看護師に復職したい、とお考えのみなさま。
「子育てが一区切りついた」
「ブランクがあったけれど気持ちに変化があった」
「ライフスタイルになにかきっかけがあった」
など、さまざまな理由で一度看護師の資格を活かして働きたい、と考えているけれど、
- ブランクに対する不安
- 復職してからの職場への不安
- 家事や子育てとの両立が不安
など、たくさんの「不安」をお持ちではないでしょうか。
そこで今回は、
「何から始めてどんなふうに進めばスムーズに復職までたどり着けるのか」
をご紹介したいと思います。
読み終わった後には、不安を乗り越え、第2の看護師人生をスタートするきっかけにしていただけるはずです。
※この記事は2017.12.8にを更新しました。
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看護師の復職までの道のりを体験談から学ぶ
復職するまでのパターン別体験談
皆さん復職に向けて不安を抱えながらも、本や復職支援研修で事前に備えた方、とにかく職場に飛び込んでみた方など様々なパターンがありました。
【ケース1】本を買って復習、12年のブランク後復職した
私は12年のブランクから戻りました。最初は全て忘れてしまったかのような不安がありましたが、働き出してみると、どんどん思い出してきました。勉強は看護技術がまとめて書いてある本を買っておさらいしました。
引用:看護師お悩み相談室
【ケース2】物品、薬品の違いは基礎看護技術系の本で確認、潜在看護師研修を受講した
研修に行って来て、本当に物品・薬品違っていました。びっくりでした。
引用:看護師お悩み相談室
聞いたり、本で読んだりして、「ほぉー」
また、一から勉強です。
【ケース3】求人を見て現場に飛び込んでみた 42歳、ブランク18年後の復職
42歳でブランク18年。24歳で退職(経験は3年)専業主婦で18年過ごしました。
引用:看護師お悩み相談室
このまま看護師は諦めようかと思っていましたが、後悔するよりはと、ハローワークで出ていた求人に、無謀にも素人同然で総合病院の外来にパートで就職しました。(病棟勤務の経験しかありませんでしたが。)
毎日、叱られ泣きながら頑張ってきましたが、周りの助けもあって、今は3年目となりました。
パートながら周りにも認められるようになり、今は充実して勤務しています。案ずるより産むが易しです。
ブランクがあるママさんナースの心構え
- 復職者への教育支援はあるか?
- 託児所完備?
- 働く時間は?
など、育児や家庭との両立には、働く病院の環境も大切になってきます。
気持ちの覚悟や家族との打ち合わせ、そして施設の下調べをおすすめします。
体験談も参考にしてみて下さいね。
経験6年、ブランク10年、子供2名、専業主婦からの復職、30代後半の方の体験談
子供2人が小学生になり、そろそろと思い去年から10年のブランクを経てパートで、病棟勤務をしています。
引用:看護師お悩み相談室
はじめは、なかなか動けない自分に悔しい思いもしましたが、今は採血や点滴も手が震えずにできるようになりなんとかやっています。子供ができても続けて働いていればよかったと思うこともありましたが、私は子供中心で過ごした日々を後悔していません。仕事は、やる気と家族のサポートがあればがんばれると思います。
ほぼ経験なし、10年の育児後に復職をした方の体験談
育児を10年して復職しています。(ちなみに経験はほとんどなし)
引用:看護師お悩み相談室
やはり看護師不足なのか友人でもけっこういますよ。
何件か見学にも行きましたがみなさん採用の雰囲気でしたし。。。
復職支援病院などで実習もさせてもらったりするといいと思います。
育児は一度限り、あの時育児しておけば、、、なんて後悔しても遅いですよ。
ただ40代と30代では就職も違うようなのでできれば30代のうちに復職したほうがいいです。
それから復職に関しては結構勇気が要ります。私は復職前に解剖や基礎を復習したりしました。
できれば単発のバイトなど細々とやっておいたほうが無理がないかもです。
でも本人のやる気次第かなと思います。
