※特定看護師ってどうなってる?【研修、求人、最新情報】

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「前に話題になってた特定看護師ってどうなったの?」
「特定看護師になるにはどうすればいいの?」

などと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

医療現場において医師と看護師の中間的存在のような「特定看護師」は、患者さんへのタイムリーな対応や、医師の負担軽減につながる存在として期待され、さまざまな議論がなされてきました。

この「特定看護師」をめぐる医療界の最近の動きはどうなっているのでしょうか。

この記事では

  • 研修を行う大学院・資格・制度について
  • 「特定看護師」として試行錯誤しながら活躍している先輩看護師たちの声
  • 「特定看護師」への賛否両論

など、最新情報をさまざまな視点からお伝えします。

※この記事は2017.8.22
「1.特定看護師とは」
「2.どうすれば特定看護師になれるのか」
「3.特定看護師の「いま」」
「6.特定看護師、その賛否両論」
「8.求人と手当事情」
「10.おわりに」
を更新しました。

目次

1.特定看護師とは
(1)2015年10年から始まった「特定行為に係る看護師の研修制度」
(2)「特定看護師」という資格はない
(3)「特定行為」と「手順書」
(4)制度ができた背景と目的

2.どうすれば特定看護師になれるのか
(1)特定行為研修を修了する
(2)国の指定研修機関一覧
(3)働きながら研修を受けられる?
(4)求められる人物像

3.特定看護師の「いま」
(1)2016年3月に特定看護師第1号が誕生
(2)先駆者たちの体験談

4.海外の事例
(1)アメリカのナースプラクティショナー(NP)
(2)その他の国では

5.専門看護師・認定看護師との違い

6.特定看護師、その賛否両論
(1)賛成意見
(2)反対意見

7.現役看護師の本音
(1)肯定的な意見
(2)否定的な意見

8.求人と手当事情
(1)「特定看護師」としての求人はほぼない
(2)特定行為研修受講へのサポートがある求人を選ぶ
(3)手当について

9.参考にしたいWebサイトと書籍

10.おわりに

 

1.特定看護師とは

(1)2015年10年から始まった「特定行為に係る看護師の研修制度」

【特定行為に係る看護師の研修制度とは】

団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年に向けて、在宅医療などを進めていくため、医師の「包括的指示」(※)のもと、「手順書」により38項目の「特定行為」が行える看護師を計画的に養成する制度
厚労省はこの研修制度により、今後の急性期医療から在宅医療などを支えていく看護師を10万人養成することを目指している。

ざっくり言うと「研修を受けた看護師は、自らの判断で処置できる範囲が広くなる」ということです。
もちろん、研修を受けていない看護師も医師の「具体的指示」(※)の下であれば従来通り「特定行為」を行うことができます。

これからの10年で10万人となると、1年で1万人の計算ですね。20年前に始まった認定看護師制度ですら取得者は現在1万6千人弱ですので、相当数の育成が求められていることがわかります。

「包括的指示」とは
患者の容態変化をあらかじめ予測した上での、ある程度まとまった指示のこと。
包括的指示を受ける看護師は、「特定行為研修」を修了した人に限定される※「具体的指示」とは
患者の状態を医師に報告した上での、医師から受ける具体的な処置の指示のこと。
「特定行為研修」を修了していない看護師は、具体的指示を受ける必要がある。

画像①特定行為実施の流れ

(引用:看護roo!ステキナース研究所
(参考:厚生労働省パンフレットナースプレス

(2)「特定看護師」という資格はない

かつて、「特定看護師」の資格化が提案されていたこともありましたが、下のような議論を経た結果、新たな資格の創設は見送られ、研修制度にとどまったといういきさつがあります。

画像②特定行為議論の経過

ですが「特定行為研修を修了した看護師」を略して「特定看護師」と呼ぶことは問題ありません。
この記事でも、「特定看護師」という呼び方を使います。

(参考:医労連厚生労働省日本看護協会

(3)「特定行為」と「手順書」

【特定行為とは】

高度な知識と技能が特に必要とされる次の21区分38行為です。

画像③特定行為_区分

(引用:日経メディカルAナーシング

【手順書とは】

・医師が看護師への指示として作成する文書で、「看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲」「診療の補助の内容」などが定められているもの

