○○医療に興味があった
■勉強、進学、資格取得
・○○を極めるために、大学へ進学し、学位を取りたい
・○○の資格を取るために一度退職し、1年間勉強に専念したのち、○○の資格を取得した
やむを得ない理由・・・○
■定年
・定年まで働かせていただいた経験を活かし、これからもできる限り看護に関わっていきたいと考えている
■引っ越し、家族の転勤
・夫の転勤で辞めたが、今後の転勤はない
■結婚、妊娠、出産、育児
・結婚を機に一度は退職したが、機会があれば看護師として働きたいと、ずっと思っていた
・出産で一度は辞めたが、現在は子育ても落ち着き、保育所や夫の協力も得られる環境にある
■自分の病気、ケガ
・私自身が○○という病気で治療に専念していたが、今は完治し、元の通り働けるようになった
■家族の体調不良、介護
・父の介護が必要になり、一度は退職したが、現在は施設での介護を受けられるようになった
■経営悪化、倒産
・業績の低迷が続く中、患者さんのために勤務を続けてきたが、回復が見込めないとの話を聞き、将来を考えて退職した
ネガティブな退職理由の例文≪転職編≫
職場や仕事内容に関する理由・・・×
■経営方針についていけない、看護観が合わない
■継続教育がない
■研修が多い
・精神的・技術的に、普段の看護業務に支障が出た
■夜勤が多い、残業が多い
■忙しい、休みが取りづらい
■通勤困難
・精神的・体力的に、普段の看護業務に支障が出た
■福利厚生がない
■給料が低い、昇進に不満がある
・生活する上で、家族に理解を得られなかった
■契約期間満了、リストラ
・これを機に、新しい場所での看護に挑戦したい
■看護内容への不満
■成長できない
■他科への興味、他施設への興味
・忙しさ、責任の重さ、仕事内容の変化を機に、自分のやりたいことを見つめ直した
人間関係の理由・・・×
■上司と合わない、人間関係が悪い、いじめを受けた
■患者との人間関係
■女性ばかりの職場になじめない、受け入れてもらえない(男性)
・(人間関係のことは、理由にしない方がよい)
心身の問題での理由・・・×
■体調不良
■責任の重さ、医療事故への不安
■看護師に向かない、患者や死に対する気持ちの変化
・(心身の問題は、理由にしない方がよい)
納得されにくい理由・・・×
■短期で辞めた場合
・最初の頃は、周りに相談することができず、一人で抱え込んでしまったが、冷静に自分を反省する中で、やはり看護師として働いていこうと強く思うようになったので、少しでも経験を活かしながら、努力していきたい
・体調を崩し、短期間で辞めてしまったことがあったが、現在は健診でも問題なく、十分に働ける準備ができている
■転職を繰り返している場合
・夫の転勤や子どもの入院など、様々な理由が重なり、転職の回数が多くなっているが、私なりにその時その時の職場では精一杯看護にあたってきた。色々な現場を経験できたことは、大きな価値があったと思っている
■ブランクがある場合
・3人の子育てをしている間、働かずに一人一人と向き合いながら過ごせたことは、看護に携わる者として得るものが大きかったと思っている。末の子が入学したタイミングで、家族の協力も得ることができたので、また看護師として働きたいという強い気持ちがある
■試用期間中に辞めた場合
・(短期の場合と同じにし、試用期間とは言わない方がよい)
≪転職編Ⅲ≫履歴書・職務経歴書への退職理由の書き方
応募書類には、退職理由を記入しなければいけない箇所があります。
あなたにとって応募書類の目的は、書類選考を通ることです。
他の人の応募書類と比べられる中で、会ってみたいと思わせることが、とにかく大事になってきます。
ここでは、退職理由をだらだらと長く説明する必要はありません。短く簡潔に書くことがポイントです。
履歴書への退職理由の書き方
病院や施設の都合で退職になった場合
病院の倒産、経営悪化によるリストラの場合、病院・会社都合の退職ということになります。
この場合は、「病院都合により退職」「会社都合により退職」と書きます。
自己都合の退職理由である場合
「一身上の都合により退職」と書きます。ただし、詳しい退職理由には触れずに済ませるということではありません。
