転職をした看護師さんの中から、転職後「こんなはずじゃなかった」、「前の病院が良かった」、「失敗した」など後悔の声を聞くことがあります。
そろそろ転職を考えている、という看護師さんはそんな声を聞くと不安を覚えてしまいますよね。
なぜ、転職を決断し、労力を使い、希望を持って転職をしたのに「失敗」だと感じてしますのでしょうか?
そんな「転職失敗」の原因を探り、どうしたら失敗しないか探っていきたいと思います。
この記事を参考に、今後転職を考えている看護師の皆さんはぜひ、「転職成功」を実現して頂きたいと思います。
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転職に失敗の理由第1位【募集時の条件:契約と違う】
看護師・看護学生のコミュニティサイト『ナース専科コミュニティ』の調査によると、転職に失敗したと思う人は3人に1人で32%、失敗理由第1位は「募集時の条件・契約と違う」が50%を占めていました。
転職に失敗したと思う人のうち、約半数の方が働いてみてから「話が違う」と感じている事がわかります。
(参考:ナース専科)
看護師転職失敗談【なぜ転職に失敗したのか】
半数以上の人が「募集時の条件・契約と違う」と感じる事の原因として事前の情報不足や口約束の確認だけで終わらせてしまい、入職後にズレが起きていることがあげられます。
2位の人間関係が悪い、3位の収入・待遇が悪い、その他4位~6位も事前の情報収集が十分であれば防ぐことが出来ます。
看護師の就職活動に関する意識調査によると、就職に関する知りたい情報が
- 「十分手に入る」と答えた人は10.5%
- 「やや不足する」と「不足する」を合わせると89.5%
約9割が知りたい情報が得られていないと感じています。
私たちが得る情報源は病院の求人票、ホームページ、面接時の病院側の印象、などで判断していきますね。
しかし残念ながら、求人票の情報と面接時の印象やその場での話が全て真実ではない可能性もあります。
ハローワークを利用した場合も、転職サイトを利用した場合も、自分で応募した場合も、実際働いたら内容が違ったという声が多数あります。
僕が今勤めている病院も、募集では「年間休日108日 夏期休暇あり賞与4ヶ月」となっていますが、実際は、すでに人手不足により、「年間休日90日弱、夏期休暇なし。賞与2.5ヶ月、管理職不在、イジメあり」となっています。
引用:看護師お悩み相談室
田舎に帰ってきて転職サイトを利用し就職したは良いが聞いていた話と違い、毎日残業もあり、オペも多くはないがありますと言われたが週に1件あればいい方で、外科の患者も居ると言われたがほぼ内科の患者。スタッフは優しいが、毎日憂鬱でつまらない毎日…。急性期病棟と言っているがほぼ慢性期の患者。
私は急性期を学びたいのに、聞いていた話と違うし、やりたい事じゃないし、仕事の日の朝はお腹が下り、挙句の果てに膀胱炎になり、体重も1週間で2キロ減。でも、入職したばかりだし辞めて良いものか悩んでいます。
引用:看護師お悩み相談室
私もハローワークの求人で精神科外来に応募したら、面接で初めて外来ではなく病棟勤務で、しかも夜勤をしないなら早出7:30と遅出19:00までを月に8回ずつしないとダメだと言われ、子どもの保育園に間に合わないので後日辞退しました。
引用:看護師お悩み相談室
労働条件の違いを防ぐトラブル解決法
- 面接時に求人票と内容が違うのがわかった場合は求人票通りになるのか質問する(流されて返答しない)
- ハローワークや転職サイトを利用時は担当者へすぐ連絡し、納得しない場合は辞退し流されない事
労働契約は口頭でも成立してしまう為、言った言わないを未然に防ぐために証拠を書面に残す事が大切
- 働く前に労働条件について書面交付を求める事
- 書面がない場合はメモを取りながら確認し合う事(ないという病院はそもそも入職をすすめません)
- 労働条件に納得してから雇用契約に押印する事
- 雇用契約書は双方で保管する事
働き出す前に確認必須!【雇用契約書について】
雇用契約書を交わさないこと自体は問題ありませんが、賃金や労働時間などの重要な労働条件については書面での明示をきちんと求めましょう。
書面化が必要なもの以外の項目もきちんと確認をして、明確になっていない部分がない状態にしましょう。また内容について分からないことはあいまいにせず、しっかりと確認をして下さい。
労働条件の書面明示が義務になっていても、やっていない病院もあります。
最後は自分の身は自分で守る事が必要です。
- 労働条件の明示は一部のみ書面の交付が義務付けられている(賃金や労働時間などの重要な労働条件の部分)
→書面交付の義務があるという事は、書面を求める行為は問題ないという事です。
- 雇用契約書は労働基準法では書面での明示は義務付けられてはいないため、書面がない場合は自分から申し出る事
- 証拠があれば、明示された労働条件が事実と相違する場合は、その契約を即時に解除することができる(労働基準法第15条第2項)
- 労働基準法第15条第1項に基づく義務であり、これに違反した場合は、第120条により、30万円以下の罰金となる
(参考:埼玉県公式ホームページ 労働相談Q&A 求人広告の内容と実際の労働条件が違う)
必ず明示すべき事項
昇給に関する事項を除き、書面により明示しなければなりません。
使用者に、書面の交付を求めてください。
- 労働契約の期間
- 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
- 就業場所及び従事すべき業務
- 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関すること
- 賃金の決定・計算・支払方法・締切りの時期・支払の時期、昇給
- 退職(解雇の事由を含む)
などが明示すべき事項になります。
必要に応じて明示すべき事項
書面の交付は必要とされていませんが、以下の項目について定めをする場合には、使用者は労働者に対して、その内容を明示すべき義務を負っています。
- 退職手当が支給される労働者の範囲、退職手当の計算・支払方法、支払の時期
- 臨時に支払われる賃金、賞与、最低賃金に関する事項
- 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
- 安全・衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰や制裁に関する事項
- 休職に関する事項
などが明示すべき事項になります。
(参考:埼玉県公式ホームページ 労働条件の明示について)
(参考:doda 【転職・退職】労働契約書(雇用契約書)がもらえないときは?)