採血などはブランク前未経験でしたが新たな気持ちで教えてもらっていますよ。
復職する看護師の不安を軽くするための方法
潜在看護師向け研修・セミナーを受講する
離職期間が長いほど利用、95%が役立った
日本看護協会の調査(下記表8参照)によると看護師の離職期間は平均81.1か月(約6年7か月)です。
そのうち再就職に向けてナースセンターの研修を利用するのは60カ月以上(約5年)で53.9%と半数を超える事がわかりました。
離職期間が長いほど研修を利用する方が多いですね。
(参考:公益社団法人日本看護協会 再就業事態調査)
下記の表7を見ると、研修はナースセンター以外でも実施されており、離職期間に関係なく約4割の方はなんらかの研修を受講しています。
(参考:公益社団法人日本看護協会 再就業事態調査)
研修を利用された方の評価は95.6%がとても~少し役立ったと回答しています。(下記の図2参照)
復職への不安が大きい方は、研修も有効な手段として活用していただきたいです。
(参考:公益社団法人日本看護協会 再就業事態調査)
復職支援研修・セミナーの種類
復職してすぐに現場で実技ができるかな?と不安を抱える方は多いと思います。
そんな方には、実技のブランクを補える以下の3つの研修情報をご紹介します。
①日本看護師協会が実施する復職支援研修
- 無料(交通費は負担)※事前に保険の加入を求められる場合の保険費用は負担
- 参加資格としてその地域に復職を希望、または1年以内の復職希望などの条件がある場合もある
- ナースバンクに登録を求める場合が多い
- 研修内容は日によって違うので要確認
- 1日~3日以上の日数の違いがある
- 看護職が扱う医療機器の取り扱い
- 検査データの見方、感染防止対策、医療安全対策
- 看護技術(採血、注射、輸液、褥創ケアなど)
※研修の題目ごとに内容は変わる
【看護協会の復職支援セミナーに参加した方の体験談】
看護協会に相談した後、トントン拍子で面接まで辿り着きました。先週面接に行き、内定しまして、来週月曜から復職します。今週は、運良く看護協会で復職支援セミナーがあり、受講してきました。
引用:看護師お悩み相談室
新しい看護の動向や注射針の扱い等、とても勉強になりました。
(参考:)
ご自分の地域のナースセンターのホームページで「研修情報」「復職希望者へ」などのページを確認します。
<例1 東京都ナースプラザ>
(参考:東京都ナースプラザ)
<例2 神奈川県看護協会>
(参考:神奈川県看護協会復職支援研修)
また、日本看護師協会の情報を見る際に「とどけるん」に登録すると、復職に向けての相談もできます。
「とどけるん」とは?
- 登録者は再就職に向けた研修会や職場紹介などの情報を得ることができるシステム。
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部改正により、2015年10月に施行。
- ナースバンクの登録は任意だが、「とどけるん」は努力義務化されている。
- ナースバンクに登録しただけでは見られない情報も、「とどけるん」登録者は見ることができ、(研修情報以外の生活情報を含む)、メールや電話で研修のお知らせを受け取れる。
- ナースバンク登録=「とどけるん」登録ではない。また別のシステムであり、今までナースバンクへ登録した方はナースセンターに申し出があれば「とどけるん」へ代理登録も可能。本人で変更する場合や、登録手順は案内サイトまで。
「とどけるん」の案内サイトはこちら
②病院開催の復職支援研修
- 無料の他、参加費がかかる場合もある(施設案内を要確認)
(確認した中では300円~1000円で、名目が参加費や保険費など病院によって違いがありました) - 研修内容は日によって違うので要確認
- 病院見学も一緒にできる(複数病院が合同開催の場合は施設間移動の交通費は病院負担で複数病院内を見ることもできる)
- 1日~3日以上の日数の違いがある
- 終了時にアンケートに記載を求める施設が多い
- 中には院内の職員食堂で昼食を用意してくれる場合もある