・個々の患者の状態に応じてそのつど作成するのではなく、あらかじめ各医療現場において、医師が必要に応じて作成することを想定している

【厚生労働省が公開している手順書例】

画像④手順書の例

(参考・引用:厚生労働省

  • 今回の制度において定義されている「特定行為」は38行為だけだが、それ以外の行為も医師からの具体的指示があれば、実施しても差し支えない。
  • 特定行為は、医療のニーズなどによって、審議会で追加したり、修正したりすることも考えられている。

 

(参考:ナースプレス

(4)制度ができた背景と目的

①超高齢化社会に向け、安心して在宅医療を進めていくため
②医師とすぐに連絡が取れない場合などの、患者への素早い対応
③医師の負担軽減
④医師不足に悩む地域への医療提供

(参考:看護roo!ステキナース研究所ナースプレス日経メディカルAナーシング

2.どうすれば特定看護師になれるのか

(1)特定行為研修を修了する

■受講対象者

・おおむね3〜5年の実務経験のある看護師
特別な資格や大卒などの条件は必要ないことがほとんど
・ただし日本看護協会の特定行為研修に関しては認定看護師が対象

■研修の内容

・「すべての看護師が共通して学ぶ共通科目(合計315時間)」+「21の特定行為区分ごとに習得すべき内容を設定した区分別科目(各15〜72時間)」
・講義・演習・実習で構成
・講義・演習はeラーニングで行われることも多い
・区分別科目の実習には患者に対する実技が含まれる

画像⑤特定行為研修科目RGB

(2)国の指定研修機関一覧

  • 研修は、厚生労働大臣が指定する研修機関で行う。
  • 研修内容は1区分(2行為)のみのところから21区分(38行為)全て申請したところまでさまざま。

 

研修を行っている54機関について、詳しくはこちらをご覧ください↓
各指定研修機関で研修が行われている特定行為区分(平成29年8月)

※費用、入学要件、受講可能な項目などは、それぞれの医療機関で異なりますので、各教育機関のHPをご覧ください。

入学要件の一例国際医療福祉大学

●受験資格: 通算5年以上の臨床経験を持つ看護師。
(ただし就学にあたり職場との調整ができ、2年次の臨床実習中は休職することが前提となる。なお専門学校卒の方も出願可能)

募集要項の一例日本看護協会

平成29年度(2017年度)特定行為研修は全分野の認定看護師を対象に実施いたします。
平成29年度秋期入学コースの各実施日程は以下の通りを予定しております。

平成29年度秋期入学コース

【看護研修学校】定員100人
【神戸研修センター】定員20人

※2017年度の募集は終わっていますが、来年度の参考にしてください。

(3)働きながら研修を受けられる?

【例】自治医科大学の特定行為研修

  • 働きながら受講することを想定してプログラムが設計されている
  • 試験や実習以外の授業は、主にeラーニングで行う
  • 今後も半年ごとに30人ずつ全国から受講生を募集する計画
  • 早ければ受講開始後1年で研修修了証を手にすることができる

 

※職場によっては特定行為研修の受講をバックアップしているところもあるので、確認してみて下さい。

(参考:看護roo!ステキナース研究所

(4)求められる人物像

特定看護師に求められるのは、

  • 医師の思考を理解できること
  • チーム医療のキーパーソンとなること

です。そのためには、このような資質を持っていることが求められるでしょう。

【特定看護師に求められる人物像】

・勉強量の多さが苦にならない人
・向上心のある人
・論理的思考力のある人
・トラブルがあっても冷静に判断ができる人
・チームプレイが得意な人

(参考:ナースプレス

3.特定看護師の「いま」

(1)2016年3月に「特定看護師」第1号が誕生

2016年3月7日、日本看護協会で2015年度「特定行為研修」の閉講式が行われ、研修を修了した39人が修了証を手にしました。

これは、制度にさきがけて国が実施した「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」に参加した3分野の認定看護師を対象にした研修で、法制化後初の「特定看護師」が誕生しました。

※2017年3月末現在、特定行為研修を修了した看護師数は583名(厚生労働省

(参考:日経メディカルAナーシング

(2)先駆者たちの体験談

前の章でも触れたように、2010年から行われていた「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」をすでに修了し、それぞれの現場で活躍している看護師たちがいます。
その先輩達の体験談(要約)から、「特定看護師」を志した理由と、学んだ後の変化を探っていきましょう。