ハローワークや看護師転職サイトが間に入っている場合
自分で応募・面接をした場合は直接自分で問い合わせるしかありませんが、ハローワークや看護師転職サイトが相談やアドバイス、面接までの段取りを行っている場合は、直接病院側に言うのではなく、間に入った機関にまずは報告します。
【ハローワークからの紹介】
求人票との内容の違いはハローワークに訴える事により、是正指導が行われます。
窓口に出向き、担当者に伝えるほか、相談窓口も設けられています。
- 虚偽の広告をしたり、虚偽の労働条件を提示して労働者の募集を行った者に対しては、罰則の適用があります。(職業安定法第65条第8号)
ハローワーク求人ホットラインはこちら
【看護師転職サイトからの紹介】
会員登録をすればプロのキャリアコンサルトによる看護師の転職に関する様々なサポートを無料で受けることが出来る、看護師の求人に特化した人材紹介のサービスです。求人検索の利用だけでなく、相談する事で病院の情報を得ることが出来ます。
担当カウンセラーに相違点を伝え、改善してもらいましょう。相違点を伝えるには、担当カウンセラーが言っていたこともメモに残しておくことをおすすめします。採用前も採用後も、相違点をサポートしてくれます。
(参考:ナース人材バンク)
私より早く入職された方も、1日目に何もわからずに、受け持ちをした。これは、ないと思って紹介業者に問い合わせして、次から一週間見習い業務になったそうです。
引用:看護師お悩み相談室
働き出す前に労働条件は明確にし、少しでもおかしい、と思った時点ですぐに担当者へ質問・相談する事を行いましょう。
がまんして、流されたまま働き出さない事が重要です。
看護師の転職【失敗しないために気を付ける事】
看護師の皆さんの転職理由には以下表1のように、「他施設への興味」、「給与に不満」「休暇・夜勤への不満」などがあげられます。
【表1 看護師転職理由】
(参考: 【保存版】看護師転職パーフェクトガイド<ブレない自分軸でハッピーに転職する3ステップ>)
看護師の転職失敗しないために必要な4つのポイント
まずは、先の表1に示されたような転職の理由が、新しい職場で解決され、現状が良くなるのかじっくり見極めてから転職を決定しましょう。
一時的な思いだけで決めず、転職以外の解決方法も考えてみましょう。転職をしてから、実は以前の病院のままの方が良かった、という方も出てくる場合があります。
【例】
給料の不満→資格取得をして看護師としての価値を高めることで給料をアップさせる
人間関係の不満→異動を希望する、上司に相談する
絶対に譲れない条件を明確にし、そこだけは妥協しないという事が大切です。
話を聞いているうちにこの点はいいからここは妥協しよう、など本来の目的を忘れ、他の利点に意識を向けてしまうと、結局また同じ悩みや問題が起きてしまう場合があります。あれもこれも、全て叶う職場は難しいかもしれませんが、「絶対譲れない条件」だけは最後まで妥協しないことが、転職して良かったと思える職場に繋がります
【例】
給料アップをしたい場合
→子供の教育貯金のために、年収400万円以上の職場で働きたい
スキルアップをしたい場合
→小児救急看護認定看護師の資格を取得したいため、認定看護師支援のある病院の小児科で働きたい
求人票の情報や職業紹介所の担当者の話だけで判断せず、自分でも情報を集める事が必要です。自分で聞きづらい事は担当者に確認してもらい、必ずメモに残し、のちに相違点が出た場合はすぐに質問し解決しましょう。
就職前に知りたかったことに「職場の雰囲気・人間関係」、「給与条件」などがあげられています。
良くわからないまま就職してしまったという方が転職後にこんなはずじゃなかった、失敗したと感じてしまうため、事前の情報収集はとても大切です。
(参考: 【保存版】看護師転職パーフェクトガイド<ブレない自分軸でハッピーに転職する3ステップ>)
- 施設見学をする
入職を決める前に、必ず病院見学をしましょう。
自分の目で病院の設備や、患者さんの混雑状況、スタッフの働く様子を見ることで、自分がその病院でどのように働くことになるかをイメージすることができます。
施設見学ができるかは看護師転職サイト・ハローワークの担当者に確認を取りましょう。
看護師転職サイトの場合、サポートサービスに含まれ、病院に同行してくれる場合もあります。
- 病院のホームページの確認
ホームページで先輩看護師の声や病院の理念、取組みを確認すると、病院の雰囲気が伝わってきます。
履歴書の作成にも役立ちますし、何よりずっと働く職場ですから自分に合っていそうか確認しましょう。
- 病院の口コミの確認
患者さんの視点から見た病院はどのようなものなのか?