- 看護職が扱う医療機器の取り扱い
- 検査データの見方、感染防止対策、医療安全対策
- 看護技術(採血、注射、輸液、褥創ケアなど)
*研修の題目ごとに内容は変わる
【病院開催の復職セミナーを受講した方の体験談】
復職の希望はあるものの、長いブランクがあり不安もあった為、今回の復職セミナーに参加しました。
引用:鳥取県済生会境港総合病院
久しぶりの看護の勉強に緊張もありましたが、実際に受けると新鮮に感じました。
特に「皮膚ケアー」では認定看護師の方より最新の褥瘡ケアを聞き数年前とのケア用品、ケア方法の違いに驚くこともありました。
午後からは各病棟で実際の点滴、注射方法や医療機器の取り扱いなどを聞き、現在の病院での取り組みを知ると同時に、忘れていたことも少しずつ思い出されてきました。
復職への不安も今回のセミナーに参加して、少しは解消されたように思います。
復職支援研修を受けたからといってその病院を受けなくてはならないわけではありませんので、積極的に利用しましょう。
【病院研修を受け、他院へ復職した方の体験談】
貴院での研修会では大変お世話になりました。他施設の復職研修参加後から他施設で勤務しています。研修内容は、貴院のほうがずっと楽しく、力になるものでしたが(笑)通勤距離の問題で現在に至ります。
引用:西仙台病院
貴院での研修は復職への大きなステップとなりました。本当に有り難うございました。またご縁があった際にはどうぞよろしくお願いします。これからもいろんな方々の「背中をポン!」と押してくれる研修であることを願っています。
看護師(他施設へ復職)
ご自分の地域のナースセンターから「復職支援研修受け入れ先」や「復職研修施設一覧」のページを確認します。
ホームページはナースセンターごとに構成内容が違うため、一覧になっていない場合は、インターネットでご自分の地域+「復職研修」+「病院」と検索し、各病院のホームページを確認します。
<例1 東京都看護職員復職支援研修のお知らせ 台東区立大東病院>
(参考:東京都ナースプラザ 復職支援研修)
<例2 済生会神奈川県病院3病院合同復職支援研修ポスター>
(参考:http://kanagawa-saiseikai-kango.jp/)
復職支援を実施している病院一覧、一部紹介
東京都
神奈川県
北海道
③看護師向けサイトの復職支援研修
- 無料
- 約2~3時間
- 終了後に就職に関してのカウンセリング時間がある。
- 資格証の提示、簡単な履歴書(メモ程度で構わないと記載あり)を求められる場合もある。
- 地域が限定的、開催回数は少ない。(平成28年1月現在)
- バイタルサイン測定(体温・脈拍・血圧・呼吸の測定と観察)
- 血糖測定、経管栄養
- 注射(静脈注射、皮下注射、筋肉注射血糖値測定点滴(留置針)などの看護師の基本技術を復習。
※研修内容は日によって変わらない。
以下、独自でセミナーを開催している転職サイトをご紹介します。
【ニチイ看護師ナビ】
(参考:ニチイ看護師ナビ)
【Medical Cafe】
(参考:医療転職応援サイトMedical Cafe )
復職へ向けての勉強に役立つ本
研修には行かず、本で勉強した復職者も多いようです。
勉強内容は、「基本的な看護知識」の復習をしておくと役に立ちます。
- 看護学校時代の教科書で復習
- ナースセンターで必要な本を借りる(各地域で要確認)
ナースセンターには図書室を設けているところも多くあります。
どんな本がためになるか相談して借りてみましょう。
- 看護師専門雑誌で最新の動向を知る
最新の看護情報を知ることができますし、苦手な分野をより詳しく勉強することも可能です。
通販を利用すれば図書館や本屋にはない雑誌やバックナンバーまで取り寄せることができます。
サンプル、レビューなどを参考にしてみましょう。
中途プリセプター制度について
1人の新人看護師(プリセプティ)に対して1人の先輩看護師(プリセプター)がつき、マンツーマンで臨床実践を指導・教育する制度。
本来は新人さんへ向けての制度ですが、病院によって中途採用の方にもプリセプターが付く場合があります。