  • 裁量が拡がったことで診療がスムーズに

糖尿病患者さんの看護を行う 中山 法子さん

□以前に勤務していた病院には糖尿病専門医がいなかったため、自ら認定看護師の資格を取得するなどして食事や運動についての生活指導面を充実させてきたが、多くの患者さんと深く接するうちに、患者さんからさらに踏み込んだ検査や治療・予後に関することも質問されるようになった。

□もちろんある程度は対応できたものの、経験と自己学習の知識だけで患者さんの要望に応えるには限界があり、しだいに「何らかの形でもっと医学的知識を学びたい」と思うようになったのが大学院のナースプラクティショナー養成分野に進学したきっかけ。

□従来は医師の「具体的指示」のもとでインスリン製剤の選択や診療の補助やケアを行っていたが、大学院を修了して特定看護師(仮称)業務試行事業を終えたあとは、「包括的指示」のもと裁量が拡がったことで患者さんの待ち時間も減り、スムーズな診療につなげることができるようになった。

  • 看護師が医師の考えを理解することが良いチーム医療につながる

災害医療センターの「診療看護師」として勤務する 吉田 弘毅さん

□独学に加えて、さらに知識を身につけたい、自身の看護実践も含めて認定してもらいたいと考えるようになったことがキャリアアップをめざした最初のきっかけ。

□夜間など、人手不足になった場合などに看護師が所見を取り、検査を行うなどの初期対応ができれば、患者さんの待ち時間も短縮されるなどメリットが大きいと考え、大学院の高度実践看護コースで学ぶことにした。

□大学院では、医師の臨床推論は、看護師のアセスメントや看護診断の考え方とまったく異なることを学んだ。正直なところ、看護師の疾患のとらえ方は、この所見ならこの疾患だろうという経験則によるところが大きく、医師に対して”なぜ早く診断を下して手術しないのか”と思ったこともあった。
しかし、医師は患者さんの全体像をとらえ、リスクを回避しながら検査を行い、ほかの病態や疾患を除外したうえで確定診断をする。看護師が医師の思考を理解し、その動きを予測してサポートすることが、より良いチーム医療につながることを学んだ。

  • 患者さんの負担が減る、患者さんに的確なアドバイスができるようになる

小児看護を専門に行う 小泉 恵子さん

□知識や技術を学んで一番よかったことは、他職種とより専門的な話ができるようになったこと。

医師と看護師の思考過程の違いを知ることができ、「こうしたほうがいいのに」と否定的に思っていたことが「医師はなぜこう考えるのだろう?」と考えたうえで質問するようになった。

□知識や技術は、今後在宅療養をしている家族に活かしていきたい。
気管カニューレを挿入し胃瘻造設している患児さんと家族が外来受診に来たとき、小児科外来で診察と処方、耳鼻科で気管カニューレ交換、外科で胃瘻交換と、ぐるぐる診療科を回らなければならないが、それを自分と医師が一か所ですべて行うことができれば、患児さんはずっと楽になる。

□家族が受診したほうがいいのかどうかの判断に悩んだとき、診察・診断や臨床推論を医師から学ぶことで的確なアドバイスができるようになる。

  • 在宅分野で真価を発揮するのでは

感染管理を行う 小澤 美紀さん

□在宅訪問の際に、「次に先生が来たときに診てもらいましょうね」と何日も待たされるのではなく、その場で看護師が対応できれば患者さんも安心。今後重要になるであろう在宅医療の分野で、とりわけ真価を発揮するのではないか。

  • 判断力、調整能力、トラブル解決力などの総合力が必要

急性期医療分野で活躍する 木澤 晃代さん

□認定看護師や専門看護師としての実践と異なる点は、通常の看護師が行わないとされている医行為を実施することで、スムーズに医療を進めることができる点。これまでは、「こうしたほうがいいのに」と思っても、医師との意見調整が進まない、自分が実施できないがためにスムーズにいかないことがあった。それを自分が行える立場となったことで、医師と円滑に協働でき、迅速に患者さんに対応することができるようになった。

□医師が多忙なため必要なケアの回数を減らさざるを得なかったケースも、研修を受けたことで、看護師が自立してケアを行うことができるようになり、医師や看護師だけでなく、患者さんや家族の負担も減らすことができた。