職務経歴書を用意し、そちらで詳しい退職理由を説明することで、マイナスの面ではなく、プラスの面をよりアピールすることができます。
履歴書の書き方についてもっと詳しく知りたい人はこちらの記事も
職務経歴書への退職理由の書き方
職務経歴書は、履歴書には書ききれない、看護師としての自分の経験やスキルを、詳しくアピールできる書類です。
退職理由についても丁寧かつ手短に書いておくと、退職について誤解を与えることなく、マイナスな要素があっても上手にプラスの印象にもっていくことができます。
職務経歴書の書き方は、履歴書のように決まった型がなく、比較的自由です。
退職したことがある場合は、勤め先とそこでの経歴を書いた後に、退職の理由を簡潔に書くのがよいでしょう。
また、必ずしも「退職理由」として書かなくても構いません。
例えば、「転職理由」「再就職理由」「転職動機」など、より前向きに見える見出しをつけて、転職した理由と実現したい仕事の目標を堂々と書き、志望動機につなげるようにしましょう。
≪転職編Ⅳ≫面接での退職理由の伝え方・答え方
転職の面接では、志望動機や経験・スキルとともに、退職理由についても聞かれることが多くあります。
面接が書類選考と違うのは、実際に顔を見ながらやり取りするため、より入念な準備が必要だという点です。
しかも、この面接が、最終的な採用・不採用の分かれ道とも言えるということです。
面接での退職理由に関する質問例
- 転職を決めた理由は何ですか?
- 退職理由を教えてください。
- 転職回数が多いのはなぜですか?
- ブランクが長いのはなぜですか?
退職理由は伝え方次第で強みになる!
マイナス要素があるからといって、不安になる必要はありません。
むしろ、退職理由は不利を有利に変えるチャンスなのです。
例えば、仕事をする上でも、失敗やマイナス点をカバーする対応策を考えるのは、日常的なことであり、基礎的なスキルでもあります。
自信の持てる回答をしっかりと用意して、マイナスをプラスに変える受け答えができるようにしましょう。
面接での伝え方についてもっと詳しく知りたい人はこちらの記事もチェック
≪退職編Ⅰ≫退職先への退職理由の伝え方と例文集
退職するときの退職理由の伝え方は、面接のものとは違ってきます。
ここからは、これから退職を考えている人に向けて、退職理由の伝え方・書き方をお話ししていきます。
退職するときの退職理由の伝え方
退職する場合の退職理由は、上司や病院側が受ける印象によって、伝え方や注意すべきポイントが違ってきます。
ここでは、まず退職理由を3つのタイプに分けて説明したあと、詳しい例文を具体的に紹介していきます。
ポジティブな理由◎→そのまま伝える
ポジティブな転職理由 | スキルアップ 勉強、進学、資格取得 |
ポジティブな理由は、前向きで向上心のある積極的な退職なので、そのまま伝えて構いません。
自分の目指すものを具体的に示すことが大事です。
また、目指す理由も自分の中で明確にしておくことで、より現実的に伝えることができます。
ただし、今の職場を辞めなければ実現できない目標でないと、異動などで解決できないのかという話になりやすいので、注意が必要です。
また、一つの分野で少なくとも1~2年は経験を積んでからでないと、スキルアップとはいえません。
やむを得ない理由○→正直に伝える
やむを得ない退職理由 | 引っ越し、家族の転勤 結婚、妊娠、出産、育児 自分の病気、ケガ 家族の体調不良、介護 |
やむを得ない理由の場合、余計な言い訳をせずに、まずは正直に伝えるとよいでしょう。
しょうがないと納得してもらいやすい理由です。
ネガティブな理由×→そのまま伝えてはいけない
職場や仕事内容に関する理由 | 経営方針についていけない看護観が合わない 継続教育がない 研修が多い 夜勤が多い、残業が多い 忙しい、休みが取りづらい 通勤困難 福利厚生がない 給料が低い、昇進に不満がある 契約期間満了 看護内容への不満 成長できない 他科への興味、他施設への興味 |
人間関係の理由 | 上司と合わない人間関係が悪い、いじめを受けた 患者との人間関係 女性ばかりでなじめない(男性) |