中途プリセプター制度を希望する場合は就職を希望する病院のホームページを確認しましょう。
↓こちらは復職者に向けてのプリセプター制度を導入している例です。
千葉脳神経外科病院
こちらは新人さんの感想ですが、プリセプターが付いた場合の感想です。
1年を振り返ると、プリセプターからたくさんの指導をしていただきました。
引用:飯塚病院プリセプティ感想
入社時、時間外になることも多々あり、プリセプターから業務マニュアルについてアドバイスを受け、できるだけ時間に追いつくことができるようになりました。
いつもプリセプターは声をかけてくれました。
そして職場だけでなく場所をかえて食事をしながら、私の話を聞いていただきました。話しをしているうちに、自分がどうすればよいのか気づくことができ、整理することができました。このようにいつもアドバイスではなく話しをすることで気づかせていただいたように思います。
↓また、求人検索サイトでも「中途プリセプター」とキーワードに入れて検索する方法もあります。
Indeed
※注意点として、プリセプター制度はマンツーマンでしっかり指導を受けられるというメリットがある反面、指導者との肌が合わないなどのデメリットもあります。
【プリセプター制度に対する意見】
皆さん、プリセプター、プリセプティを経験されたことはありますか?
引用:看護師お悩み相談室
私はどちらも経験があります。個人的には、問題の多い制度だと感じています。理由は一対一の息苦しさ・・・合わないと思っても、お互い逃げ場がありません。一対一ではなく、何人かでフォローする(その体制を取っている病院もあるようですが)体制が必要なのでは?と思います。
この制度に不安を感じる方は、病院による復職者への研修制度がどんなものかを事前に確認しておきましょう。
看護師の復職希望者の求人はブランク歓迎がねらい目
ブランクOKの求人を探す
たとえば看護師転職サイト「看護roo」であれば「ブランク・未経験可」にチェックを入れると、ブランク歓迎の求人施設を一気に見ることができます。
そういった施設であれば、ブランクがある方に向けての教育制度が整っているでしょう。
(参考:看護roo求人検索)
他の転職サイトでも同様のやり方でブランク歓迎の求人を探すことができます。
看護師の復職、マイナスイメージをなくす志望動機
看護師の復職に役立つ志望動機の書き方
- ブランクをマイナスイメージにしないポジティブな文章
- 力不足の部分は努力していく前向きさをアピール
- なぜブランク期間ができたかをきちんと明確に伝える
次の例文では、ブランクの理由明記、看護師の仕事に対する熱意が伝わるポジティブな文章、復職後の努力姿勢のアピールなど、ポイント3つがしっかりと盛り込まれていますね。
【例文】育児で5年間のブランク後の復職
私は平成17年から2年間○○総合病院の急性期病棟で勤務しておりました。
引用:医療worker
スタッフ全員で協力しながら患者様の看護にあたることへやりがいを感じていましたが、平成19年に出産を機に退職いたしました。その後育児に専念していたためしばらく医療現場から離れてしまいましたが、子供も大きくなって育児が一段落した時から、また看護師として現場の第一線で働きたいと思うようになりました。
ブランクがあるため知識で劣る部分もあるかとは思いますが、今後も前向きに取り掛かる姿勢を怠らず、少しでも貴院のお役に立てればと思い志望いたしました。
志望動機の書き方についてはこちらの記事も参考にしてください。
→入職後も好印象が続く看護師の志望動機の書き方・面接対策_ブランクがあり再就職する場合の志望動機
まとめ
看護師の復職を考えているみなさま、いかがでしたか?
この記事を読んで、本を買ったり勉強を始めたり、研修を受けようと思ってみたり、とにかくなんでもいいので一歩前に進んでみて頂けたら嬉しく思います。
ブランクを埋めるには研修利用や勉強などの目に見えるものも有効な手段ですが、復職への決意と前向きな気持ちが現場での不安や苦労を乗り越える大きな力になるかと思います。
皆様がブランクを乗り越え、復職が叶う事を心から願っております。