□実際に求められるのは、特定行為を安全に実施する、してはいけないと判断する力、医師や看護師、コメディカルの調整役を担いチーム医療を推進する役割、トラブルシューティングなどの総合力。

この方々以外にも、「診療特定看護師」などの名称で活躍している看護師もいます。
また、上述の吉田さんのように、国立病院機構では、JNP(ジャパニーズ・ナースプラクティショナー:診療看護師)という名称で、すでに看護師が治療に参加しています。

(参考:ナースフル呉医療センター・中国がんセンター日経メディカルAナーシング

4.海外の事例

(1)アメリカのナースプラクティショナー(NP)

特定行為研修機関は、アメリカのナースプラクティショナー(NP)教育をモデルに、制度に先行して特定行為に関連した教育を進めてきました。

ナースプラクティショナー(NP)とは、上級の看護職で、一定レベルの診断や治療などを行うことが許されており、臨床医と看護師の中間職と位置づけられています。

【アメリカにおけるNP】

●医師の補助のほか、医師のいない過疎地等においては自ら診療行為の主体となっている場合もある
●初期症状の診断、処方、投薬などを行うことができる
●外科手術などは行えない
●検査のオーダーができる
●薬剤の処方ができる
●提供したサービスに対して医療費が支払われる
●個人を対象にしたプライマリ・ケア(※)の提供が中心
●登録看護師の4%にあたる15万人が、ナースプラクティショナー資格を持っている

プライマリ・ケアとは…身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療

日本では、すべての看護師に診断や薬剤の処方などを行うことは認められていないので、アメリカのNPは日本の特定看護師よりも大きな裁量権を持っているということになります。

(2)その他の国では

アメリカ以外でも、イギリス、韓国、フランス、タイ、オランダ、オーストラリア、カナダなどでもNP制度が導入されています。

(参考:Wikipedia看護roo!ステキナース研究所首相官邸ヒヤリング資料看護roo!ナースpediaエリートネットワーク

 

5.専門看護師・認定看護師との違い

  • 専門・認定看護師は、特定看護師と違い、法的には他の看護師と立場は同じで、自らの判断で特定行為を行うことはできない。
  • 「特定行為研修制度」は、昭和23年に制定された保健師助産師看護師法の内容に変更が加えられたという大きな意味を持つ

画像⑦特定・専門・認定の違い

(参考:厚生労働省日本看護協会

6.特定看護師、その賛否両論

特定行為が議論されてきた2006年より、制度創設に関してはさまざまな賛否両論がありました。
ここではその議論の中で出されてきた色々な意見(抜粋)をご紹介します。

(1)賛成意見

  • 少子超高齢化社会のニーズに応えられるように役割を発揮すべき

■日本看護協会

□本制度を活用し、看護師の専門性をさらに発揮し、少子超高齢社会における国民のニーズに積極的に応えていく。
在宅医療等の推進に向け、それぞれの活動場所で求められる看護師の役割をさらに発揮できるよう、本制度を推進する。
(引用:日本看護協会

  • 患者へのタイムリーな医療提供、外科医の過重労働改善に期待

■日本外科学会

外科医の労働時間は過労死レベルであり、当直明けの手術も増加傾向で安全上も大きな問題である。
□手術中、外科病棟は外科医不在の状態になり、術後患者への対応は早朝あるいは夕方以降になる。
□欧米ではNPなどが、外科医でなくても可能な業務を行い、外科医は外科医しか成し得ない業務に専念できるのに対し、わが国では医師があらゆる業務を行わなければならず、外科医は大きな負担を強いられている。
□特定看護師が、その役割を担うことにより、国民に良質な医療がタイムリーに提供され、外科医の過重労働も改善されることを強く望んでいる。
(参考:日本外科学会

  • 特定看護師が診療に関わることで患者さんが満足する

■草間朋子氏(日本看護連盟、日本NP協議会会長)

今のように3分診療や5分診療で終わらされるよりも、患者が一番知りたい「どういう手術をするのか」「予後はどうなのか」という情報について、診療にも踏み込んでいる特定看護師が患者にとって分かりやすい言葉で納得がいくまで説明する方が、患者の満足度や納得感は高いと思います。
(引用:医療維新

