専門看護師の資格取得はハードルが高いと感じていませんか?
確かに専門看護師になるには、定められた実務経験を積み、大学院修士課程修了が必要なことからも、より高い能力を有する必要があります。
しかし、だからと言って専門看護師への志を踏みとどまる必要はありません。
専門看護師になるために必要な条件を、効率良く満たしていくことはできます。
現在看護師として働いている方でも、仕事を辞めることなく専門看護師になることができる方法があります。
看護学生の方も、将来専門看護師になることを見据え、進路を考えていくことができるのです。
ここでは、あなたの置かれた状況別に、その最短ルートをご紹介していきます。
専門看護師 詳細はこちら⇒日本看護協会/専門看護師 資格取得制度
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専門看護師を目指す前に知っておくべき現状
増加する専門看護師
専門看護師(Certified Nurse Specialist)制度は、1997年に日本看護協会が定めた制度です。
高度化・専門分化がすすむ医療現場における看護ケアの広がりと質の向上を目的とした資格として資格取得を希望する看護師は多く、専門看護師数は毎年増加しています。
(参考:求められる看護及び医療のマネジメント)
専門看護師の賃金処遇の実態
一方で、専門性を活用した仕事の割当てや配置、教育支援、そして適正な給与のあり方が課題となっています。
資格取得のために費用と期間がかかる専門看護師。
資格取得によって昇給をイメージされる人も多いと思います。
しかし、専門看護師資格を取得しても、大幅な賃金アップには繋がっていない現状があります。
日本看護協会の調査では、専門性の高い専門看護師に対して、賃金表の等級や号俸を上げる、あるいは上位職の資格等級に昇格させるなど賃金表上で評価していない(賃金表で昇格・昇給なし)、かつ手当のない施設は61.4%であり、また賃金表上での評価はないものの、手当がある施設は17.7%、各施設で最も高い者の手当額の平均は専門看護師1万832円というデータが発表されました。
【専門看護師の賃金処遇】
(参考: 2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査)
専門看護師資格が抱える課題
給与面以外においても、専門看護師の雇用が進まないこと、組織的位置付けの不安定さ、質保証のための継続トレーニングの充実、今後の専門看護師のあり方など、依然課題は多い現状があります。
このような現状の理解がなければ、期待していた結果が得られないということも実際に多いのです。
勤務先の医療機関や専門分野によっても認識は違ってくるので、事前に専門看護師への待遇を調べる必要があるでしょう。
専門看護師資格を活かして働くためには、資格への理解ある環境で働くことが重要です。
専門看護師資格取得のメリットは昇給ではない
専門看護師を目指す人が増え続ける理由
では、専門看護師資格を取得するメリットとは何でしょう?
課題を抱えるにも関わらず、依然として資格取得者が毎年増加傾向にあることには理由があります。
資格取得を目指す看護師の多くが、「患者やその家族のためにもっと出来ることがあるのではないか」「自分の知識や技術が足りないことに不安を感じる」という理由で、強みを得ようと一歩を踏み出しています。
専門看護師になることによって得られることは、保健医療福祉や看護の発展に貢献する役割を担えるようになることなのです。
専門看護師になることによって得られること
質の高い看護ケアを円滑に行うことができるようになる
専門看護師の場合、認定看護師にはない「調整」「倫理調整」「研究」という役割があります。
必要なケアを円滑に行うために、ケアに関わる人々のコーディネートや、患者やその家族などの権利を守るために倫理的な問題や葛藤、解決をはかる技術を身につけることができます。
資格取得によって看護師側が自信を持って質の高い看護ケアを提供できるようになり、患者が安心して看護を受けることが出来るようになるという重要な意味を持ち合わせています。
看護師のモチベーションの相乗効果を生むことができる
資格取得の勉強や他病院で働いていた看護師との情報交換などから、もっと勉強していかなければならないというモチベーションを上げ、その姿勢を目標にしていくという看護師同士の相乗効果も生まれます。
専門看護師は、専門知識・技術向上のために、研究会に参加して最新の情報を得るといった研究活動も行います。
職場での看護師の意識を、より良い看護提供の在り方へと向けることができます。
責任ある仕事が任されるようになる
専門看護師になることによって、看護という根本的な業務の他に、現場の人材育成や調整などの責任ある仕事が任されるようになります。
特別に優れた看護の実践や精神的なケア・相談・現場のコーディネートや研究活動など、様々な役割が求められるようになります。
また研究活動や研修も業務の一環となるため、現場のリーダーとして、研究機関の一員として、それまで以上に多忙となると同時に、大いにやりがいを感じることが出来るようになります。
専門分野におけるプロとして扱われる
専門看護師資格を取得し、資格を活かせるポジションにつくことができれば、周囲からの見る目が変わります。
周囲にいる看護師たちから、現場のリーダーとしてあらゆる場面で頼られるようになります。
また、患者からもエキスパートとして見られるため、様々な相談などを受けるようになります。このように看護師側、病院側、さらに患者側から見ても、高度な看護技術の提供や相乗効果が期待でき、専門看護師の必要性は上がっていくと考えられます。
資格のない看護師よりも仕事の量や責任は大きくなり、専門分野におけるプロとしての自覚が生まれることにより、自分自身の成長へとつなげることができるのです。
【状況別】効率良く専門看護師になる方法
現在のあなたの置かれた状況はどれにあてはまりますか?