心身の問題での理由 | 体調不良責任の重さ、医療事故への不安 看護師に向かない 患者や死に対する気持ちの変化 |
納得されにくい理由 | 短期で辞めた場合転職を繰り返している場合 ブランクがある場合 試用期間中に辞めた場合 |
ネガティブな退職理由は、職場や周りへの不満をそのままぶつけることになり、よく思われることはありません。そのまま言わないようにしましょう。
他にも自分に当てはまる理由がないか、もしくは、現在の状況や不満が、やむを得ない理由やポジティブな理由につながらないか、よく探してみてください。
自分はもっと今の場所ではできない何かに挑戦したいという気持ちで、プラスイメージの退職理由をもう一度探してみることをおすすめします。
どうしても見つからない場合は、自分の問題として、今の状況では続けられないということをきっぱりと話すしかありませんが、嫌な顔をされることがないとは言えないでしょう。
それでも正直につらい現状を話すのも、嘘をつくよりはいいと思います。
納得されやすい退職理由の例文≪退職編≫
ポジティブな理由・・・◎
■スキルアップ
・○○科に行って看護の幅を広げたい
・○○の分野に挑戦してみたい
・○○病棟で○○の技術を磨きたい
・学生の頃から、○○医療に興味があった
■勉強、進学、資格取得
・○○を極めるために、大学へ進学し、学位を取りたい
・○○の資格を取るために、退職して勉強に専念したい
やむを得ない理由・・・○
■引っ越し、家族の転勤
・夫の転勤が決まった
■結婚、妊娠、出産、育児
・このままの勤務だと妊娠するのは難しいと言われているので、仕事を辞め、心身を休めて準備をしたい
■自分の病気、ケガ
・私自身が○○という病気と診断されたので、治療に専念したい
■家族の体調不良、介護
・父の介護が必要になり、ほかに見てもらえる人がいない
ネガティブな退職理由の例文≪退職編≫
職場や仕事内容に関する理由・・・×
■経営方針についていけない、看護観が合わない
■継続教育がない
■研修が多い
・精神的・技術的に、普段の看護業務に支障が出ていて、続けられない
■夜勤が多い、残業が多い
■忙しい、休みが取りづらい
■通勤困難
・精神的・体力的に、普段の看護業務に支障が出ていて、続けられない
■福利厚生がない
■給料が低い、昇進に不満がある
・生活する上で、家族に理解を得られない
■契約期間満了
・新しい場所での看護に挑戦したい(ポジティブに)
■看護内容への不満
■成長できない
■他科への興味、他施設への興味
・忙しさ、責任の重さ、仕事内容の変化を機に、自分のやりたいことを見つめ直した
人間関係の理由・・・×
■上司と合わない、人間関係が悪い、いじめを受けた
■患者との人間関係
■女性ばかりの職場になじめない、受け入れてもらえない(男性)
・(人間関係のことは、理由にしない方がよい)
心身の問題での理由・・・×
■体調不良
■責任の重さ、医療事故への不安
■看護師に向かない、患者や死に対する気持ちの変化
・(心身の問題は、理由にしない方がよい)
納得されにくい理由・・・×
■短期で辞める場合
・(○の理由から、自分に当てはまるものを見つけるか、正直に話す)
■試用期間中に辞める場合
・(短期の場合と同じ)
≪退職編Ⅱ≫円満退職のための退職理由とは?
退職の意思を伝えるときは
退職を告げるときのマナー
退職をすると決めたら、直属の上司に伝えます。
初めは口頭でよいので、退職しようと思っていることを伝えましょう。
当然、退職理由を聞かれますが、こう決めましたという前向きな志望を、おだやかに話します。
お世話になった感謝と共に、退職・転職を決めたことをきっぱりと伝えることが大切です。
トラブルを避けるためにも、職場や特定の人の文句や悪口を言わないように気をつけましょう。
就業規則でどのくらい前までに言わなければならないなどの決まりがあれば、それに従います。
家族の転勤や病気など、急な事情の場合は、なるべく早く上司に伝え、退職の時期について相談して決めるのがよいでしょう。
嘘や建前の退職理由を言ってもいい?