(2)反対意見

  • 医師と看護師の役割はそもそも異なる

■日本医師会

□医師不足を補うために看護師に医師の代わりをさせたいという一部の医師と、「看護の自律、キャリアアップ」のために特定看護師が必要であると主張する一部の看護師に端を発するものである
□国民や患者が望む制度なのか?
医師と看護師はそもそも教育の内容(医学と看護学)が違う
□「ミニ医師」ではなく看護師本来の業務である「療養上の世話」や「診療の補助」の業務を究めるべき
□多くの看護師は、積極的にやりたいとは思っていない
医師ではなく特定看護師が他の医療職に指示を出せば、かえってチーム医療を損なうことになりかねない
□医師の指示の内容は、「包括的指示」、「具体的指示」として明確に規定できるものではない
□新たな資格の創設は、看護師の業務に格差を生じさせ現場に大きな混乱をもたらす
(参考:チーム医療推進会議資料

  • 「安上がりな医療」を目指しているのでは?

■全日本民医連

□医師がすべき行為を看護師にさせることで医師を増やさない、安上がりな医療を目指すという狙いがあるのでは
□医師が看護師ごとに「包括的指示」「具体的指示」の区別を毎日行い、指示を使い分けることは難しい
□看護師が研修で何カ月も現場を離れることはマイナス
(参考:全日本民医連

  • 看護師に特定行為を強要、責任を負わせる危険も

■日本医労連

□圧倒的多数の看護師は、特定行為をやったことがない
□医師不足が深刻な在宅部門や過疎地域では看護師に特定行為を強要する事例が多発するのではないか
□問題発生時には、看護師が責任を問われ、職を追われかねない

しかし、制度はスタートしました。私たちは、今後もこの制度の廃止を求めると同時に、患者と自分たちを守るために、
①施設として特定行為の実施をしないこと・させないこと
②特定行為を強要しないこと
③指定研修機関における研修を受けていない看護師に特定行為を実施させないこと
④本人希望がない場合、指定研修受講の強要をしないこと、特定行為や指定研修を拒否したことによる不利益扱いをしないこと
を経営者に要求しています。

(参考:日本医労連

  • 生死に関わる行為の責任は医師が負うべき、そして患者の命が最優先

■日本麻酔科学会

厚労省に対して、
生死に関わる気管挿管という医行為の責任は医師が負うべきもので、看護師に負わせるものではない
患者の生命が最優先である
という内容の緊急声明を提出し、特定行為から気管挿入が除外されたという経緯があります。
(参考:日本麻酔科学会

その他にも
■日本看護技術学会
■日本がん看護学会
などが反対の立場をとっています。

7.現役看護師の本音

(1)肯定的な意見

さて、では現場で働く看護師たちはこの制度についてどのように考えているのでしょうか。
日経メディカルAナーシング」の看護師会員を対象にした調査(2015年7/22~8/20実施)によると、6割の会員が特定研修の受講を希望していることが明らかになり、関心の高さがうかがえます。

【特定行為研修の受講意欲について】

画像⑨円グラフ

また、受講したい理由については、下の図のような回答がありました。

【特定行為研修を受講したい(または受講させたい)理由】

画像⑩棒グラフ

(引用:日経メディカルAナーシング

(2)否定的な意見

前章のように制度に肯定的な意見も多数ある一方、当然ながら、制度への不安や慎重な意見もあります。

・やりたいけどなぁ。でもその時間とお金のわりに手当5千円とかならやだ、、、(匿名さん)

・興味あるけど、職場の状況からして、何ヶ月も研修に行かせてもらえると思えない。(匿名さん)

・もう勉強むり。そこまでキャリア積もうと全く思わない(匿名さん)

・興味はあるけど、医師との壁に悩みそうで。所詮、医師不足解消のためのコマなのかと。(匿名さん)

(引用:看護roo!ナースカタリーナ

・ドレーン抜去に血ガス、見送りになったものも含めて、さらに責任重い。ますます、医者が病棟に顔出さなくなる気がする。看護師任せになるのが、目に浮かぶ。勘弁して。(匿名さん)

・手当20万位付くなら考えるかな?(笑)でも、やっぱり荷が重すぎる事ばっかりなんで遠慮します!
(匿名さん)

・10万人を目標に養成する計画です。
医師の雑用係。施設によって手当てがつくところもありますが、残業代がつけてもらえなくなり超長時間勤務のため看護師時代のが給料ははるかによく休日も激減した。(JNPさん)