現状況から、専門看護師になるためのルートをご紹介します。
専門看護師になるルート比較
*1「保健師、助産師及び看護師のいずれかの免許証」を「看護師免許証」に変更(平成24年7月26日から施行)
*2必要な所定の教育修了後に、実務研修期間を「6ケ月以上」と定めていたが削除(平成24年2月23日から施行)
(参考:公益社団法人 日本看護協会)
看護師から専門看護師を目指す
実務経験5年以下、もしくは専門看護師分野以外での勤務の場合
専門看護師資格を受験するための条件としては、以下の3つの条件があります。
- 日本国の看護師の免許を有すること
- 実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること
- 看護系大学院で専門看護師のカリキュラムの教育課程を修了していること
既に看護師として病院で働いていたとしても、専門看護師資格受験に必要な臨床経験を積む必要があります。
現在勤務している病院に、希望する専門看護分野があれば、継続して実務経験を積むことができます。
もし、希望する専門看護分野がない場合は、転職をする必要があります。
専門看護分野で3年以上の実務経験を積み、実務経験を通算5年以上にましょう。
実務経験5年以上、うち3年以上専門看護分野で経験を積んでいる場合
専門看護師としての必要な実務研修の条件を満たしている事になります。
日本看護系大学協議会が認定した専門看護師教育課程で教育を行っている大学院に入学し、所定の単位を取得しましょう。
看護学生から専門看護師を目指す
大学院進学前の実務経験の必要性
大学院の専門看護師コース(CNSコース)では、多くの大学院が出願資格に一定期間の臨床経験を定めています。
CNSコースは、大学院での履修中に専門看護師実習があります。その実習においては、何年も勤務している看護師に「指導的立場で」関わらなければならない項目があり、臨床経験が必要になってくるためです。
また、実習経験のみで希望の専門看護分野を思い描いても、実際に臨床に出て現場での経験を積む事で、考えが変わることもあります。
実務経験は、自分が本当に従事したい分野なのかを見極めるためにも、必要なことなのです。
働きながら資格取得ができる!専門看護師資格取得支援サポート
現在看護師として働かれている方にとって、実務経験を積んでからの大学院進学は、学費や収入の有無などの金銭的問題と、就学の為の離職の有無がネックになると思います。
そんな悩みを力強くサポートしてくれるのが、専門看護師資格取得における様々な支援サポートです。
資格取得支援サポートは、病院・組合・地域によってその支援内容は違います。
就学中の休職制度だけではなく、給与保障や入学金・授業料・実習費用を全額負担してくれるなど、手厚いサポートが受けられる場合もあります。
ホームページ等でサポート内容を紹介している病院もありますが、公開していない場合もあります。
利用を希望する場合は、できるだけ早い段階で、専門看護師資格取得支援サポートを導入している、もしくは都道府県・組合の支援事業の対象となる病院かをリサーチしておくことが重要です。
【実例】現役看護師の悩みを解決してくれる資格取得支援の種類
大学院就学の学費が足りない
入学金、受講料、授業料、旅費及び実習等を公費として病院側が負担してくれる
※認定試験不合格の場合、自己負担になる場合があります。
専門看護師資格取得にかかる費用を希望により貸与してくれる
誓約勤務期間を履行した場合は全額免除になるケースもあります。
※貸与には条件がある場合があります。
【例】
- 資格取得後5年以上、貸与した病院に勤務する事を誓約
- 資格を3年以内に取得できない場合や、誓約期間を中断し退職した場合は貸与金の返還が必要となる
■秋田県厚生農業協同組合連合会の資格取得支援(秋田)
■日本赤十字社 前橋赤十字病院の資格取得制度(群馬)
専門看護師資格取得に要する費用を奨学金で助成してくれる
※選抜制の場合があります。
■日立総合病院の就学サポートシステム(茨城)