あまりにも悪い評判ばかりの病院は、職場としても何か問題がある可能性が高いので注意しましょう。
- 内部情報を仕入れる
友人・知人内の看護師からの情報を集めたり、看護師転職サイトの担当者に病院内の離職率や年齢層、人間関係の雰囲気などを聞いてみましょう。
【病院の評判や口コミを紹介しているサイト】
http://iibyoin.net/
病院口コミ検索サイト【Caloo・カルー】
話した内容と違う、求人票とここが違う、とはっきり伝えられるのは書面がある事が一番有効です。面接時に労働条件の書面交付をお願いし、内容をしっかり確認し、納得してから入職しましょう。
(参考: 【保存版】看護師転職パーフェクトガイド<ブレない自分軸でハッピーに転職する3ステップ>)
良さそうな求人が見つかった方はこちらの記事をご参考下さい。履歴書や面接のポイントがわかります。
入職後も好印象が続く看護師の志望動機の書き方・面接対策
看護師の転職【失敗しないための活動別注意点】
先にも述べたように、ハローワークを利用した場合も、転職サイトを利用した場合も、自分で応募した場合も、実際働いたら内容が違ったという声が多数あります。
どうしたらこのような事態を防ぐことが出来るのでしょう?
ハローワーク・看護協会の場合
公共の職業紹介機関であるハローワークや看護協会のメリット・デメリットを簡単にまとめたものがこちらです。
(参考:タイプ別転職活用術)
デメリットである「求人票の情報に不明点が多い」という部分。
ここがあいまいなまま面接を受ける、不明点があるが言い出せず就職、という事を辞めましょう。少しの疑問や不安も明確にしたのち、面接に進んで下さい。
相談が出来るというメリットを生かし、面接での不明点も担当者に報告するなど、就職までの不明点は細かくコミュニケーションを取りながら後悔しない就職先を見つけましょう。
【公共職業紹介所】
ハローワークインターネットサービス
eナースセンター
【向いている人】
時間に余裕があり公共施設にも通う事が出来る人。自分一人ではなく、相談をしながら転職活動を行いたい人
看護師転職サイトの場合
看護師転職サイト利用の場合のメリット・デメリットをまとめた部分がこちらです。
(参考:タイプ別転職活用術)
看護師転職サイトは忙しい看護師さんに変わり、転職までの様々なサポートをしてくれる反面、病院から紹介料を支払われているため、少しでも自分の紹介会社から病院への採用へ繋げたいという部分もあります。
そのため、中には強引な勧誘もあるなど紹介会社のペースで転職活動が進んでしまう場合もあります。
- 担当者が病院側とやりとりした内容は自分の希望と本当に合っているのか
- 紹介会社から提示された内容と、病院側の認識は合っているのか
これらの事を慎重に確認し、給料や休みの形態、自分の譲れない希望点は書面に残し、決定したものに相違はないか確認しながら転職活動を行う事をおすすめします。
自分の意思をはっきり示しながら、相違点があればすぐに担当者と話し合い、メリット部分は賢く利用しながら最終決定である転職の決断は自分が納得してから行いましょう。
【向いている人】
一人で転職活動を進める時間や手間をなるべく省きたい、サポートを受けながら転職活動をしたい方
まとめ
転職をした看護師さんが「転職失敗」だと感じるのは自分の希望と入ってからが違ったということから感じる事が多いようです。
また、本当に転職で得たいものがなんなのか、明確にしないままなんとなく転職をしてしまうと、以前の職場のままの方が良かったという事にもつながります。
転職の目的を明確にし、労働条件は書面に残し、相違点は疑問が生まれた時点ですぐに質問し、解決する、という事がとても大切です。
転職には労力がかかりますが、転職して良かったと思うには自分で納得して決断しないと後悔に繋がります。
自分に向きあい、現実と照らし合わせ確認しながら、慎重に転職先は探してください。記事をぜひ活用してくださいね。