・責任に対する報酬や地位の向上がない限り一部の物好き以外誰がやるんだろ
あと問題が起きたときの対処も医者なら謝罪で終わっても看護師は辞めさせられたりするし
法整備の問題もあるのに導入するのは早すぎる(ぶんさん)

・やることどんどん増やして責任どんどん重くして、そんなことより優秀な医師と看護師増やす努力すればいいのに。(匿名さん)

(引用:看護roo!ステキナース研究所

8.求人と手当事情

(1)「特定看護師」としての求人はほぼない

2016年6月現在、「特定看護師」「特定行為研修を修了した看護師」としての求人はあまりないというのが現状です。制度はまだ始まったばかりですので、当然のことといえるでしょう。

特定看護師の養成も行っている国際医療福祉大学に、下のような求人がありましたのでご紹介しておきます。

~2017年4月開設予定の医学部とともに、チームワークを重視したER型の救急部門で働きませんか?~
 
今後の我が国の医療ではチーム医療がますます求められます。その中で医師の診療内容も看護師の業務内容もわかり、チーム医療の要として社会に求められる医療を提供するのが特定看護師の役割です。
このような方を求めています(次の①・②いずれか)
 
① 特定看護師(特定行為研修を修了した看護師)
② 救急部門での実務経験を有する看護師(救急看護認定看護師の有資格者など)で、入職後、本学大学院「特定行為看護師養成分野」へ進学(在学中の方を含む)し、特定看護師を目指す方

 
(引用:国際医療福祉大学

(2)特定行為研修受講へのサポートがある求人を選ぶ

これから特定看護師を目指したい方は、下の例のように特定行為研修へのサポート体制が整っている施設を選ぶことが重要です。

これは

  • 特定行為研修のために勤務を抜けやすい
  • 施設が費用を負担してくれる場合がある
  • 何よりその施設が特定看護師を歓迎している証拠

などの理由によります。

【ある求人の一例(抜粋)】

募集職種:正看護師
施設形態:訪問看護
*特定行為に係る看護師の研修支援あり
(引用:医療ワーカー

eナースセンターや看護師求人サイトで探しても特定行為研修受講へのサポートがある求人を探すのは困難で、非効率的です。そのような場合は、看護師転職サイトに登録し、コンサルタントに求人を探してもらう方法がおすすめです。

■安心して利用できる看護師転職サイトはこちらを参考にしてください。
看護師転職サイト口コミランキング

■看護師転職サイトってなに?という方はこちらをご覧ください。
看護師転職サイト【全知識】危険な利用法/求人数ランキング20種

(3)手当について

制度がまだ始まったばかりのため、特定看護師としての手当や給料事情については、まだほとんどデータがないのが実情です。

ただ、下記のように国立病院機構の手当一覧では「特定看護師」と似た役割の「診療看護師」の手当が6万円/月と明記されているので、参考にしてみてください。これは専門看護師や認定看護師の手当より、はるかに多い金額ですね。

画像⑪手当

(引用:国立病院機構東海北陸グループ

また、国立病院機構災害医療センターの平成24年度募集要項には、下記のような記載がありました。

厚生労働省の「看護師特定行為・業務試行事業」の対象となる業務を行う看護師(診療看護師)として勤務する場合:60,000円/月
(参考:災害医療センター看護師中途採用募集要項

9.参考にしたいWebサイトと書籍

【書籍】

看護師特定行為研修 まるわかりガイド(2015/10/8)
日経メディカル Aナーシング (編集)
画像⑬書籍2

10.おわりに

さて、ここまで特定看護師について、制度化への経緯や、研修について、先駆者たちの体験談、賛否両論などについて詳しく述べてきましたがいかがだったでしょう。

在宅医療や過疎地域の医療でのキーパーソンや、医師や患者さんの負担を減らす存在として期待される反面、多大な責任を負うことになりかねない特定看護師。

始まったばかりのこの制度が、今後どのような成長を遂げ、医療界にとってどんな存在になっていくのか、見守っていきたいですね。

【追記】
特定行為研修制度は、2017年7月時点でまだまだ広がっていない現状があることも確かです。詳しくは下の記事をご覧ください。↓
ステキナース研究所「なぜ広がらない?看護師特定行為研修制度|リポート◎10年で10万人目指すも、1年半で583人…」
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この記事の作成者: y.yamaguchi