■仙台厚生病院の認定・専門看護師支援制度(宮城)
■医療法人山紀会の公的資格取得支援制度(大阪)
教育機関の就学に要する経費を補助金で助成してくれる
※補助額の上限があります。
大学院進学のために現在の仕事を辞めたくない
病院に在籍したまま大学院へ進学できるとし、大学院就学中の休職を認めてくれる
就学期間中の給与や手当を支給してくれる
■大阪医科大学附属病院の専門・認定看護師資格取得サポート(大阪)
■岩手医科大学付属病院の専門・認定看護師資格取得サポート(岩手)
■大垣市民病院の専門・認定看護師資格取得支援制度(岐阜)
出張扱いで大学院での教育課程を受講できるとし、給与のほか受講にかかる費用を支給してくれる
※申請後、院内審査会での審査がある場合があります。
■市立四日市病院の資格取得支援(三重)
■名古屋大学医学部附属病院の教育制度(愛知)
現在勤務している病院から、大学院への「派遣研修」扱いとし職員としての身分保障をしてくれる
※派遣研修の対象者は、選考がある場合があります。
専門看護師資格取得支援サポートはどういう看護師に向いているのか?
専門看護師資格取得支援のメリット
経済的負担が軽くなる
資格取得支援とは、病院が専門看護師になるまでの過程をサポートしてくれるということです。
資格を取得するまでにかかる費用を支援してもらう事で、お金の工面をすることなく、勉強に集中することができます。
就職活動の必要がない
病院から資格支援を受ければ、その病院で勤務することが前提となります。
つまり、専門看護師資格を取得後、就職活動をせずに勤務を継続することができます。
職場復帰をしてからも、資格取得支援を受けたことから恩返しといった意識が働き、仕事へのモチベーションにもつながります。
- 学費や生活費など、金銭面での心配をせずに、資格取得のための勉強に集中したい
- 現在勤務している病院に満足している
- 資格取得後の就職活動に不安がある
専門看護師資格取得支援サポートのデメリット
受験にプレッシャーがかかる
経済的な負担は少なくなる反面、精神的にはプレッシャーがかかることがあります。
支援によっては、資格取得にかかる費用を全額負担してくれるケースもあります。
資格取得支援自体が選抜制の場合もあり、単位取得はもちろんのこと、認定試験には受からなければならないといった重圧感が伴います。
就職先の選択肢が限られる
専門看護師資格取得を取得することができれば、その先の就職はその支援を受けた病院に限られます。
専門看護師として現場で働きだす際に、選択肢がなく未来が決定されています。
- 資格取得にかかる費用がかかっても、プレッシャーを感じることなく自分のペースで大学院へ通いたい
- 現在勤務している病院に不満がある
- 取得した専門看護師資格を活かしたいと思う転職希望の病院がある
資格取得支援はメリットだけではありません。
メリットとデメリットを十分に理解し、自分に合った働き方ができるように資格取得支援を受けるかを選択する必要があります。
後悔することがないように、一度立ち止まって先々を考えていく必要があるのです。
資格支援のある病院の探し方
『資格支援サポートがある病院か』を確認するには、病院のホームページを確認する方法があります。
ただ、病院のホームページを一つ一つ確認するのには時間がかかります。
時間がなく、資格支援サポートがある病院を効率よく探したい人は、転職サイトを利用するといいかもしれません。
転職サイトにはキャリアコンサルタントがおり、病院の内部情報(資格支援サポートの状態や、実際の取得者の状況等を)を詳しく教えてもらえます。
参考までに下記は主な転職サイトの資格取得支援のある病院の求人数ランキングになります。(2024年11月時点)
専門看護師は、看護の発展につながる素晴らしい資格
専門看護師は、保健医療福祉や看護の発展に貢献する重要な資格です。
そして、苦痛や悩みを抱える患者やその家族へ、質の高い看護ケアで向き合うことができるようになります。
効率良く専門看護師資格取得の条件を満たし、看護師の活躍の場と可能性を広げていきませんか。