伝えた後に嘘がばれてしまうと、居心地が悪くなるほか、逆にやめにくい状況を作ってしまうこともあるでしょう。
一度嘘をつけば、嘘を重ねなくてはいけなくなります。
経験の長い上司や仲のいい同僚などは、すぐにそういう嘘に気付くものです。
退職理由に不審な点があれば、突っ込まれることもあります。
何も言われないのは、嘘でやめても構わない人だと思われている可能性もあるのです。
嘘ではなく、事実をもとにした理由で退職するようにしましょう。
退職願の書き方
会社都合でなく、任意で退職するときには、退職願を出す必要があります。
口頭で伝えた後、辞める2週間前までに出すのが一般的ですが、1か月前までには提出しておくとよいでしょう。
退職願は、定型の書き方と内容で構いません。便箋や白いB5用紙に、ボールペンや万年筆を使って、縦書きで書きましょう。
退職日は、直属の上司と相談して決めた退職日を書きます。
理由は詳しく書く必要はなく、「一身上の都合」と書きます。
白い縦長の封筒を用意し、表に「退職願」、裏に所属と氏名を記入し、3つ折りにして入れ、封をします。
引き止められたときに考えること
退職を申し出たときに、引き止められることはよくあることです。
病院・施設側としては、人手が足りなくなることや、せっかく育てた人材が辞めてしまうのは、本当に困ることだからです。
退職の意思が固いことをあきらめずに伝えることが大事ですが、それでもなかなかやめさせてもらえないという時は、一度病院や施設の立場になって考えてみましょう。
引き止めれば続けてくれると思われている
優柔不断な伝え方をしていませんか?
みんなも大変だけどがんばっているなどと、逆に説教されてしまうこともあります。
続けられない事情や、辞めた後の目標など、具体的に示していきましょう。
後任に困っている
忙しい時期に退職しようとしていませんか?
退職時期についてもう一度上司と話し合ってみましょう。
引継ぎがスムーズにいくよう、ノートなどにまとめておくことも大切です。
ごねていると思われている
不満を理由にしていませんか?
その職場内でどうにか解決できることだと、昇給や異動などを提案されることもあります。
納得してもらえるような理由を、もう一度自分の中で具体的に考えてみましょう。
◇参考書籍:はじめての転職128のギモン/小島美津子:日本実業出版社
自分で退職理由を病院に伝える自信がない時
転職を考えていて、退職理由をどう伝えていいか悩んでいる人は、このような看護師転職サイトの無料転職サポートを利用してみるのもおすすめです。
- 上司や病院側にどう伝えるかなど、円満に退職するためのアドバイス
- 履歴書作成や面接のサポート
上記のようなサポートが受けられます。
【退職サポートしてくれる転職サイト】
看護roo!(首都圏・関西・東海エリア限定)
円満退職は転職成功の第一歩
転職を考えた退職の場合、やはり円満に退職しておくことが、スムーズな転職につながります。
転職をしない場合も、後味の悪い退職は、あなた自身の評価だけでなく、積み重ねた仕事の評価までも台無しにしてしまうことになりかねません。
十分な余裕を持って退職時期を伝えることで、自分の都合だけを押しつけることのないようにしたいものです。
引継ぎについても、ノートを作るなどの必要があれば、丁寧に対応しましょう。
有給休暇の消化も、全部を使い切るという態度ではなく、使えると助かるという気持ちで上司と相談して決めるのがよいでしょう。
どんな退職理由、どんな職場であっても、社会人として感謝の気持ちを忘れずに、最後まで誠意をもって仕事を全うしましょう。
おわりに
自分の退職理由について、悩み抜いた人、深く考え抜いた人は、自分の進む道に自信をもってほしいと思います。
人とは違う、自分だけの退職・転職ストーリーがあれば、面接で突っ込まれても、退職を引き止められても、動じなくて済みます。
悩んだとき、壁にぶつかったとき、状況が変わったとき、その時その時で自分や家族のために自信を持って選択をしてきた人は、きっと次も自分の望む職場や環境を、手に入れることができるでしょう。
看護師として資格をもっていること、看護師として働いたこと・働いていることに誇りをもち、人生のどんな時も充実した時間を過ごされることを願っています。